あれから数試合挟んで、この次が僕の対戦となった。
対戦相手がどのようなやつかがわからないため、警戒はしているが、さっきのマタドールくらいなら勝てるだろう。
緊張しつつもワクワクしていると、エリーが立ち上がって言った。
「今から私の試験なの。応援してくれる?」
「全力で応援させてもらうね」
「ありがとう!じゃ、行ってくる!」
そう言ってエリーはスキップしながら試験会場に向かって行った。
ただ、エリーともこれ以来階級が違うから会えなくなっていくだろうし、少し残念に思う。
「受験者、エイリス・トレイス対3級——————」
なっ!?エリーも3級!?エリーってそんなに強かったの!?
「試合開始!!!」
試合開始と同時に、エリーはあの細くて綺麗な腕を置いてに向け指をパチンと鳴らす。
その瞬間—————
敵がバラバラになった。
何が起こったかがわからない。会場も審判もみんな唖然としている。
『今のは能力使ったね。1回目だから断定はできないけど、指を鳴らすと発動できる様に「縛り」を追加してるのかな?』
わからない。けど、鳴らした後だけっていうきつい条件なら、普通の子供でもあそこまで威力が高くなるのも頷けるね。
『距離があるからわかんないけど、愛されるものかもしれないのは忘れないで』
うん。幸い、次の試合は僕だから、痕跡が何かないか確認してみる。
『そーいや、今回はなんも「縛り」もうけないの?』
うーん…つけてもいいんだけどねぇ…ちょっと考えとく。
『1回目みたいなミスは犯さないでね』
うん…あれだけは絶対にないようにするさ…
「ただいま!」
「うわぁっ!!」
「どう?私しっかり勝ったよ!」
そう言っていつの間にか帰ってきていたエリーが後ろから話しかけてきた。
「すごかったよ!指を鳴らした瞬間敵がバラけたもんね!あれはどうやってるの?」
「ひ・み・つ」
「そっか、まぁ手の内はあまり知らせない方がいいもんね。じゃあ、僕は行ってくるよ」
「あっ、私の次の試合だったんだ。頑張ってね!」
エリーに見送られ、会場に向かう。
少し早めに入り、エリーの技の痕跡を探す。
『これは…風かな?』
だね。けど、それ以外が全然わかんないね。でもまぁ、十分な収穫だったんじゃない?
『そだね〜』
「受験者、テス・バークソン対3級生テイルズ・アリウム
試合開始!!!」
「やぁおチビくん。君は幸運だね。光栄に思いたまえ。この僕、剣聖(自称)テイルズ・アリウムの力ほっ!」
なんかすっごくムカつくことを言ってきたので、即死刑にした。
方法は簡単!詠唱なしの風魔法(詠唱しないと性能は落ちる)を
圧縮された風魔法は力が拡散しないから普通に当てるより威力が数倍にはね上がる。
素の魔法の威力も成長とともに高まっているため、簡単に相手の心臓くらいなら貫ける威力になっているぞ!
てな感じで、エリー並みに敵を瞬殺して会場を黙らす。
観客席に戻ると、エリーが手を握ってこう言ってきた。
「すごいね。テス。相手の心臓部だけをぶち抜いて即死させるなんて。私よりも綺麗に殺せる人なんて初めてみたわ」
「ありがとうエリー。でも、エリーより倒すのに時間がかかっちゃったや」
「ところで、あれはどうやったの?」
「秘密…と言いたいところだけど、一つだけ教えてあげる。使ったのは魔法だよ」
そう、エリーに告げる。ただ、半分正解で半分不正解のこの解答は、いったいいつまでエリーを騙せるかわからない。
でも、大した時間稼ぎにはならなさそうだ。
「この試合で、受験者は最後です。次に行われるのは、3級から1級の在校生の皆さんと、今回3級に挑戦した方々のトーナメントがあります」
そう。僕らにはこのあと、トーナメントが残されている。
トーナメントではしっかり強い奴らが集まっている。ここではおそらく、全力で挑まないと今の実力では敵わないかもしれない。
だから、おそらくそこでバレることは確定だ。
ただ、ネタがバレるのはエリーも同じなので、少し安心して挑めるから、全力で戦うだけで済むのは正直ありがたかった
「受験者、キール・サイフォス対3級生——————」
サイフォスは氷を生み出し、草花を操る3級生にいい戦いをし、結果なんとか勝ち越し、僕らと同じ3級に合格した。
ということで、今年の新3級生は僕、エリー、スタウロン、サイフォスの4人だけになった。
ただ、今年4人も出たことがすごいことで、新3級生がいない年も全然あったのだ。そう考えると、今年の奴らは期待されるに決まっている。
だから、僕ら4人は学校の1人の教師に目をつけられたのだ。