ゴーストタウンと変貌してから数日。
突如、全員の端末が同時に鳴り始めた。
そこには黒い画面に赤い字で
『Angel Attack』
と表示されていた。
「天使の攻撃?どうゆう事??」
「天使をバーテックスと置き換えれば何となく分かりますけど」
「敵が来たなら真っ向から倒すしかないだろ!」
皆で意気込み学校を出ようとしたその時、窓から見える街から爆発が起こった。
「敵の攻撃か!!」
「何処から攻撃してるの!」
「弾が見えない…となると直接か!!」
私は即座に変身し爆心地へ向かう。
1人突っ走ったけどどうせ追いつくと信じて。
家々が爆発によって瓦礫の山と化していた。
火の手があちこちからあがり本当の戦場のような状況だった。
「これは…」
「美穂ちゃん!!」
煙を吸わぬよう口元を隠していたら高嶋と友奈が来た。
やっぱりこの2人が最初か。
「かなり煙が濃い!吸わないよう気をつけて!!」
それぞれ肘で口と鼻を多いながら音の方へ歩みを進める。
勇者バリアで五感の限界値は底上げされているものの限度はある。
それにしても暑すぎるでしょ…
サウナに放り込まれたような感じで汗が止まらない。
何もしなくても体力を奪われる。
早めに原因を取り除かないと…
次第に爆発音が大きくなってきた。
街の壊れ方も大雑把になっていている。
「私が仕掛けるから2人は構えてて」
力強く頷いたのを確認しライフルで爆心地に向かって数発撃ち込む。
当たらずともこちらの存在に気づくに違いない。
すると爆発音が突如止まり、焼ける音しか聞こえなくなった。
黒い煙に包まれた先から人影がゆっくりと迫ってくる。
十中八九進化した使徒だろう。
前回のように急速に近づいて襲ってくるかもしれないと思い鼻を塞いだ手を防御に回す。
やがてその姿が炎に照らされながら私たちの前に晒された。
「え…?」
「こんなことって…」
「…」
黄と白の混じった腰まで長い髪、光を失いながらも美しさのある青い瞳、死人のように白くなった肌。
そして、黒い騎士のような衣装に水色のラインがなぞられ、背中には帯のようになったマントがなびいていた。
「あぁ、やっぱり来たんだ」
口角を少しあげ笑みを見せる。
「…何の冗談?高嶋に飽き足らず今度は私?」
「違うよ。私は私、本当の高木美穂だよ」
「その成で私を名乗るなんて呆れるね」
「そっくりその言葉を返すよ」
高木美穂と名乗る使徒は私へゆっくりと近づく。
私も合わせるように足を進め近寄る。
「ふーん…これが別の私かぁ…」
「最低限のパーツは同じ…アイツどんだけ私の事好きなんだよ」
「彼は関係ないよ。この肉体は私のものだから」
「どういう事?」
「偽名とか造られた存在じゃない。私は高木美穂としてこの世界に生きていたんだから」
つまり目の前にいる私がこの世界に生きた高木美穂で、私が平行世界からやってきた偽物だと。
納得はするけどややこしい。
「それでどうしたいの?この状況でお茶のお誘いされても困るけどね」
「ギャグセンス疑うけどまぁいいや。貴方が私ならやりたいことは分かるはずだよ」
「動機を知らないのに推察出来るわけないじゃん」
「そうだった。話を端折ってしまうのは良くないや。私の動機は『地獄を作り上げたもの全てを破壊する』だよ」
復讐心か。
暁との接触は無かったとするならその矛先は…
「大赦…いや、勇者か」
「御明答。凄いや、本当に私なんだね」
私から少し距離を取りニコリと笑った。
「気に入った。貴方は最後に殺してあげる」
「大人しくしていられるとでも?」
「だよねぇ…じゃあこれでどう?」
パチンと指を鳴らすと地面から影が私の体を絡めとってきた。
「なっ!?」
避ける隙も与えず黒い帯となり私の腕を縛り上げる。
振り払おうと動いてもビクともしない。
「大丈夫、影そのものに害は無いよ。それじゃそこでゆっくり見てなよ〜」
「待てっ!!クソッ…!!」
ビットを展開し2人に向かう使徒に放つ。
「おっ!?」
即座に柄が長い剣を2本顕現させビットの遠距離攻撃を払い除けた。
あれが主兵装か…
「それが遠隔兵器…厄介極まりないね!」
「はあっ!!」
ビットに気を取られていた隙に高嶋と友奈が接近し同時に攻撃する。
背後を見せた状態だから剣で防げるわけが無い。
すると帯がぐにゃりと風とは違う動きをしたと思った瞬間、2人に向かって勢いよく伸びていく。
攻撃姿勢から防御へ即座に切り替え防ぐ。
2人の反応の良さには味方ながら驚くほどスムーズだった。
「ハハハッ。これ防ぐかぁ〜。神様に好かれるのも分かるね〜」
「美穂ちゃんを離せ!!」
「そんな怒らないでよ。まだ危害加えてないんだから許してよ。それよりもこの状況変だと思わないの?」
「どうゆうこと?」
