今と昔で変わった喫茶店で、看板娘と元居候が出会った 作:ボルメテウスさん
その廃ビルでは、銃の取引が行われていた。
しかし、そこに現れたのはテロリストだけではなかった。
「まさか、こいつまで現れるとは」
その言葉と共に、リコリスの1人であるフキは舌打ちをしながら、目の前にいる存在に目を向ける。
そこには口周りに発達した牙、蜘蛛の腹部のように膨張した臀部、8本の手足をした存在。
それは、過去に未確認生命体1号の特徴とよく似た存在だった。
その未確認生命体の目的がなんなのか、その場にいるリコリス達には分からなかった。
しかし。
「こっちの命を狙っている事だけは確実っ」
その言葉と共に、その未確認生命体から放たれる攻撃を避けるように、ビルから下の階へと逃げながら、銃で牽制する。
今の彼女達の手持ちにある銃弾では、未確認生命体に対抗する事ができない。
だからこそ、彼女達が今、行っているのは、撤退だった。
しかし、それを未確認生命体は許さなかった。
フキ達はなんとか、その攻撃を避けながら、逃げていく。
だが、そこで未確認生命体の攻撃によって、壁が崩れる。
それにより、彼女は下に落ちてしまう。
「痛っ」
瓦礫に挟まれてしまったのか、彼女の動きが鈍くなる。
そんな彼女を未確認生命体は見逃さない。
その巨大な腕を彼女に振り下ろしてくる。
それに対して、フキも抵抗するように銃を構えて発砲するが、それでは未確認生命体を止める事はできなかった。
「よっと」
それと共に聞こえたのは銃声だった。
見ると、フキには見覚えのある人物だった。
「千束っ!」
それはフキの同期である千束だった。
「まさか、未確認がここにいるなんて、とんでもないねぇ」
そう千束は軽口を言いながらも、そのまま構えていた。
「あんた、神経断裂弾はっ」
そうしながら、神経断裂弾を持っているかの確認を行う。
過去の事件において、未確認に対して有効な弾丸。
それは、日本における最強の威力を誇る弾丸の事だ。
「そんな高級品、持っていると思う」
「だよなぁ」
しかし、未確認生命体が最後に確認されてから10年。
既に過去の遺物となっているそれをリコリスの2人が持っていなかった。
「それでっどうするの」
「なんとか増援が来るのを待つしかないけど、保つかなぁ」
それと共に千束はこの状況の打開を考える。
だが、その時だった。
聞こえてきたのはバイクのエンジン音。
それが何なのか疑問に思い、2人は見つめる。
それと共に、壁が破壊される。
破壊された破片と共に、中に入ってきた存在。
それは、バイクに乗った人物だった。
ヘルメットを被っており、その顔を見る事はできなかった。
しかし、次の瞬間、バイクに乗った人物は腰に手を当てる。
その瞬間、その人物は叫ぶ。
「変身っ!」
同時にその姿は大きく変わる。
それと共に変わった姿を見て、千束は、フキは驚きを隠せなかった。
黒のインナースーツのようなものに赤い鎧、赤い眼、黄金に輝く二本の角。
それは2000年の始まりと共に現れた伝説の存在。
「ビガラパ、クウガッ」
「クウガ?」
未確認生命体が叫んだ言葉の中で、まるで個人を示すように言った言葉。
クウガという言葉に千束は疑問に思う。
そうしている間にも、未確認生命体はすぐにクウガに襲い掛かる。
コンクリートの壁を軽々と破壊する事ができる蜘蛛の脚。
それに対して、クウガは避けようとする事もなく、真正面から受け止めた。
衝撃と音が響き渡る。
その光景を見て、千束は思わず笑みを浮かべる。
「やっぱり凄い」
その攻撃を受けても、クウガはまるで動じなかった。
そのままクウガは腕を振るう。
ただそれだけの行動で、蜘蛛型の怪物の腕は吹き飛んだ。
それにより、クウガの動きは加速した。
一瞬にして距離を埋めて、クウガはその拳を叩きつける。
未確認生命体は、簡単に腕をもぎ取られ、地面に叩きつけられる。
そしてクウガはそのまま、追撃を行う。
クウガの攻撃は止まらない。
次々と繰り出される攻撃に、未確認生命体は悲鳴を上げる暇もないほど追い詰められていく。
圧倒的な力の差を見せつけられ、蜘蛛型未確認生命体は逃げ出そうとするが、クウガはそれを許さない。
「ふぅ」
ゆっくりと、クウガは構える。
両腕を開いて腰を落とした構えを取る
未確認生命体に向かって走り出す。この際、足の裏から炎が上がる。
タイミングを見計らってジャンプ
「うぉりゃああああああ!!」
その叫びと共に飛び蹴りをぶちかます。
「ガアァアァ」
敵の身体を蹴り、左の手と膝をついて着地。
同時に身体の様々な箇所が崩れ、それと共に未確認生命体は地面に倒れる。
「ジガンダバゾ、ヂサギ、キュグキョブンジャリゾッ」
「っ」
それと共に死の直前に言った言葉。
それに、クウガは反応した。
同時に未確認生命体はそのまま爆散する。
「これが、未確認生命体4号っ」
フキは、自分では敵わなかった未確認生命体をあっさりと倒したクウガに対して、恐怖があった。
もしも、自分に向けられたら。
そう考えている間にも、クウガはそのままバイクへと近づく。
「あのっ」
そう考えている内に千束は、クウガに叫ぶ。
「あの時、10年前っ助けてくれてっありがとうございます!!」
そう、千束は言う。
それが何の事なのか、フキは首を傾げる。
それに対して、クウガは、こぶしを握り、親指を立てて上に向ける。
それはサムズアップ。
「クウガだから」
「っ!」
クウガからの、言葉。
それにフキは驚きを隠せなかった。
しかし、その驚きを余所に、クウガはそのままバイクを走らせる。
「クウガ。
それが、名前」
それに、千束は笑みを浮かべた。