生者に夢を、死者に花束を   作:薫製

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嵐に備えよ

黒花さんから渡したい物があると連絡が来た。

しかも場所と銀を連れてこいとの指定付き。

何の用事か分からないけど行くしかない。

 

呼ばれたのは町外れの倉庫跡。

屋根は抜け壁もボロボロで朽ちるだけといった感じ。

どうやってこういう所見つけるのかな。

中に入ると物も無くガランとした空間があった。

その中央に黒花さんが居た。

横には人の背丈ほどの板が1枚置いてある。

 

「来たな。まずはお役目についてだ、間もなく大規模な襲撃がある」

 

「大規模ですか…数は」

 

「残りの残存兵力全部」

 

えーと…12体いて5倒したんだから…

 

「7体って無茶苦茶すぎません?」

 

「その通り。いきなりペース早めて来たおかげで大慌てよ」

 

肩をすくめながら言った。

相当大変なんだろな。

 

「そこでだ。こっちも強化する事になった」

 

「まさか満開…」

 

強化と聞いたら夏凛の説明した満開システム。

全貌は明らかとはなっていないけど凄いものと勝手に思っている。

 

「あー、あれは大赦組にしか無いから美穂はお預けだ」

 

「なら切り札だけで戦うって事ですか?」

 

「そうなるな。まぁ短期決戦に持ち込めれば勝機はあるってとこか」

 

そう上手く行くのかな。

連携は取れているけど軍のような組織的な動きじゃない。

好きなように戦いそれを周りが補う、正直あぶなかっしいと思ってた。

 

「で、それは私の物じゃないんですよね」

 

「ご名答。こいつは銀、お前さんのもんだ」

 

「アタシに?でも戦えないんじゃ」

 

「そうだ。だが今言ったように過去一危険な戦いになる。そこで身を守るものが無いんじゃ命いくつあっても耐えられんだろ」

 

黒花さんは板を持ち上げた。

白色のひし形で黒い線がところどころ入っている。

 

「こいつは遠隔式の盾だ。使用者の感覚とリンクさせ必要な時に守ってくれる優れものだ」

 

「これ飛ぶんですか?スラスターも無いのに」

 

「そこは神様のお力を拝借って感じ」

 

オカルトってスゲー!

もうなんでもアリな気がしてきた。

 

「けど未完成品でね。調整面が間に合ってない」

 

「つまり、アタシに今これを動かせってこと?」

 

「話が早くて助かる」

 

だからこんな辺鄙な所に呼んだわけだ。

まぁ爆発とかさせたら叱られそう。

 

「さっそく取り掛かるぞ。スマホ貸せ…あのロック外してくれません?」

 

スマホを持ち盾の中央の装甲をスライドさせた。

そこには固定式充電器のようにスペースが設けられていた。

変身用アプリを起動させ差し込む。

すると高い機械音を立てながら黒い線が赤く発光し始めた。

 

「同調確認、システム異常無しオールクリア」

 

手元のタブレットで数値を確認しケーブルを抜き返した。

 

「こいつらは今からお前さんの物だ、んで最後にこれ」

 

手渡してきたのは白い冠のような物。

 

「ヘッドギアだ。これを着ければ動かせられる。まぁ慣れればいらなくなるが」

 

受け取り頭に装着した。

なんかロボ系アニメにいそうな雰囲気。

 

「それじゃ始めるぞー。まず盾に意識を集めろ、そうだな…自分の手足と思う感じでな」

 

目を閉じ集中し始めた。

私は遠目からその様子を見ている。

にしても遠隔兵器か、いいなぁ~憧れるなぁ…

と考えていたらフワリと盾が浮いた。

 

「よし、次は動かしてみろ。イメージが難しいなら手動かしていいぞ」

 

銀は腕を横に薙ぎ払うように振った。

その瞬間一筋の白い線が私に向かって―――――

 

「嘘でしょ―!」

 

刹那、私は横方向に飛び避けた。

同時に轟音が聞こえ身体に色んな物が当たる。

 

「美穂!?大丈夫か!」

 

「痛ってて…大丈夫~」

 

手を振り答える。

横を見ると壁に刺さった盾が。

ボーっとしてたら下半身とおさらばしてたじゃん。

 

「良かったな。いい運動になって」

 

「気づいていたら声かけしてくださいよ!」

 

「まぁ美穂ならいいかなって」

 

「何処が!!」

 

腕を組みながらこちらを見ていた黒花さんに少しの怒りをノリでぶつけた。

 

「お二人共すみません。アタシの努力不足なので怒らないでください」

 

久しぶりに銀の敬語を聞きドキッとしてしまった。

黒花さんは少し表情を変えたけどすぐ戻りジッと見つめていた。

 

「これを上手く使えれば美穂の負担減らせて勇者部の皆を助けられる。なら、余計頑張らないと!」

 

その眼には燃えるような思いが写っている。

私には持ちえない感情。

ホントに小学生なの?

