謎の地震に見舞われて1週間がたとうとしていた。
「結局なぜ全土で地震が起きたのか分からずじまいか...」
国交省が提出した書類を執務用の机に投げ捨て、部下の報告を待つ
彼の名は「ウィンチェスター・ビスマルク」
大本営・連邦軍議会省の省長で大元帥でもある。この国の軍部を統括している。
コンコン
「入れ」
「失礼いたします。偵察に出ていた航宙艦アワジから報告書がございます。」
「わかった。ありがとう。」
「失礼いたしました。」
「ふぅ..どれどれ~...」
航宙艦アワジ 偵察結果報告書
1.ミクロランド列島から北におよそ15kmに大陸あり
2.その大陸の生活水準は中世レベル
3.ラバール大陸から東におよそ900kmに大陸あり
4.その大陸の生活水準は北部が近代レベル、南部は中世から近代レベル
5.北ソビエト島から北西250kmに大陸あり
6.その大陸の生活水準は中世レベル
7.どの大陸からも魔術を中心とした国家共同体と思われる
8.東の大陸の一か国だけは機械文明と思われる。
「成る程な..」
ガシャ..ピ.ピ.ピ.プルルルルプルルルル
『こちら外務省です。』
「ウィンチェスター・ビスマルクだ、リラエル大臣につなげてくれ」
『承知いたしました。しばらくお待ちください。』
テレッテ~テレテ~♪
『リラエルです。』
”リラエル・エリーナ”彼女は、外務大臣を担っている。25歳という若さで期待の大臣と言われている。エルフ族の血を引いており、美人だ。
「私だ、突然電話して済まない。」
『いえ、構いませんよ?どうされましたか?』
「こっちでいい情報が入った、どうやら周辺に見たことのない大陸が三つ見つかった。」
『ほんとですか!』
「あぁ、本当だ。あとで正式な書類を出すから読んでくれ」
『いえ、今からそちらに行きます。』
「まじか。分かった、門番に伝えておく」
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コンコン
「入れ」
「失礼いたします。」
「来たか。これが報告書だ」
「ありがとう。....なる..ほど..」
「一国を除いてほとんどの国が中世レベルの生活水準だ。しかし軍事面では数が多い所もある。俺個人の考えとしたら、取りあえずミクロランド列島に近い大陸に外交官を送ろう。」
「そうね。私も賛成だわ。でも、私一人で決められることではないから一度、国会で決めましょう。」
「そうだな。一応今、暇している第七艦隊を動かせるから決まったら連絡してくれ。」
「ええ分かったわ。」
「後それとは別だが、妹がまた一緒にご飯が食いたいそうだ今度付き合ってやれ。」
「ふふ、分かったわ。予定空けとくわね。」
「助かる。妹が駄々こねて大変なんだ。」
「なら私からも一つ。姉のリリーラが一緒にお食事がしたいっていたわ。相手、してあげてね?」
「そうか、遠慮しておこう。」
「なんでよ。あなたも結婚しないといけない年なのよ?」
「まだ、俺には早い」
「つまんないお方ね、全く。妹様のお願いを聞いてあげるんだから、私の姉のお願いも聞いてちょうだい。」
「はぁ、分かったよ。予定空けとくよ...」
「ふふ、それでよし。」
「それじゃあ、外交官を送ることを協議してくるわね。失礼いたしました。」
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五日後、協議の結果、外交官を送ることが決まり、外交官を乗せた第七艦隊が首都ラバールから抜錨。
第七艦隊 編成
旗艦 エストシラント級戦艦二番艦テンシン
随伴艦
軽空母 サツリュウ型 サツリュウ
二等戦艦 ラスカル
重巡洋艦 キシジマ エシジマ コオジマ
軽巡洋艦 アワジシマ ネノジマ ハシダテ モガミ
駆逐艦 キシナミ型 キシナミ エノナミ カワナミ ハシナミ カゲナミ
イソカゼ型 サツカゼ キシカゼ カワカゼ ハツカゼ オカゼ
クキカゼ アワカゼ ニイカゼ タキカゼ イシカゼ
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中央歴1639年1月24日午前8時
クワ・トイネ公国軍第六飛龍隊
その日は雲が一つもなく見通しのよい空が広がっていた。
