「神の使徒…?」
「あかつき?」
この部屋で今の名前を理解出来る人はいない。
「だから話すよ。この世界とは別の、有り得たかもしれない勇者譚を」
正座を解き、話しやすい姿勢になり語り始める。
異端の勇者と精霊、友を救う厄災、そして世界を焼き尽くす暴力。
大筋はこちらでも同じだけど使徒の介入から大きく話が逸れたようで最後の方は食い入るように聞いていた。
「これが私の知る正史だね」
「あなた異質過ぎない?」
「正直思ってる。もう特異点とか呼ばれそうだもん」
お茶を飲みながら冗談を交える。
「高木さんが1度攻略してるなら勝てるんじゃない?」
「また同じように光の…剣?で倒せるよ!」
「そうだといいね…」
今回の襲撃は今までとスケールも何もかも違う。
敵も仮面をつけてる点は変わらないけど武器にバラつきがあった。
さながら軍隊のよう。
アイツは本気で戦争を始めるつもりなの…?
そんなことを考えながら裁判は終わり仮釈放となった。
私も行動と経歴から危険視されちゃって無罪は勝ち取れなかった。
「どうして貴方もここにいるのかな…」
赤嶺が私のベットで横になっていた。
ここ私の部屋だけど?と言わんばかりのグータラ具合。
「当たり前でしょ。私は裏切り、貴方は殺人容疑と容疑者保護。犯罪者が同じ部屋にいた方があっちも安心するからね」
「だからと言って我がもの顔でいるのやめて欲しいんだけど…」
「まぁまぁ。あっ、後でダンベル持ってくるね」
「自重してくれないかなぁ!?」
どうもこの腐れ縁を切らしてくれないらしい。
凸凹コンビってやつかな?
私たち2人の生活圏は寮と学校の往復のみ。
外に出る時は勇者2人以上の同伴となり独房よりかはマシレベルの窮屈具合。
自室以外でのびのび出来るのは部室だけ。
だって皆が見てるから気にしなくていいからね。
「暑いね〜」
「こんな暑さ普通だって。そうですよねお姉様!」
「あぁ、この程度なんて事ない」
会ってから古波蔵さんのことずっとお姉様呼びしてる。
沖縄唯一の勇者だから出身が被ってるとか。
赤嶺何て名前四国で聞いたことないし。
「バーテックスの侵攻がピタリとやんだのが怖いね」
「まるで気づかせたかったかのようですね」
ゲリラ戦でも仕掛けるかと思ってたけど攻撃そのものが無いのが怖い。
「ここに皆いるし何かあってもすぐ駆けつけられるよ!」
「そうだね高嶋ちゃん!私たちは勇者なんだから!」
「勇者、か…酷い響きの言葉だね」
ゾクリと背筋が跳ね上がる。
私は嫌な汗を垂らしながら声の方を勢いよく振り向く。
そこには狭い部室に1人幽霊のように佇む男性がいた。
黒ぶちの四角い眼鏡、整えられた茶色い髪、季節には合わないスーツ姿。
近場にあったカッターを鷲掴み男へ一気に近寄り壁に押し付けるよう首元へ刃を突きつけた。
「美穂!?何して…!!」
「この世界で何を企んでいる。暁」
周りの反応を無視し暁を睨みつける。
「何も変わらないよ。あの時と同じ信念さ」
「私が呼ばれた理由がやっとハッキリしたよ」
「僕もだよ。まさか君が召喚されたとは知らなかったよ。やはり運命の赤い糸で結ばれているのかもしれ
ない」
「血で黒くなった糸を結ぶのはやめて欲しいんだけど」
お互い恐ろしい顔して話してるのか場の空気が重い。
これはこの世界が抱えるべき問題じゃないから。
「私の憶測が正しければここで貴方を殺っても意味が無いと思うけど」
「その通り。本体は別のところにいるからね」
「はぁ…だよね。で、要件は?」
「造反神は既に僕の中に取り込んだ報告と戦う相手への挨拶に来たよ」
「待って。造反神を取り込んだってどういう事?」
「そのまんまだよ、試験官。君たちの腕試しは生温いから僕が試練を与えてあげようとしてるのさ」
「試練?」
「造反神の正体は神樹本体。つまり君たちは神の手で踊らされていたんだよ。やがてくる神との全面戦争のサンプルデータとしてね」
「そんなこと神樹様がする訳ない!!」
暁の言うことは基本真実だ。
それをこの場で言っても誰も納得しないから私の中で留めとく。
「まっ信じるか信じないかは君たち次第だしね。それじゃ僕はこの辺で失れ…」
「させるかよ」
喉元にカッターを深々と刺し込む。
血は飛び出ることなく暁はカッターを目だけ動かし見ていた。
「自分で言ったこと忘れたのかな?」
「そっちが宣戦布告したならそれ相応の対応をしないとダメでしょ」
「分かってその愚行なら文句はないよ。それでは勇者の皆さんまた会おう」
力を込め横に喉元を掻き切る。
手応えはあったけど、表情を変えることなく体が塵になって消えた。
カッターの刃をしまい近くの机に置く。
カタンとカッターを置く音がやけに響く。
「彼が使徒か」
「はい。彼がこの世界に降り立った以上排除しなければ私たちの未来はない」