 

「…まぁ程々にね。無理されても困るからさ」

 

「オレもお前さんのやりたい事を重視するがドクターストップはかけせてもらうぞ」

 

「――!ありがとうございます!」

 

その後も黙々と練習を重ねていった。

あの盾操るのに空間認識力がかなり重要なのに飲み込みが早い。

実戦派なのかな?

 

「よし、今日はここまでだ。頭使ったろうから糖分を差し上げよう」

 

黒花さんは懐からチョコを取り出しあげた。

 

「ありがとうございます。はぁぁ…たまらん~」

 

顔も溶けてるぞー。

まぁ無理もないけど。

 

「それにしても凄いぞ。この短時間で防御姿勢まで身につくとは。こりゃ入れ替えも視野に入れるかな」

 

「その場合あなたの首も持っていきます」

 

「おおー怖い怖い」

 

おどけているが内心不安だったろうな。

本来なら近接が合うのに遠距離武器持たせたから意図が汲み取れなかった。

けど『誰かを守る』想いに目を付けた結果、これを出したんだろな。

 

「その盾は好きに使ってくれ。アプリのオンオフで出し入れするから狭い空間で出すなよ」

 

「はーい。黒花さん今日はありがとうございました!」

 

「じゃ帰るぞ。疲れたろうから送っていってやるよ」

 

え、送る?

 

「ちょっと待ってください。黒花さん車で来たんですか?」

 

「そうだが?」

 

「あなた徒歩で来いって言ったじゃないですか!」

 

「…いい運動だったろ」

 

「この裏切り者がぁぁぁぁ!!」

 

結局送って貰ったんだけど絶対連絡ミスでしょ…

 

―――――

 

美穂と銀を家に送りつけ近くのコンビニへ寄った。

もちろん買い物もするがその前に連絡をっと。

時代遅れのガラケーを出し電話をかける。

出るのに時間かかるがあの状態じゃ仕方なしか。

 

「――黒花だ、ブツの受け渡し完了した。」

 

『ありがとうね。上手く使えてそう?』

 

透き通った声でどこかフワフワしている。

この武装は大赦が裏で計画していた物を拝借した。

その際にお嬢の力を使った。

まさか食いついてくるとは思わなかった。

 

「そうだな…掴みはいいな。後は本人の使い道次第ってとこか」

 

『さすがくろっちの弟子だね。いいなぁ見てみたいなぁ~』

 

「動いたら各方面から叱られるわ。てか動かなくてもいいだろ」

 

どうせ見えないからって精霊使って好き勝手にやってるくせに。

てかくろっち呼びは固定か。

 

『やっぱり自分の目で見てみたいんよ』

 

「そりゃそうか。んじゃ切るぞ」

 

『ねぇ。()()()()は元気なの?』

 

今までの話し方とは打って変わり心を探られるような低い声になった。

流石のオレも急にされるとビビる。

 

「…元気じゃなきゃどうする?」

 

『壁に穴開けるかな』

 

ストレートに来たな。

電話越しだけど後ろ騒がしくなってるけど。

 

「あれを元気と呼ぶか曖昧だけどな」

 

始めて会った日銀の胸を触った。

スケベ案件ではなく鼓動の有無を知りたかった。

結論は動いていた。

普通の人のように驚いて心拍数が上がる。

だが今の彼女にあってはならない機能だ。

 

『そう…分かった。また、遊びに来てね。暇で暇でしょうがないんだよ』

 

元の話し方に戻ったようだ。

コイツの腹の中は何考えているのか分からん。

マジか冗談かの判断が難しい。

 

「時間があったら行くわ。またな、お嬢様」

 

電話を切り隣の席にガラケーを放り投げる。

体重をハンドルに預け深いため息を吐いた。

彼女は必ず接触する。

満開の話も持ち出すだろう。

それにしても存在バレるの早いな。

いや、樹海に行ける時点で目に入るのは確定だったか。

情報は渡したがあれじゃ開示してないだろう。

美穂が先か、お嬢が先か。

次の戦いが勝負所だ。

 

「まぁオレは何もしないけどな」

 

ここからは彼女たちの選択に任せるしかない。

オレは財布とガラケーを持ちコンビニへ向かった。




主要人物が全員登場しました。
前回の訂正でもう一回本編内の幕間回収してアレに入ります。
盾のイメージはユニコーンガンダムのシールドファンネルです。
サイコフレームが赤い状態で飛んでないと思ったのでやってみました。
アレも推進力サイコフレームとかいうぶっ壊れだしセーフ!
ガンダムに限らず遠隔兵器大好きなので今後出てくる事多くなりそうです…
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