この世界では普通にみられる、”ワイバーン”と呼ぶ飛龍を操る、「竜騎士」という役職が存在する。選ばれた人のみしかなることが出来ず、乗れるものはエリートとされた。
今日も公国北東方面の警戒任務に当たっていたマールパティマは、暇だった。
公国北東方面は国がなく、先に進んでも海が広がっているだけであり、多くの冒険家が旅に出たものの、誰一人として帰ってこなかった。
こんなところを哨戒する必要性があるかと問われたら、あるといえよう。
何故かと言うと、ここ最近ロウリア王国と緊張状態が続いていおり、奴らの軍艦が大陸を迂回し、強襲する恐れがあり、それを早期に見つけ対処するためである。
ただ、ちょうど2週間前にこの地域では珍しく霧がかかっていた。もうその殆どが晴れているが所々まだ、霧がかかっていた。
「今日も異常なしか... 相棒少し疲れたな。まだ霧がかかってるし、ここ最近は変なことが多いなぁ...」
マールパティマは高度を少し下げ、基地に帰ろうとしていた。すると、彼の視界の隅で何かが光った。
「ん、なんだ?」
彼は瞬時に光った空の上を見上げた。彼は同僚より目がよく地球換算で視力が2.8~3.2まである。そんな彼は思いがけないものを見て思わず叫んでしまった。
「飛龍だとぉ!」
海が広がり何もないはずの東側の空から飛龍が飛んでいる。普通、味方のワイバーン以外に飛ぶものなんてありえないロウリア王国からここまで、ワイバーンの航続距離が確実に足りない。三大文明圏の国には、飛龍母艦とか呼ばれるものが有るらしいがロウリア王国が運用しているなんて聞いたことがない。そもそも彼らの技術的に作れないはず。勿論、祖国でもそんな船は持っていない。
豆粒の様だった飛龍も徐々に..いや、急速に近づいていた。それを見ているうちに、それが味方のワイバーンではないことを理解した。
「羽ばたいて...いない...だと!」
知っての通り、ワイバーンは”羽ばたくもの”。羽をもつ如何なる生物は基本、羽ばたく。羽ばたかずに空を飛ぶものなど、聞いたことがない。
「これはマズイ!き、聞こえるか!こちら、マールパティマ!我、未確認騎を発見!これより確認し、邀撃に向かう。現在地は北東…」
報告を終えるや、謎の騎影を見る。彼は、一度すれ違ってから、相手を確認してから接近しようと考えた。
幸いにも、自分と未確認騎は高度が同じだった。
未確認騎との距離がぐんぐん近づいていき、未確認騎とすれ違う。
未確認騎は彼阿が思っていたものよりずっと大きかった。羽ばたかない翼に、二つのブーンという音を立てる物体が付いており、体は銀色で所々に赤いラインが入っていた。胴体には、赤い丸に黒い縁取りが描かれていた。
胴体の先端に透明な部分がある。
(なんだろうか。目のようなものなのだろうか?)
透明ななにかを凝視していると、中にいた人のような存在と、目が合った。
「な!?」
彼は驚愕した。ワイバーンの中に人がいた。ありえないはずなのに...これはもしやワイバーンではない?
まじかで見た未確認騎は、全身金属でできているように見えた。つまりこれは、機械なのか!?
急いで反転し、後ろにつこうとしたマールパティマはさらに驚愕する。
「は!速い!速すぎる!」
ワイバーンは最高速度235km/h出る。しかし、未確認騎はこの速度をもってしても、まったく追い詰めることが出来ず、逆に突き放されていく。
あらゆる生物の中で圧倒的速度を誇るワイバーン(三大文明圏には、さらに強化された上位種がいるらしい)を軽々と引き離す未確認騎。
ここで迎撃できなければ、本土まで行かれてしまう。司令部に通信をかけようとした時である。
未確認騎は反転しマールパティマの方へと向かってきたのである。
マールパティマは攻撃されると思い回避行動をとった。しかし、未確認騎は何もせずに、マールパティマの周りを飛び始めた。
彼は、理解できず取りあえず司令部に通信した。
「こちら、マールパティマ。未確認騎を確認しようとするも、速度が速く確認できず。しかし、先ほどから私の周りを周っています。」
『なに!了解した!増援を送る、現在地を教えてくれ!』
「了解しました。現在地は…」
彼が報告している時、未確認騎が徐々に東の方へと流れているのが分かった。
(何故、東に少しずつ行ってるんだ?)
