今と昔で変わった喫茶店で、看板娘と元居候が出会った 作:ボルメテウスさん
その日、五代は店長であるミカに頼まれて、コーヒー豆を仕入れるために町へ出かけていた。
ミカの店では様々な種類のコーヒー豆を取り扱っており、その中でも五代が特に気に入っているのは、苦味と酸味のバランスが取れたマイルドな味わいが特徴の「コロンビア」だ。
「この豆ならきっと喜んでくれるはず……よしっ!」
目当てのものを見つけた五代は意気揚々とコーヒー豆を手に持ちながら、そのまま店へと戻ろうとした。
既にバイクには乗らず、徒歩で移動している途中であった。
その時だった。
(あれ? あの人って……)
ふと、視界の端に見覚えはない。
店の常連でもない。
五代自身の知り合いでもない。
だが、五代は、その人物が気になった、
季節外れの腰まで届く黒いコートに緑色の髪。
どこか怪しさがあるその人物に対して、五代が得に気になったのは、彼の重心だった。
その違和感は、長い間、世界中を旅をしていた五代だからこそ理解した。
(あの人っ、銃を持っているっ)
住人が多くいるこの大通りでそんな物騒なものを持ち歩くなんて普通じゃない。
しかも彼は、それを隠している。
手慣れているテロリストやマフィアのような気配はないが、何か危険な匂いを感じる。
五代はすぐに向かおうとした時だった。
「……ビートチェイサー。
それも、今は生産されていないモデルか」
五代の気配を感じた男が振り返る。
五代に目を向けた男は、笑みを浮かべる。
「おいおい、なんだよ。
そのバイクって、確か、未確認生命体四号が乗っていたバイクだよな。
しかも、今は生産されていないはずなのに、持っているなんて」
同時に、五代の持つバイクを見て、笑みを浮かべる。
その笑みは、まるで獲物を見つけて喜んでいるような、そんな笑顔だ。
そして、男は言う。
「お前、4号だな」
その言葉を聞いた瞬間、五代の警戒心が高まる。
「まぁまぁ、別に俺はお前の敵じゃないよ。
味方でもないけどな」
「……隠している銃を、どうするつもりだ」
「おっ、さすがは歴戦の戦士だねぇ。
これの事もすぐに分かっているのか」
そう、パンパンっと、隠している銃を服の上から叩く。
「安心しろ、あんたが手を出さなきゃ、俺もこいつを使わない。
何よりも、それじゃ、バランスが悪いだろ」
男は笑う。
「まぁ、俺も、この後仕事だからね。
けど、まぁ、あんたに聞きたい事があるんだけど、良いか?」
「……何だ」
「あんたは、なんで未確認と戦っているんだ?
見れば、ただの一般人だが?」
「……皆の笑顔の為に。
それだけだ」
「そうか、じゃあな」
それだけ言い、男は去って行った。
五代は、その場ですぐに動く事はできなかった。
それでも、次に見つけた時には、すぐに見つけられるように。