今と昔で変わった喫茶店で、看板娘と元居候が出会った 作:ボルメテウスさん
たきなにとって、その状況は、まさに少しも油断できない状況だった。
銃取引が行われただろう写真を撮ってしまった女性、篠原沙保里の護衛任務を行っていた。
銃取引の事に関しての情報を取るのに、必死になっていた彼女だが、千束がそれを止めながら、誘拐犯達を制圧した事によって、事件は解決した。
そう、誘拐事件は。
「リヅベダ。ガバギズブンダダバグリント」
「っ」
闇の中から聞こえた声。
それと同時にたきなの行動は早かった。
その声の主に向けて、その手に持った銃を真っ直ぐと銃口を向ける。
夜の闇の中から現れた存在。
それは、まるでイタチを思わせるグロンギだった。
腕には鎌があり、その斬撃がたきなに襲い掛かろうとする。
すぐに身体を屈む事で、その斬撃を避ける事はできた。
同時に後ろにあるコンクリートの壁に鋭い斬撃ができた。
それだけでも、その脅威がどれほどなのか、理解した。
「たきな、横に避けて」
「っ」
聞こえた声と共に、横へと飛ぶ。
同時に、グロンギに向けて、弾丸がグロンギに当たる。
胴体へと当たったグロンギは何が起きたのか分からない内に、心臓部へと手を当てる。
それと共に膝から崩れ落ち、そのまま動かなくなる。
「今のは」
あっさりとした決着。
それにたきなは目を見開きながら言う。
「そう、未確認が出た時の対抗手段としてね。
正直言うと、使いたくなかったけど」
そう、千束は少し悲しそうに呟く。
それが何を意味するのか、疑問に思っている間にも、千束は再度銃を構える。
「本当に、どうなっているのかなぁ」
そう千束は呆れたように笑みを浮かべる。
たきなも同時に構えると、そこにいたのは先程倒したはずのグロンギがそこにいた。
見た目の特徴は先程のグロンギと似た容姿をしていた。
そこから考えても、同族だとすぐに判断できた。
「ラガバ、ボボラゼジャババギバゴンザギビバデデギスドパバ」
「ギラザビバブジヅバゴンザギパゴラゲザベバサダ、ボボゼバンドギデロボソグ」
そう、複数はいるだろうグロンギ達はそのまま千束に向けて、喋る。
「うわぁ、相変わらず、何を言っているのかさっぱり分からない」
「超古代の言葉らしいですから、専門家ではないと」
そう言いながら、たきなは既にグロンギが出現した際からスマホで録音を行っていた。
それはグロンギ達の目的を知る為、少しでも情報を得る為。
会話を残していた。
そうしている間にも、グロンギ達は瞬く間に千束に向けて襲い掛かる。
既に構えていた千束はすぐにその行動に対して、後ろに下がる。
攻撃が来たら、避け、反撃する。
そう思いながら、既に銃を構えていた。
だが、グロンギ達の動きは予想外だった。
「えっちょいちょい!!」
グロンギの後ろにいたもう一体のグロンギはそのまま後ろから飛び出して、その刃を千束に襲い掛かろうとしていた。
だが、その動きに対して、千束はそのまま地面を滑り込むように屈む事で、避け、そのまま真上にいるグロンギ達に向けて放つ。
しかし、グロンギ達は既にその場から飛び退いて、下がっていた。
「いやぁ、これは結構やばいかも」
グロンギとの本格的な戦い。
以前とは違い、逃げの一手ではなく、確実に倒せる手段がある。
それでも、グロンギを倒す事は問題なかった。
そう、普通ならば。
(思ったよりも、堪えている)
それは、グロンギを1人倒した事で感じた震え。
これまで、千束は人を殺さない戦い方をしていた。
だが、グロンギに対して、それは通用しない。
まさに苦渋の決断であり、人を守る為に倒す。
グロンギが人ではない。
そう思うように戦っていた。
しかし、実際に目の前で。
人の形をした存在を撃ち殺した。
それが千束にとっては予想外のダメージだった。
震えは未だに収まらず、千束を襲い掛かろうとするグロンギ。
それに対して、千束はそのまま構えようとした時だった。
聞こえるのはバイクのアクセルの音。
こちらに向かって、勢いがある。
その音に、千束は聞き覚えがあった。
同時にグロンギ達は思わず構える。
「クウガっ!!」
グロンギの一体が叫ぶ。
それが何を意味をするのか、その場にいた全員が理解した。
「クウガって、まさか」
そう考えている間にも、グロンギの前に、千束を守るように現れた存在。
バイクに乗った赤い鎧を身に包んだ戦士、クウガ。
それが、千束達を守るように立つ。
「あれがっ未確認生命体4号」
以前の銃取引の際、新たに出たグロンギから即時撤退を行った為、たきなはその姿を見るのはこれが初めてだった。
だからこそ、こうして対峙した瞬間、警戒した。
それに対して、千束は安堵と共に罪悪感があった。
殺す必要がないと。
その感触を押しつけているのではないかと。
しかし、そんな千束に対して、クウガは千束に振り返らず、指だけでサムズアップした。
『あとは任せて』と、まるで言うように。
それが千束にとっては少しの安堵があった。
同時にクウガは、その後ろにいる少女達を守るように、目の前にいるグロンギと戦う。
その数は複数。
正確な数は路地裏にある僅かな明かりと、バイクのライトでしか捉えれない。
グロンギ達は、その手にある鎌を、そのままクウガに襲い掛かる。
一撃一撃は軽く、クウガは軽く受け流す事ができる。
しかし、その隙は無かった。
複数いるグロンギ達は、その隙を埋めるように連携を行う。
その連携によって、クウガは次の攻撃に移る事はできなかった。
「ぐっ」
その証拠に、真っ直ぐと殴ろうとした拳に、鋭い痛みが走る。
掠り傷程度であったが、それは確かにグロンギの攻撃だった。
しかし、それは一つだけではなかった。
軽く見ただけでも10。
それも一瞬で増える。
クウガはそれに驚きながらも、なんとか避けようとする。
だが、それを阻むように、別のグロンギ達が攻撃を仕掛けてくる。
クウガはその攻撃を何とか防ぎながら、それでも背後の人を守る為に戦う。
現在の赤の姿では勝てない。
それは既に理解している。
しかし、別の姿に変身する隙。
それすら、目の前にいるグロンギが与えてくれない。この狭い空間の中で、複数のグロンギに囲まれれば、それは詰みの状況だ。
クウガはどうにかしてこの状況から抜け出す事を考える。
(どうする?)