彼は不意に海の方を見ると、とんでもないものを見つけた。
それは、見たことのないほどの大きさを持つ船が円陣を組んで航行していたのである。
円は三層になっており、端の円は比較的に小さな船、中間の円には比較的に中くらいから大きい船、最後の円には巨大な船が二隻、中心には平たい船がいた。
この異常事態に、興奮気味に司令部に通信した。
「こちら!マールパティマ!我!未確認艦隊を発見!繰り返す、未確認艦隊を発見!どの船も信じられないほどの大きさです!」
「なに!?」
未確認騎はマールパティマが未確認艦隊についての報告をしていることに気づくとすぐさま高度を下げていき艦隊の中心にいる船に向かって飛んで行った。
マールパティマはこの行為に疑問を持ちながら未確認騎の動向を見た。すると、未確認騎は平たい船に突っ込んで..いや..着地した。かれは何度目かわからないがまたも驚愕した。三大文明圏のような進んだ技術を持つものにしか作ることのできない、”竜母”を持っているということを。
「こちら!マールパティマ!未確認艦隊は竜母を保有している!繰り返す、未確認艦隊は竜母を保有している!」
打つ手なしである。アレほどの大きさの船であれば何騎のワイバーンを飛ばせるのか...。彼は絶望していた。
艦隊は飛行機械を収納すると反転し東へ帰っていった。
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その日の夜、20時
クワ・トイネ公国 首都クワ・トイネ 政府官邸
臨時で開かれた政治部会に出席した首相のカナタは頭を抱えていた。カナタだけでなく、出席した人々全員が頭を抱えていた。その原因は軍務から提出された報告書であった。勿論、今朝起きた未確認騎および未確認艦隊の報告である。これが事実とは思えないが、沿岸近くまで接近しており軍民問わず多くの人が見てしまった以上、事実なのだろう。国籍は不明なためロウリア王国の可能性もある。
「皆、この報告書を読んだか?」
カナタが発言すると、全員がうなずいた。
「この報告について、皆の者はどう思う。どう解釈する?皆の意見を聞かせてくれ」
カナタの発言に、情報分析部の部長カリフォスが手を挙げ、発言する。
「情報分析部からは、先ほどの報告書から読み取った結果、恐らく三大文明圏の一つである列強国ムーの発明した飛行機械に酷似した何かだと思われます。ですが、ムー国が開発した飛行機械は最新鋭のものでも最大で時速350km程度です。この未確認騎は”約時速500㎞以上”を超えています。ただ...」
「ただ?」
「ただ、ムーの更に西に、文明圏外の果てに新興国家が出現し、周辺国家を配下に置き、暴れまわっているとの報告が来ています。諜報部からの情報によれば、自らを第八帝国と名乗り、第二文明圏外諸国すべてに宣戦を布告したと、聞いております。彼らがどのような武器を使うのかは、不明です。」
会場に僅かに笑いが起きる。文明圏外の新興国家が、仮にも3大文明圏5列強国のうち2列強国がおり、それらに釣られるように、そこそこの国力を持っている第二文明圏外国一国ならまだしも、すべての第二文明圏諸外国を敵に回すなんて、無謀にもほどがある。
「ですが、第二文明圏外の最果ての国家です。ムーまでの距離ですら2万㎞以上も離れています。それより遠い国家のものがここまで届くでしょうか?どうしても考えにくいです。」
会議は振り出しに戻る。答えなど出るわけがない。なんせ情報が少なすぎるからだ。ただでさえ、ロウリア王国との緊張状態が続き、頭を悩ませているというのに。味方ならば接触を図りたいのだが、その国はあろうことに領空侵犯をし、大艦隊を沿岸に見えるようなところまで侵入してきたのである。これら行為は敵対行為であり、その点から敵である可能性が高い。
その時である。
部会中であるにも関わらず、ノックもなしに外交部の若手幹部が、息を切らしながら入っていく。
「何事かぁ!会議中であるぞ!」
外務卿リンスイが部下を咎めるが、カナタはそれを制する。
「いや、そう分かった上で来たのでしょう?よほどな事態なのでしょう。私もいる、話を聞かせてくれ。」
「は!失礼しました!報告させていただきます!」
「先ほど、マイハークの沖合いに、全長240メートル以上の超大型艦が現れました。臨検した海軍の話によれば、同艦にはラバール連合王国と名乗る国の特使が乗っており、我が国との国交を求めているとのことです。」
ここまでなら、理解できなくもない話である。だが、その後の報告に耳を疑った。
その報告をまとめると以下の通りである。
1.ラバール連合王国は、突如としてこの世界に転移してきた。
2.周辺に大陸、もしくは文明があるかを確認するために機動部隊を派遣した。その際、哨戒機が貴国を発見した。
哨戒の一環として、哨戒機と艦隊が貴国の領空・領海を侵犯したことについては深く謝罪する。
3.クワトイネ公国と会談を行いたい。
あまりにも突拍子もない話であったが、臨検にあたった者たちは、全員口を揃えて、あんな丁寧な対応は見たことがない、と報告が上がっている。カナタ少しの望みにかけ発言する。
「ラバール連合王国の特使に会うことにしましょう。」
これにはリンスイは反発する。
「カナタ首相!仮にも、領空・領海侵犯をした者たちですぞ!そのようなものたちなど相手にしなくてよいですぞ!」
「しかし、リンスイ卿もしこちらが拒否でもして彼らが襲ってきてでもしたら元も子もないでしょう。一度話してからでもよいではないですか。」
「しかし...」
「もし彼らが友好的な人たちならば、これほどの船を作れるような人たちだ。彼らの技術を会得したならばロウリア王国を対抗できるかもしれないでしょう?」
「く..」
「彼らを連れて来てくれ」
次回予告
「我が国と同盟を結んでいただけるのでしたら...」
「なに!?」
「皇帝!陛下!ご登壇!」
次回、会談
*あくまでも予定ですので変わるかもしれません