今と昔で変わった喫茶店で、看板娘と元居候が出会った 作:ボルメテウスさん
その日の朝から雨が降り続けている。
その影響もあってか、何時もは賑わいのある喫茶リコリコは、現在は客はほとんどいない。
それは、看板娘である錦木千束と井ノ上たきながいない事も関係していた。
そんなリコリコのドアが開く。
「いらっしゃい」
店長であるミカは挨拶すると共に、入って来た客を見る。
「こんにちわ、ミカさん、ほら、一条さん、ここですよ」
「ここか、確かに、面影はあるな」
入って来た2人の男を見て、ミカは驚いた表情を浮かべた。
「いらっしゃい、五代君。
まさか、君が連れと一緒に来るとは。
いつもは1人なのに」
「実は一条さんも、この喫茶店の事を気になっていたそうで。
あっこの人はマスターのミカさん。
それで、こっちは」
「一条薫です。
ここの以前のマスターとは、私も知り合いだったので」
「そうだったのか、まぁ、ゆっくりとしていきなさい。
幸い、今日は他には客もいないからね」
「ありがとうございます」
一条は軽く頭を下げてから、ミカの言葉に従ってカウンター席へと座った。
それから、どれを食べようと迷っていた時だった。
五代達の隣に座る少女がいる事に気づいた。
「えっと、この子は」
「あぁ、この子はクルミちゃんと言って、少し前から居候しているらしいんだ。
結構頭が良くて、凄いんですよ」
クルミの存在に気づいた一条は、気になり質問すると、五代が代わりに言う。
「へぇ……そうなんですか?」
「まぁな。
色々と気になる事もあるからね。
今はそうだね、やはり、未確認の事だね」
その事に、思わず一条は少し警戒してしまう。
「特に帰ってきた4号に関してはね。
そうだろ、五代」
「えっ、うん、そうだね。
まぁねぇ」
そう五代はまるでその話題をはぐらかすように返事をした。
「・・・はぁ、2人共、別に隠さなくても大丈夫だ。
彼女は既にクウガの事を知っている」
「えっ、それって、本当ですか」
「どうして」
その事に五代も一条も驚きを隠せなかった。
「それは、ボクがこの前、警察にハッキングしたからだよ」
クルミはあっさりと言う。
それに五代と一条は言葉を失う。
「それを、なぜ、目の前で」
「知りたいからだよ。
未確認が、なんでリコリスを狙っているのか」
そうクルミは問いかけるように見つめる。
「彼女は一体」
「訳ありで、匿っているハッカーだ。
腕は既に知っての通りだ」
「まぁね、けど、ハッキングしても分からない所があってね。
直接、本人から聞こうと思ってね」
「その事は、彼女達は」
「知らせないつもりだ。
君も、その方が良いだろ」
「・・・そうですね」
そう、五代は少し複雑そうな顔をしながら、ため息を吐く。
「俺達も、絶対という自信はないですが、、良いでしょうか?」
「あぁ、構わない」
「これまでの調査の記録で分かった事ですが、未確認達が狙う者として、主に封印を解く存在である巫女を殺す事が目的としています」
「巫女?
それが、なんでリコリスを狙う理由に?」
「巫女と言っても、当時の巫女という存在が異形の者と戦う記録。
これは、当時の未確認の事を指していると考えています。
巫女は、その身を使い、封印をした。
その封印を解く為には、巫女の心の臓を止める事。
それが条件だと、書かれていました」
「それは、分かるけど、なんでファーストリコリスばかり?」
「巫女の衣服に使われている赤。
あれは、当時の彼岸花と似た色とされており、それに封印の意味をつけていたとされています」
「なるほどねぇ、もしかしたら、リコリスの起源は、それに関係しているかもしれないねぇ」
「そして、未確認が狙う理由も多生納得できた。
それで、五代君はこれからどうするんだ」
「今まで通り、未確認と戦うつもりです。
けど、どうしても、駆けつけるのが遅くなってしまう所もありますから」
「まぁ、四六時中いる訳にはいかないからねぇ」
そうクルミは呆れながら言う。
「ふむ」
するとミカは何か考え込むように頷く。
「五代君。
君は確か、喫茶店で働いた経験はあったね」
「えぇ、まぁ」
「それだったら、問題はなさそうだね」
「おい、まさか」
そのミカの言葉に驚きを隠せないクルミ。
そして、それが翌日、すぐに実行される事になった。
「今日から居候兼バイトする事になった五代雄介です!
よろしくお願いします!!」
「おぉ、嘘!
五代さんも働くの!!」
突然の事に、千束は目を見開いて驚く。
だが、同時に嬉しくなったのか、笑みを浮かべていた。
それとは別にたきなは隠れて、ミカと話していた。
「店長、これは一体」
「これから先、店を開ける事が多くなる。
その際でも、問題ないように、五代君を雇った」
「けど、私達の仕事に関しては」
「問題ない。
私の方から、上手く説明する」
「ですけど」
「安心したまえ。
彼だったら、問題ない。
何よりも」
「それじゃ、それじゃ!
今日から先輩!
あれ、私よりも先に働いていたから、私の方が後輩?」
「うぅん、どっちだろう?」
そう先輩か後輩か、困惑する2人に対して、たきなは呆れたように見る。
「まぁ、店長が判断するのでしたら」
「すまないな」
それによって、話はそこで終わった。
そんなやり取りに対して、クルミは呆れたように見つめていた。
「いやぁ、本当に、これはどうなる事やら」