艦これ(妖精さん入り) 人類は衰退しました   作:筆折ルマンド

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時系列 1-1から数年後
いつ海の半年前


1944-1-0 妖精さんと提督の一日

海の底から出現し人類に牙をむく異形の存在。

敵性艦艇群『深海棲艦』

彼らに唯一対抗できる存在は、在りし日の艦艇の魂をその身に宿す少女『艦娘』のみ。

彼女たちは今も海を取り戻すべく戦いに挑んでいる。

 

しかしながら戦いに終焉は一向に訪れず、あれよあれよと言う間に四半世紀を超えてなお続いておりました。

 

人類は本土近海こそ護れども、深海棲艦の本拠地と思われる太平洋の中心までは征圧しきれず、双方、己の領土を死守しつつ数年置きに纏まった戦力をぶつけ合うのを繰り返し、その間に疲弊した人類文明が衰退する悪循環へと陥っている状況。

 

事態を好転させられるような乾坤一擲の策は無く、目の前の敵を倒す事で精一杯が現状です。

 

「けんこんいってきとは?」「いっぱつぎゃくてんてきな」「りばーし」「だかいするならすぺしゃるがひつようですな」「いろぬりますか」「それもかいぐんのおしごとかも」

 

0500

白を基調としたスッキリとした内装のキッチン

広々とした調理台の上で、生地をこねる白衣の男性。

コックコートと思いきや、肩には黒地に金糸の肩章が付いている。

軍服である。

軍服を着た多少なりとも階級の高そうな男が大真面目にクッキー生地をこねている。

 

須賀拓馬

中佐

彼は一つの鎮守府を束ねる提督さん。

趣味はお菓子作り、得意科目は始末書作成。

 

彼はお菓子作りも提督の仕事と思っていた。諸事情により書類仕事が大激減した結果、趣味に充てる時間が増えた。とも言う。

 

戦争と言えば『艦娘と深海棲艦の戦い』を指し示すようになったこの時代において、彼女たちの指揮官である「提督」とはいったいどういう存在か。

一般的には、

・艦娘たちの帰るべき場所である鎮守府の最高責任者

(実の所、会社で言えば班長クラスだが)

・艦娘たちの部隊の指揮者、司令官。

・彼女らの行くべき道を指し示す杖。

 

総評として『提督は艦娘を導く存在』

などと言われているが、

 

そんな事言ってる奴はせいぜい二流。

須賀提督はそう断じていた。

 

なぜなら艦娘は優秀だから。

 

艦娘の原料は資材と人間。端的に言えば艦娘の『建造』はイタコさんの『神降ろし』に近いらしい。

人間の少女に『人と船の付喪神の混成精神』を下ろし機械的な強化も施した強化人間が艦娘。

膂力は人間よりも遥かに強力。

当然、知性は同じ。

 

流石に戦略・戦術の理解度などは専門の教育を受けた提督の方が優れる点が多いものの、別に艦娘になってから勉強すれば良い話なのでこのアドバンテージもさしたる問題ではない。

 

結局の所、提督など対外的に艦娘を海軍が制御できているとアピールするための存在でしかないのだ。

 

では提督の仕事とは何か。

 

須賀提督は迷わず書類仕事と艦娘のメンタルケアが主な業務と答える。

雑多な仕事をこなし、戦闘で疲れた彼女らを温かく迎えるのが提督のお仕事。

 

それはそうまるで子供の帰りを待ち、小うるさく手洗いうがいを言いつけるような。

「提督は艦娘たちのママなのである」

ぺったんぺったん、生地を練りながら無駄に感慨深く語る。

 

「何アホな事言ってんのよクソ提督」

いつのまにかキッチンルームの扉の前に少女が立っていた。

 

「曙、なぜここに」

 

特型駆逐艦「曙《あけぼの》」

オーソドックスなセーラー服に、

紫色の長い髪を花と鈴の付いた髪留めでサイドテールに結い上げたオシャレさん

口調がキツいのが玉にキズ

刺激は強いけどトンガリきれないパチパチキャンディのような優しいひねくれ者。

 

「はぁ?今日の秘書艦はあたしでしょ。執務室にいないからどうせここだと思って来てみただけ」

 

「そうか、早いな」

規定の起床時間は午前6時。現在5時、まだ1時間。

須賀提督ならもう少しゆっくりしている。

なんなら起床時間の規定がなければ7時ぐらいまで平気で寝ている。

お菓子なら午後にお茶でもしながら作れば良いのだ。

見栄を張らねばぐーたらな男である。

 

