今と昔で変わった喫茶店で、看板娘と元居候が出会った 作:ボルメテウスさん
その日、阿部は自分が所属する押上警察署での捜査会議に参加する事になった。
長い刑事人生でも、それが話題に上がる事は珍しいだろう。
「それにしても、まさかこれに参加できるなんて」
「まったく、うかれるなよ」
そう、一緒に行動している若手の刑事である三谷に言う。
「浮かれるというよりも、この事件に対しての疑問は多くあると思いますが」
「まぁ、そうだな」
そう言いながら、今回の会議の議題である未確認生命体に関する会議だった。
20年前に出現し、未だに謎の多い生命体。
その多くは何かの生物の特徴を持ち、ゲゲルと呼ばれている殺人ゲームを行う。
それらによって、日本の恐怖に陥れた。
「先輩も、やっぱり見たんですか。
その、4号に」
「・・・まぁな」
そう、三谷は気になり、尋ねる。
4号こと、クウガは、警察と協力し、数多くの未確認を倒してきた。
その事もあってか、クウガに関して気になる若手も多く、三谷もまたその1人だった。
「そう言っても、俺が参加したのは1度だけだ。
それ以降は、別の地域で事件が起きて、最後まで関わらなかった」
「それでも、間近で見たんですよね」
「あぁ」
「どんな印象でしたか?」
興味本位で、尋ねる。
それと共に阿部はため息をつきながら
「力が得て、良い奴じゃなかったよ」
「それって、4号は極悪だって事ですか」
「逆だよ、逆。
あそこまでの善人なんて、千束ちゃんレベルだよ」
そう、言いながら、当時の出来事を思い出すように言う。
「俺が最初で最後に見た4号の戦い。
それは42号による連続殺人事件だ。
当時、42号の標的となった少年を警護していた。
だが、奴は俺達の警護を潜り抜けた」
同時に当時の事を思い出したのか、拳を強く握り締める。
「奴は、俺達を馬鹿にするように、遊ぶように警備を擦り抜けた。
そうして、俺達が奴の思い通りになって、護衛していて少年の所まで侵入された。
だけど、そこで4号が少年を守ってくれた」
「そうだったんですか」
「その時に見た、4号の戦いは悲しかったよ」
そして、阿部は地面を見る。
「横たわる42号に対して、何度も何度も殴っていた。
楽しそうにじゃない、悲しそうに、怒りに身を任せて。
まるで、殺された被害者の怨念を、家族の恨みを、悲しみを吐き出すように」
今でも、夢に出るぐらいな恐怖は確かに阿部にはあった。
「その時、俺は思わず思ったよ。
そのまま、殴れ、殴り続けろっと。
被害者の悲しみを晴らすように。
でも、そんなのは、俺の自己満足だったよ」
「その戦いをあなたも見ていたんですね」
そう、阿部と三谷が話していると、声をかけられた。
振り返ると、そこには1人の男がいた。
「あなたは」
「今回の捜査本部の指揮を任された一条薫です。
よろしくお願いします」
「いっ一条刑事!!」
それは、警察の中でも既に伝説の存在だった。
現役でも刑事として活動続けており、何よりも数多くの未確認生命体と戦い続けた人物。
それは、まさに生きる伝説と呼ぶに相応しい人物であった。
その事もあってか、2人は同時に敬礼をしてしまう。
それに合わせて、一条もまた敬礼を行う。
「それで、その本当にここで未確認は現れるんでしょうか?」
「えぇ、今年に入って、未確認の被害者は既に46人。
そして、奴らの言うゲゲルが、もしも当て填まるとしたら」
「46人って、やっぱり多いな」
「まぁ、確かに多いが、未確認に関してはまだ少ない方だ」
「そして、異常です。
奴らは、日本の都道府県のそれぞれの地で、1人ずつ殺しています」
「日本一周、人殺しツアーか。
気味が悪いぜ」
「それで、最後のターゲットがここに。
けど、一体これに何の意味が?」
「分かりません。
しかし、このままゲゲルを成立させてはいけません」
その言葉に、一条の確かな刑事としての迫力があった。