「しかもアイツ造反神、神樹様を取り込んだって言ったよね。あれが真実なら美穂の仮説も通るんじゃない?」
「神樹様が取り込まれたなんて…」
暁の言葉に皆動揺を隠せてない。
完全に孤立無援状態。
「神樹がいなくなった以上、当たり前だと思っていた考えも切り捨てないといけません」
「まさか変身機能?」
「それも確認しないと行けませんが大切な事があります。それは、散華についてです」
私の同期全員の表情が固まる。
「満開及び切り札の代償は模擬戦の為、肩代わりしていた。しかし、取り込まれて加護が無くなった今代償の制限が存在する可能性は大いにあります」
「その代償って何があるんですか?」
「1、精神が精霊側に侵食され負の状態に陥る。2、身体もしくは感覚の一部を半永久的に剥奪。3、身体及び精神に支障はない代わり精霊バリアが使用不能になる。これが私の知る代償です。私の世界のルールですが2に関しては恐らく合ってるかなと」
これを話すのは些か心苦しかったけど言うしかない。
確かどの時代の端末も最新式にアップグレードされていると言っていた。
それが真実なら3の状態になっていると考えるのが必然。
しかも精霊バリアの概念は最近出来たから殆どの勇者には支障が無いだろう。
「勝てる見込みはあるのか?」
「現状の戦力だと限りなくゼロに近いです。本体に全員で切り札使って相討ちに出来るかどうか…」
「これ俗に言う詰みってやつ?」
「何か逆転の手はないの?」
「今のところは…」
暁自らの攻撃はまだ来ていないから断定はしていない。
しかし、相反する神を宿したのなら今まで以上に強くなっている。
ただでさえ厄介だと言うのに…
「ここから先どう戦えっていうの…」
「神託も警報も使えない。完全に孤立無援ね」
「もし街が襲われていても私たちは気づかないってこと?」
「はい…大赦と相談して連絡網をしきますが穴は多いでしょう…」
インターネットを使えば情報はいち早く習得出来るものの、私たちの機動力がそれについていけない。
これまではどこに居ようと樹海化で敵の近くにスポーン出来たけど今回は現実世界で戦うことになる。
各県に勇者を配置すれば対応は出来るけど戦力の分断に繋がり危険性が高まる。
戦いに犠牲はつきものと思えば固まっていた方が安定する。
それを彼女たちが納得出来るかは別問題。
会議は煮え切らないまま解散となった。
私の容疑は解除され自由行動の許可が降り、赤嶺は私の監視下に置かれ仮初の自由は保証された。
「…」
私はベットに仰向けになって天井を眺める。
暁の目的は神樹と全人類の殲滅。
前者は取り込んだ事で事実上のクリア。
あとは前哨戦と言ったところになるのか…
突然、ピタリと冷たい何かが顔に当てられた。
「冷たっ!?」
飛び起きて見てみると赤嶺がスポーツドリンクを両手に持って立っていた。
「ちゃんと意識あってよかった。怖い顔してたよ」
「…そりゃするでしょうに」
スポドリを受け取り一気に飲み干す。
火照った頭に冷気が行き渡り心地よい。
「何であの人はここに来れたの?」
「さぁね。私が先なら呼び水となった可能性はあるけど逆だからね」
例えるなら通気口しか出口の無い壁に囲まれた密閉空間に侵入するようなもの。
でもアイツは使徒、不可能を容易く可能にする恐ろしい存在。
「考えても仕方ない。今は相手の動向に応じて行動するしかない」
「ふわっとした考え。相対したならアドバイスの1つもないの?」
「あれは私の知る暁とは別もの。同じ手を使ってもその上を簡単に越えてくるよ」
「貴方の端末の設計者に改良してみたら?」
「そんなの
あの人?
私の端末は暁から貰ってその後…
そのあとどうしたんだっけ…
実験繰り返してようやっと実戦に漕ぎ着けたのは覚えている。
でもそこにいた責任者の顔も容姿も思い出せない。
東郷が生贄に捧げられた時に似ている。
ただ、一生懸命思い出そうとしてもそこだけ切り取られている。
声も体温も何もかも…
「美穂?」
「思い出せない…忘れちゃいけない…大事な人なのに…」
両手で髪を強く握る。
何で…何で出てこないの…
結局私はその人の顔も名前も思い出せなかった。
万能人類悪の暁参戦!
オリ敵作ったんだから徹底的に擦らないと!
しかもグレードアップしての登場。
ゆゆゆい本編は身内同士の争いってイメージだったのでスマブラXの「亜空の使者」風にしようかなと。
世代バレるけど神作だよなぁ…
そしてゆゆゆいコンシューマー版予約悩み中。
Switchだと容量食われて死ぬのでPS4一択ですけど値段が…
「この程度で悩むとは貴様のゆゆゆ愛はその程度か!」
と試されている感強い。
今はコーラルキメてるのでアサルトアーマー展開しながら考えますかね…