「当然でしょ、あたしを誰だと思ってるのよ」

 

「曙」

 

「いやそうだけど。で、提督は厨房で何してたのよ」

 

「見ての通り、菓子を作っていたんだが。あ、今日はクッキーだぞ」

 

「へー…ってアンタ、提督でしょ!司令官でしょ!?何!?料理人にでもなるつもり?!」

 

「…?、俺は元から菓子職人だろ?」

 

「本業は提督でしょうが!」

 

「…そうか…俺はパティシエではなかったのか…」

 

「あったりまえでしょ!?」

 

「…まぁお菓子作りも慰労の一環だから仕事だよな」

 

「あ、こら!その生地を練る手を止めなさい!仕事!書類が先!」

 

「生地がダレるから後でなー」

そもそも始業前である、自由時間に自由にして何が悪いと言うのか。

 

「あぁもう、このクソ提督!」

曙がキッチンにズカズカと近づいてくる。

 

「止めろ曙、俺は今仕事中だ、上官の仕事の邪魔をしていいと思っているのか」

「お菓子作りが提督の仕事であってたまるか!」

 

「ああ止めろ、ダメだって、あぁ〜」

 

0600

執務室

真ん中の大仰な椅子に座り、馬鹿みたいに規模の小さい我が鎮守府の大した量も無い書類をテキパキと片付ける。

その前方、応接用のセンターテーブルの上。

こんもり盛られたクッキーの山を身長10cmほどの小人『妖精さん』たちがサクサクと小気味良い音を立てて食べている。

 

「きょうのくっきーかたいです」「きばつなあじつけ」「かわりだねですな」「ぼうけんがすぎるかと」「ぼくはすきー」

今日のお菓子は硬めの生地のジャムクッキー。

なお評価は玉虫色のやや不評。

 

「ほら見ろー、久しぶりに妖精さんから賛否両論食らったじゃないか」

 

曙がプイっとそっぽを向く。

「そんなの知らないわよ。てかアンタたちも悪く言うなら食べなくていいわよ、アタシが食べるから」

そう言って皿に手を伸ばす曙に、妖精さんから迫真のボディブロックが入る。

 

「あーん」「おやめください」「おいしいですから」「ひひょうかきどりはきらわれる」「ひとのおごりにけちつけない」「すみませんでした」

 

「あっそ、なら1枚で勘弁してあげるわ。ん。ま、悪くないんじゃないの」

 

「そりゃ良かった」

 

0700

食堂にて

 

海外との流通が封鎖されて久しい現日本人にとって、主食と言えばやはり米。

しかし須賀の鎮守府においては、妖精さんの開発したナンデモ製粉機によって薄力・中力・強力粉(小麦粉ではない。食品表示法にひっかかるから)、砂糖、マーガリンを自由に生産できるため主食はもっぱらクレープだった。

驚くべき事にパンではない。

理由は至極単純で、美味しいパンを作るために必要な酵母が須賀鎮守府には無いからだった。

海外との海・空路が絶たれて20年余り、現在、砂糖は配給制。

酵母を培養するには砂糖が必要なので、よほどのパン好きでないかぎり、限りある砂糖を積極的にパンに使おうとは思わないのだ。

 

もっとも須賀鎮守府に砂糖は売るほど有る(なんなら製造している)のだが、所属する艦娘が軒並み米派か粉物派なのでどっちみちパンの居場所は無かった。

 

ちなみにキッチンルームと食堂は別。

職権濫用も甚だしい。

 

「はいコレ、提督の分」

曙がお盆を二つ持ってきた。

 

「ああ、ありがとう」

須賀の目の前に置かれたお盆にはクレープ生地とベーコンエッグ、味噌汁、漬物の定番セット

 

「別にいいわよ、これも秘書艦の仕事だし」

そんな個人的な小間使いに秘書は使わないが、まぁ、いいか。曙が楽しそうにしてるから。と須賀は笑った。

 

カリっと揚げ焼きされ小気味良い音を立てるベーコン。

白身のコゲめがサクサクと心地よく黄身は卵液が溢れない程度の半熟。

どちらも須賀の好みの焼き加減だ。

カリカリベーコンもパリッとした白身も油を敷いて揚げ焼きぎみに焼かないと作れない。

やや厚くなってしまっているクレープ生地も具を包むには悪くないだろう。

「今日は当たりだな」

「あっそ、良かったわね」

笑みをこぼす須賀に、ベーコンエッグを生地に包みクレープにして食べていた曙がやけに素早く反応した。

 

