今と昔で変わった喫茶店で、看板娘と元居候が出会った 作:ボルメテウスさん
「それでは、閉店ボドゲ大会っスタートッ!」
リコリコ看板娘である彼女の号令と共に、この喫茶リコリコでの恒例のボードゲーム会が開催される。
そこには、既にリコリコで馴染み深い客が集まっていた。
それは勿論、五代も同じだった。
「いやぁ、こういうゲームって、結構面白いねぇ」
「五代君は、結構色々な所で旅をしているんだよね」
「えぇ、そこでのゲームに参加しているので、結構面白いですよ」
「いいねぇ、世界を放浪する旅人で。
あれ、そう言えば、こっちでは」
「いやぁ、少し知り合いの伝手で、なんとか借りれたアパートで」
「確かもぅ結構良い歳なんだろ。
確か40だっけ?」
「マジで、40っ!
見えないわぁ」
そう言いながら、五代の年齢を発覚すると共に、未婚であるという事。
「あれ、こういうので反応する奴がいないな」
そう言いながら、リコリコで、最近加入したメンバーの一人であるクルミは疑問そうに首を傾げる。
「いや、収入不安定な奴はちょっとって、言っていたねぇ。
私としては、結構ありだと思うけどねぇ」
千束は笑みを浮かべる。
「いや、それはさすがに犯罪だろ」
「親子ぐらいの歳の差だろ」
「えぇ、そうかなぁ」
そうふざけ合いながら、ゲームの雰囲気を楽しむ様子が見た。
(それしても、五代雄介か)
クルミはふと、ゲームに参加する五代を見る。
彼女、クルミはとある一件で、ここリコリコに匿ってもらっている凄腕のハッカーであるウォールナッツの正体でもある。
そのハッキング技術は世界でもトップレベルである。
だからこそ、彼女はとある事を調べていた。
(未確認生命体4号に関する情報は警察でもトップシークレットになっている。
それで、分かった情報だけでも、本当に信じられないし、正直に言って、伝えるかどうか悩むなぁ)
そう、ゲームを行いながら、笑い合う二人を見て、クルミは溜息を吐く。
おそらく、互いに互いの正体を知らないだろう。
千束は、五代が自分の命の恩人である4号だという事を。
五代は、千束が10年前に助けた少女だという事を。
それなのに、こうして笑い合えるのは、ある意味、奇跡に近いだろう。
「それにしても、最近はまた多くなったねぇ、未確認」
「今度はなんか、妖怪っぽい見た目をしているんだよねぇ。
まったく、どうなっているんだが」
「妖怪って、あの妖怪?」
「そうそう、もしかしたら、妖怪のモチーフが未確認だったりして」
「なんか、冗談に聞こえないよ、それぇ」
「確か、目撃されたのが、かまいたちに大ムカデに土蜘蛛だっけ?」
「本当、あいつらは何が目的なんだろうねぇ」
「本当にねぇ」
そう言いながら、雑談を行っている間にも千束も五代も当事者という事で、苦笑いをしていた。
その姿は、まるで親子のように見えた。
「似た者同士という訳か」
そう言ったクルミの一言。
それが、ある意味、本当に当たっているとは。
この時は、クルミ本人も思いもしなかった。