今と昔で変わった喫茶店で、看板娘と元居候が出会った 作:ボルメテウスさん
その日、千束ちゃんの様子が変だった。
昨日の、謎のテロリストの襲撃があった後という事もあり、彼女自身も何か大きな心境の変化があったのだろう。
あの年頃の子ならば、何か起きると、考えても良いけど。
「それで、俺に、相談という訳か?」
「はい、一条さんだったら、結構詳しかったりしないのかと思いまして」
「そう言われても」
喫茶リコリコでは、どういう訳か、俺とミカさん以外が、休憩室に入っている。
というよりも、千束ちゃんから「少しの間だけで良いから、先生を足止めしておいて!」と言われた為である。
同時に、この前の1件も兼ねた報告に来た一条さんも来ていた為、俺はそのまま一条さんと一緒に話していた。
「それにしても、千束が悩み事か、この前の1件も、未だに謎が多いからな」
「警察でも一応、操作は行いましたが、やはりDAによって、操作はそこまでは行えませんでした」
「そうか、こちらの事とはいえ、すまない」
「いいえ、事情は、承知していますから」
そう、一条さんは、そのまま頷いた。
「けど、こうして、このお店で見ても思いますが、本当に、まだ子供が銃を持っているなんて」
「・・・警察としては複雑か?」
「そうさせない為に、警察で働いていたつもりでしたから」
その言葉に対して、ミカさんは、頷く。
「・・・いつか、本当の意味で、ここが喫茶店になると良いですね」
「あぁ、あの子が始めた事だが、今では、私にとっても、大切な居場所となったからな」
ミカさんの、その一言は、確かな思いを感じた。
「お持たせしましたぁって、お客さん?」
「おぉ、イケメンじゃない!えっと、お名前は?」
そう、一条さんを見ると、千束ちゃんは驚きを隠しており、ミズキさんは、そのまま詰め寄る。
「あぁ、一条薫です、一応、刑事をやっています」
「一条?それって、もしかして、未確認生命体事件の時に第一線で活躍していた刑事か?」
「えっと、つまりは、年齢は」
「今年で43になります」
「うっぐぅ、かなり年上、だけど、結構若々しいし、うぅん」
一条さんの事を聞くと、何やらミズキさんは、頭を抱え始めた。
それと共に千束ちゃんは、目を輝かせた。
「もしかして、もしかして、クウガの事も知っているんですか!!」
「えっ、クウガの事をかい」
そう、千束ちゃんの反応を見て、一瞬だけ、俺の方を見た。
「はい!私、実は10年前に助けられたんです!そこからずっと、私にとっては、ヒーローですから!」
そう言った、千束ちゃんの目を見て、一条さんは、少し迷った。
「10年前か、あの時の事件か」
「その時ももしかして担当に?」
「まぁね」
それと共に、苦笑をした。
「一応、色々と規則で話せない事が多いからね」
「そっかぁ、残念だな、クウガの事、もっと沢山、聞きたかったのになぁ」
「そうだな、俺からの印象だけで言えば、一つだけ」
「おっ、なんですか!!」
それと共に千束ちゃんは、そのまま目を見開いて、近づく。
「4号は、俺が知っている誰よりも優しかったかな。彼は、殴る事も嫌いだった。けど、それをしなければ、守れなかった」
「・・・そっか、それを聞いたら、なんだか嬉しいかな」
「嬉しいかい?」
「はい、私が好きなヒーローは、本当に優しくて、だからこそ、目指したい人だって、分かったから」
その言葉の意味がどうなのか、俺達は、分からない。
けど、彼女自身も、今の、この瞬間の何かがあったんだろう。