0800

書類が粗方片付いた頃、バーンと執務室の扉が開かれた。

「川内、帰投しましたー、寝る」

マフラーをたなびかせノンストップで少女がソファに突っ込む。

 

軽巡洋艦『川内』

白いマフラー、長手袋、赤い腰帯など、くノ一めいた服装

黒に近い茶髪のセミロングのツーサイドアップ

世にも珍しい純夜行性の艦娘

夜に滅法強いため、夜間警戒任務で最も頼りになる

 

「ちょっと川内!提督の前で失礼でしょ!というか寝るなら自分の部屋で寝なさいよ!」

 

「だってあたしの部屋結構遠いし、一眠りしたら、ふぁ、ちゃんと自分の部屋戻るから」

 

「今すぐ、ちゃんと自分の部屋で寝なさいって!」

 

「まぁまぁ、曙、棚のブランケットを取ってやってくれ」

 

「そうやってクソ提督が甘やかすからみんなズカズカ執務室に入ってくるようになっちゃうのよ!」

お前もな。と須賀は思った。

なんなら艦娘全員に思っていた。

 

「別に気にしなくていいって。あたしは本当にここで寝るだけだし、曙の邪魔はしないからさ」

 

「な!」

 

「どういういみですか」「おじゃまむしといういみでは」「みつげつのとき」「ししゅんきのしょうねんごころてきな」「われわれおじゃま?」「あとはわかいひとたちにおまかせしますか」

 

「違ーう!アタシは!そんなんじゃないから!違うから!」

 

0900

哀れ薄っぺらい書類仕事は容易く駆逐され、須賀に残された仕事はふんぞりかえる事のみ。

流石にそれはいけないと思い、もう一品、何か菓子でも作ろうかと思いふらふらーっとキッチンに行こうとしたら、曙に艦橋から追い出された。

 

空は快晴、微風。赤道にほど近くギラギラと照りつける太陽が眩しい。

ジリジリと熱せられた甲板の熱、目玉焼きも作れそうだ。

 

さて、須賀鎮守府。鎮守府と言いながらその実、その領地はわずか一隻の船である。

 

『給糧艦 詰草(つめくさ)

クローバーの和名を冠する幸運を運ぶ船。

製粉工場と鎮守府機能を備えた極めて珍しい船。

 

この船一隻をもって須賀鎮守府は完結する。

 

在籍する艦娘はわずか12名

(これは本土の近海警備専門の末端鎮守府の平均値である40人をも大きく下回る)

 

そのため、索敵の大部分は偵察機に頼っている。

 

そんな訳で暑い甲板に立てられた馬鹿でかいパラソル、イス、テーブル、クーラーボックス。真夏mode一式

どっかり椅子に腰を下ろし万全の体制で偵察任務にあたる龍驤の姿がそこにはあった。

 

「お、どしたん?会議には早いんやない?」

 

「曙がキッチンは出入り禁止だ、ってな」

 

「ほんでウチの所に来てくれたんか、嬉しいなぁ〜」

 

軽空母 「龍驤(りゅうじょう)

低身長、焦茶色の髪のツインテール、サンバイザー、平安風の紅色の上衣に黒のミニスカート、低い身長をかさ増しするためか厚底のブーツを履いている。

関西弁が特徴の快活な女の子。

子供っぽい面があるが、精神年齢の低めな艦娘ばかり揃った須賀鎮守府では相対的に大人枠に入れられている。

 

「周辺の様子はどうだ?」

 

「今んところはなーんもおらん。平和なもんや」

 

「それは良かった。クッキー焼いてきたが食べるか?」

 

「お、ええやん。えーと、クーラーボックスに、ほいラムネ」

 

「ラムネか、お茶はないのか」

 

「贅沢言うんやないで、お茶は作らんと無かったんや」

 

「普通、お茶の方がラムネより安いんだがなー」

 

「この船じゃラムネの方が自動で作れるからしゃーなしや」

妖精さんにしても艦娘にしても甘いものが好き。砂糖も簡単に手に入る須賀鎮守府では自由にラムネ製造機が使用できるのだ。

 

「物価が狂うな」

 