そう思いながら、クウガは目の前にある攻撃を防御を続ける。
それと共にクウガの目の前に迫っているグロンギが、刃が届きそうになった時だった。
クウガの頬を通り過ぎるように、グロンギの一体に弾丸が当たる。
その弾丸は、グロンギの動きを止める。
それは、後ろにいる千束による攻撃だった。
「超変身!」
同時にクウガの姿は赤から青へと変わる。
その変化と共に、近くに落ちていた鉄棒を拾う。
すると、鉄棒を拾い上げ、構える。
同時に鉄棒は、クウガの武器でるドラゴンロッドへと変化する。
それが意味するのは、戦況が大きく変わった事を意味する。
グロンギ達は先程と同様に隙の無い連携による斬撃で、クウガに襲い掛かる。
しかし、襲い掛かる斬撃に対して、クウガはその手に持つドラゴンロッドで受け流す。
受け流した先には、他に攻撃を仕掛けようとしたグロンギがおり、互いに身体が激突する。
それによって、連携が崩れた隙を狙うように、クウガはそのままドラゴンロッドでグロンギの一体に突く。
「ガアァァァ」
その一撃は、グロンギにとっては必殺の一撃となり、その身体から紋章が現れると共に爆散する。
「ガビビ!」
「ビガラ、ジョブロガビビゾ!!」
その事に動揺を隠せない2体のグロンギ。
しかし、動揺は束の間。
まるで、仇討ちを行うように、2体のグロンギはそのままクウガに迫る。
迫り来る攻撃に対して、クウガは回避行動を取る。
2体の攻撃を回避しながら、クウガは壁に向かって跳躍し、そのまま壁に足を付け、蹴り飛ばす事で宙返りを行いながら、2体を飛び越える。
それと同時に、クウガはドラゴンロッドを構えると、そのまま振り下ろす。
その一閃によって、2体は地面に叩きつけられる。
そして、地面に着いた瞬間に、クウガは再び跳躍し、ドラゴンロッドを振り回す。
「ガボッ!?」
クウガの攻撃により、地面に倒れたグロンギの1体が悲鳴を上げる。
しかし、それでも尚、クウガに対する怒りの方が勝り、立ち上がろうとする。
だが、そんな事を許さぬかのように、もう一体も起き上がると同時に襲いかかってくる。
だが、クウガは軽く宙を飛ぶ。
人間では決してあり得ない跳躍力でグロンギの攻撃を避けると共に、ドラゴンロッドを短くし、真っ直ぐとグロンギに投槍する。その結果、グロンギの1体の心臓部を貫く形で貫かれる。
それにより、グロンギは爆発を起こす。
「ゴドグド!」
地上に降り立ったクウガは、瞬時にドラゴンロッドを拾うと共に、グロンギに構える。
「クウガ! ガビドゴグドグドンバダビパギズセグヅ!」
グロンギは、そう叫びながら、その場から去って行った。
それに対して、クウガはすぐに追いかけようとした。
だが、それと共に聞こえた苦しむ声。
見つめた先には車に取り残された男の声だった。
クウガはすぐに男に近づく。
怪我をしている様子はなく、安堵していた。
「クウガ」
そう、千束は見つめる。
クウガもまた、千束を見つめた後、すぐに近くに止めてあったバイクへと乗り、去って行った。
「あれが、クウガ」
「あれでは、もう」
「そうだね、今はもう話す事はできないねっと」
そう言いながら、千束はそのまますぐに電話をかけた。
「千束は、やはり4号の事を味方だと思いますか」
「それは勿論。
私の命の恩人でもあるけど、何よりも戦いよりも命を救うのを優先した」
それは、クウガが気絶した男を心配して駆け寄った場面。
それだけで、千束はクウガを信頼できた。
「それにしても、あれは」
そんな中、たきなが疑問に思ったのは、クウガの乗っていたバイク。
「どうしたの?」
「4号が乗っていたのは、ビートチェイサー2000です」
「あぁ、あのバイク?
なんだか、格好良いよねぇ」
「あれは、警視庁が製作したバイクです。
盗品の可能性があります」
「えぇ、まさか盗んだの!
だけど」
「……」
そう千束が思い悩んでいる間にも、たきなは別の事を考えていた。
4号と警察は協力関係にあり、それはつまり4号の正体を探るには警察を調べる必要がある。
「それが、復帰に繋がるかもしれない」
謎だった