「狂わしてんのは主に提督と妖精のみんなの仕業やで」

 

「それもそうか」

ラムネをあおりクッキーを食べる。

相性はやはりイマイチと言わざるを得ない。

 

1000

通信室は艦橋の外側に設置されている。

妖精さんは電磁波と大きな音が苦手であり、この船はその対策として振動吸収装甲(妖精さん開発)でもって内部に電磁波や大きな音が入ってこないようにしている。艦の外側には普通にレーダーが配備されているためステルス性にはあまり寄与していないが、船そのものが特異的に幸運であるため深海棲艦に見つかる事はほぼ無い。

 

会議は無線を通して護衛している輸送船の船長たちと行った。

議題は進路の安全性についてが半分。

通常、艦娘だけで護衛するはずの輸送任務で船ごと来た須賀提督についてのツッコミが半分(悪意ではなく「お前危ないのによく船に乗ってきたなぁ!」的な賞賛のような肩バシバシ的なアレ)

後半はほぼおじさん方の駄弁り会であった。

輸送船の仕事はいつ深海棲艦に襲われてもおかしくない命懸けの仕事である。そのため輸送船に乗っている船員の大半は半軍人の漢気溢れる豪快な男性が多い。

須賀提督も自ら危険な仕事に臨む彼らには尊敬の念を持っているが、体育会系を超えた海の男のマッスルコミュニティは少々暑苦しいと思っていたり。

 

1200

会議も終わり執務室に戻れば、部屋の中からカレーの匂い。

カセットコンロの上でくつくつと音を立てる小鍋。

白くて丸い炊飯器。

 

曙はソファに腰掛け、妖精さんのお腹をくすぐって暇を持て余していた。

 

「おかえり、会議はどうだったの」

 

「航路は至って順調、むしろみんなの事を聞かれるばっかりで困ったぐらいだ」

 

「そう、ならいいけど。カレー作ったけど、食べるわよね」

 

「ああ、お願いしようか」

よそわれたカレーの具はやや大きめに切られた

ジャガイモ、ニンジン、タマネギ。

「鶏肉か」

 

「雄が大きくなったから捌いていいって」

卵は主に簡易養鶏場で飼育された鶏から取れる。

街で鶏を買い付ける際に選別間違いで産まれた雄鶏をオマケしてもらえる事があるのだ。

 

「美味い、よく煮込まれてるな」

海軍カレーは艦や地域によって味付けは千差万別。須賀鎮守府のカレーは子供舌の多い環境故に基本的にとろみの強い甘口カレーなのだが、今日のはやや辛口である。

 

「ま、時間はあったから」

 

1300

工廠(こうしょう)

装備の修理とか開発とか諸々の機械作業をこなす場所。

須賀鎮守府には整備に一家言ある艦娘が多いため、工場設備、資材保管庫に次いで面積が広い。

 

仮眠室も備え付けてあるため「任務のない日は工廠に入り浸る」なんて艦娘が半数にも昇る。

「こう、なんというか、上官の訪れないレクリエーションルーム的な雰囲気があるため、個人的に少し入り辛い」とは須賀の談。

だがしかし、日に一度ぐらいは顔を出すべきという義務感の元、訪れた。

 

ガツーンガツーン

と重低音

怪しげな鉄の塊が蠢いている。

キャッキャと嬉しそうにしている艦娘たちと妖精さん方。

またなんかヤバいモノ作ったな、須賀は察した。

この手の予感はよく当たった。

 

「提督、いらっしゃい」

 

「こんにちは、フレイ」

 

高速伊号潜水艦 伊201

201と書いてふ・れ・い(2 0 1)

バッテン形のヘアピンがチャームポイント。

銀に近い灰色のセミロングの髪を前髪を残しながらゆるくローポニーテールで結んでいる。

セパレートタイプの紺色のセーラー水着に黒の長手袋とハイソックス

落ち着いた性格で、見た目は幼い方だが大人枠。

 

「なぁ、フレイ、今日はみんなで何を作ったんだ?」

 

「たしか『77cm5連装砲』よ」

 

77cm5連装

艦娘の装備として、見たことも聞いたことも無い数字だった。

 

ちなみに

世界最大と謳われた戦艦大和の主砲が

46cm3連装砲。

現在、艦娘が開発に成功した最大口径が

51cm3連装砲。

ドイツの列車砲が80cm。

数字通りなら大艦巨砲主義もビックリな船一隻に列車砲を五台載せるような暴挙。

 

物理法則法則もあったもんじゃねぇな。

 

…語呂だけで考えたような数字で作ってるあたり妖精さんたち相当ノリノリで作ったんだろうな。

 

おかげで火力も反動も誰も知らない領域に到達してしまっている事だろう。

艦娘換算であるため一概に口径が本当に77cmもある訳ではないが、威力は同等であるため、たぶん反動がデカすぎて撃ったら戦艦でも沈む。

なんなら重量だけで沈みそうだ。

もっともウチの鎮守府にはそもそも戦艦は存在しないため、マジでただのタンスの肥やしだ。

 

須賀は素早く思考を巡らせ、「まぁ、いいか」と投げやりな結論を出した。

いつもの事だからだ。

最近タンスの肥やしが洒落にならないレベルで艦の自由倉庫を圧迫し始めていたが、気付かないフリをした。

 

「OK、把握した。ありがとう」

 

「どういたしまして、提督」

 

大きな砲台に集まってスゲースゲーと楽しげに話している艦娘たちの元へ行く。

 

『妖精さん』

大きな三角帽子、エルフ耳、やや舌足らずの口調が特徴。平均身長10cm程度の小人でありながら、物理法則を無視するような超常的な科学力を持つ。

しかしながら、性格は自由気ままで気に入った人間以外に姿を現すのはごく稀。

須賀提督の場合は長年にわたるお菓子の提供によりなんとか安定した友好関係を築けている。

 

『装備妖精』さん

多様な服装(主に女性的なファッション)とテレパシーに近い無音言語を操る艦娘と共に人類に積極的に協力してくれる妖精さん。

艦娘の装備『艤装(ぎそう)』に乗り込み制御を補助し、鎮守府内の作業も受け持ってくれる。

人間や艦娘の少ないこの船が問題無く稼働できるのはこちらの装備妖精さんたちの協力があってこそであり、今日もお菓子作りの手が捗る。

 

この二者は言ってみれば同類別種

柴犬とドーベルマン

妖精さんは「危機回避能力に優れ、発明の爆発力がある(ただし飽き性)」

装備妖精さんは「強い意志と粘り強い整備能力が持ち味(科学力は常識の範疇)」

 

上手いこと協力する事で物理現象を超越したオーバーテクノロジーを作り放題になるのだが、妖精さんが人を選り好みするタチであり海軍本部に精力的な貢献をしないため、

須賀鎮守府は独断専行が出来ないように冷遇されていた。

 

詰草に設置された製粉工場は金を手に入れる手段である。

金さえ有れば資材は買えるのだ。

 

ガッションガッション

5本並んだシーソーみたいな砲台の動き続ける5連装砲の砲身にまたがる妖精さん。

 

「ななななせんちはえんぎよし」「さんじゅういんちもきりがよいですから」「どうせつくるならでっかくないと」「われらぎじゅつのすいをつくしましたる」「どんなてきでもこっぱみじんですが」

 

「撃った艦娘の方も木っ端微塵でしょうが」

 

「いかんですか」

 

「イカンに決まってるでしょ」

 

「あらま」「どうしましょ」「かいぞうしますか」「どっちを」「かんむすさんがあんぱいかと」

 

「いや駄目だよ」

 

「だめかー」「ゆるされざるもの」「まっどさいえんす」「われわれおなわですか」

 

「お縄はかけないけど、コイツは封印な」

 

「ざんねんしごく」「いいしごとしたとおもたのですが」「りすくたかすぎました」「ぱわー」

 

「パワーだけ高くてもダメなんだって。バランスと程度も大切だ」

 

「むつかしいです」「われわれいつでもぜんりょくですので」「けっかでないとひょうかもなしですゆえ」「せちがらし」「なみだはしおからいのでした」

 

「「ですよねぇ」」

アハハーとやっぱりかーって感じで笑う主犯格

明石(ピンクの方)と夕張(緑の方)

 

「なんとか吾輩の艤装に載せることは出来ないか!?」

 

「無茶言うな。アームがひしゃげるわ」

 

「なんと!」

我が艦隊の最重量艦である重巡洋艦(航空巡洋艦)の利根

なんとかこのバケモノを撃ってみたいようだが絶対に無理だ。と須賀は早々に見切りをつけた。

縋る利根を優しく押し除ける。

特に意味はないが、利根は言動の割に服装は扇情的だし胸が大きい。

 

「葛城はー…フッ」

 

「え、今何で笑ったの!?」

 

「いやすまん、空母も無理だなと思ってな」

 

「いやいやいや!絶対!空母だから笑ったって感じじゃなかったわよ!ねぇちょっと!」

正規空母の葛城だが、艤装の動力部が駆逐艦級なのでもう絶対に積み込めない。

コンクリドラム缶ぐらいスッと沈むだろう。

また余談であるが薄い。

 

フーミィ(伊203)はあんまり興味ないの?」

 

「無い。あんなの載せたら速く走れなくなる。姉イチなら分かるでしょ?」

 

「そうね、私たちには必要のない装備ね」

高速潜水艦姉妹はロマン砲に興味は全く無い様だ。

 

1500

須賀は本業に

お菓子作りに取り組んだ。

 

「本業じゃないわよ!」

 

「しかしお給料は必要だろ」

妖精さんは主に甘味を好む。妖精さんも装備妖精も同様に。友好関係を続けるのなら真摯な姿勢が必要。

船内総勢200人弱の妖精さん全員に一度にお菓子をあげる事は難しいが、毎日作ってローテーションを不足なく回す事が大切だった。

 

結局の所、須賀は小うるさい曙に根負けし、比較的簡単に作れるキャンディを作った。

 

 

1800

艦娘はことのほか夕日を好む。

だだっ広い障害物の無い水平線にゆっくりと太陽が沈み空一面、海一面、照らされた船や自分たちの身体までもが紅く染まる時間。

幻想的な風景に心を動かされるのだろう。

 

もしかしたら戦いの最終地点である

凪の水平線

暁の水平線

に最も近い風景だからかもしれない。

 

「さて、夕飯でも食べるか。曙、カレーはまだ残ってるか」

 

「多少は残ってるけど、いいの?残り物で」

 

「いいに決まってる。さ、食べに行こう」

 

「ん、まぁいいけど」

 

「フレイ!フーミィ!2人も一緒に食べないか!曙特製チキンカレーだ!」

須賀は夕焼けに見惚れている高速潜水艦姉妹に声をかけた。

彼女たちは工廠籠り組なのである程度こっちからアプローチをかけないとなかなか会えないからだ。

 

「え!?ちょっと!何言ってんのよクソ提督?!」

 

 

2500

日付を跨いで1時間

0100

とも言う

 

仕事が無いと言ったな。

アレは嘘だ。

 

という訳でもないが、書類仕事と言うものは思いの外時間がかかる上にやる気も出ないモノ。

それでもって後回しに出来るモノも多い。

そんな訳で須賀提督は、最低限度を午前中に終わらせたのは事実であるが、曙によって時間のかかるお菓子作りを阻止された結果、空いた時間を書類作成に当てていた。

曙と須賀提督で眠気と仕事でチキンレースしていた

とも言う。

 

見事、チキンレースに敗北した曙はソファでクークーと可愛い寝息を立てている。須賀は曙の自室は遠いためブランケットを多めにかけてあげた。

 

「ん?」

通路からバタバタと音が聞こえた。

凄い速さ。危険を感じ、須賀は念の為、扉から離れておいた。

 

バーンと執務室の扉が開かれた。

「提督!夜戦!」

デジャヴと共に川内が現れる。

 

「提督は夜戦じゃありません」

 

「いやベタなネタはいいから。本当に夜戦なんだって」

 

「近くに砲火を見たって事か」

 

「いや、見たって言うか、偵察機が撃たれたんだよ。当たってはないけど」

 

「そうか」

須賀は即座に緊急アラート発令機のフタを開け…

 

「待って待って!友軍に誤射されたの!たぶん大破で置き去りにされたんだと思う。煙も上がってたらしいから」

 

「ふむ、方角や場所はちゃんと分かるか」

 

「うん、往復距離の限界近くで見つけたから偵察機は戻ってきちゃってるけど位置は大丈夫」

 

「そうか、川内。葛城に龍驤と潜水艦の2人を起こしてくれ。俺は内火艇の準備をしてくる」

 

「分かった」

 

「ああ、それと」

 

「ん、何?」

 

「夜戦は無しだ。すまない」

 

「いいよ、これで十分刺激的だからね」

 

須賀提督の一日はまだ終わらない。




艦これarcadeもブラウザ艦これも楽しいですね。
艦これ初期はパソコン持ってなかったので先月始めたばかりですが。
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