「
「「!!」」
確かに到着が遅すぎる。
瓦礫で越えられないとかは勇者に変身している以上起こるはずがない。
「そんな鈍いから救えるものも救えないんだよ。今回は初対面だからサービスサービスゥ〜」
使徒が手を掲げるとやや上に透明なモニターが現れた。
そこには街を破壊しながら暴れる巨大な百足がいた。
高松市にあるシンボルタワーを遥かに越える大きさが荒波のようにうねっている。
「派手にやってるねぇ。いやぁ大迫力」
「大百足…」
平安時代、ある山に住み着いていた巨大な百足。
大きさは山を7周半したとも言われている。
「散々見下していたものに見下されるのはどんな気持ちなんだろね」
「このッ!!」
高嶋が単独で突っ込むと黒い帯が囲い込むように一斉に襲いかかる。
それをステップを踏みながら次々に避け迫る。
「やあッ!!」
「おっと」
剣と拳がぶつかり火花が一瞬散る。
私はビットを操作し使徒の体目掛け突撃させる。
「そろそろお遊びは終わりだよ」
突然、私の体に針を刺されたような痛みが全身に走った。
「ぐっ…ぅぅああ…!!」
ビット操作を痛みで邪魔され使徒に攻撃が当たらなかった。
「美穂ちゃんに何したの!」
「ちょっとお灸を据えただけ。まぁ最後の一人になるまではその武器は使えなくなるくらいだから大丈夫」
息を切らしながら使徒を睨む。
ビットとの繋がりが消え地面に落ちる。
完全にハッキングされた…
「これで心置き無く戦えるね」
「なら。全力で相手するよ…」
「美穂ちゃん待ってて。必ず助けるから!!」
2人の声に頷いて答えるしか出来なかった。
この場で私は最も無力な存在だ…
──────
使徒は2本の剣を交えながらゆっくりと間合いを測っていた。
結城ちゃんとの2人がかりで倒せるかは分からない。
けど、ここで私たちがやらないと皆の被害が大きくなっちゃう。
流れている映像を見るとまだ戦っている様子が見える。
皆も長く戦えない。なら…
「行こう。絶対にここで倒すよ」
「うん…分かったよ!!」
その意気込みを嘲笑うかのように使徒は口角をあげた。
同じ顔が2人もいると変な気持ちになるのは分かる。
けど、その顔は美穂ちゃんがしていい顔じゃない。
使徒は黒い帯を建物にはわせ鉄骨を複数本引き抜く。
「受け取りなっ!!」
虫を潰すかのように鉄骨を私たちに振り下ろす。
スピードも早く避けるのがやっとなのに数もある。
「厄介…!」
「だったら受け止める!!」
結城ちゃんは手をクロスさせ鉄骨の攻撃を受ける。
バリアが貫通するのは天の神由来のものだけ。
鉄骨自体には天の力は無く、バリアで防ぎきった。
「高嶋ちゃん!」
「ありがとう!!」
鉄骨に乗り使徒目掛けて駈ける。
私を振り払おうとするも結城ちゃんが押さえ込んでくれたから安定はした。
鉄骨を蹴り上から殴りつけようとした時、3方向から別の鉄骨が私に向かって勢いよく伸びてきた。
「なら…!一目連!!」
出し惜しむことなく精霊の力を憑依させ強風を起こす。
帯で固定されているとは言えど、押し進むことは出来なかった。
「それが切り札かぁ。いいねぇ…盛り上がるなぁ!!」
「これならどうだ!!」
コースを変えることなく拳を上から叩きつける。
憑依したからいつもより強く力が入り、剣で防いだにも関わらず使徒の立つ地面が大きくへこむ。
「満開ッ!!」
結城ちゃんも続いて満開し、鉄骨をへし折りながら使徒のがら空きになった腹へ一撃を決める。
そのまま建物を破壊しながら吹き飛んでいく。
「先行ってるね!」
「うん!美穂ちゃんは任せて!!」
結城ちゃんは使徒の後を追い飛んでいく。
その間に美穂ちゃんに取り付いた影に手をかける。
刹那、悪寒と吐き気が私の中から沸き立つ。
「うっ…!」
「高嶋!!」
「大丈夫…このくらい…!!」
奥歯を噛み締めながら腕に力を入れる。
繊維が切れていくように拘束がゆっくりと解けていく。
「ぁぁぁああああ!!!」
ブチリと音を立て影は美穂ちゃんから剥がれた。
「おいっ!!」
安堵しちゃったからか変身を解きながら前に倒れる。
それを慌てて受け止めてくれた。
「えへへ…無理しちゃった…」
「どこか動かないところとかない!?」
「うん…疲れただけだよ」
疲労感が凄くて全身がかったるい。
「それよりも結城ちゃんを…」
「分かってる。けどここに1人置いていけないよ」
お姫様だっこのように抱きかかえて離脱する。
その時始めて眼下に広がる光景を目撃した。
あちこちから火の手があがり赤く輝く街。
誰かが帰るべき場所、大切な思い出があった場所。
それが全て燃え灰と消えていく。
あの日と同じ地獄がそこに広がっていた。
「そんな…」
「…」
学校までは火は届いておらず屋上に私を下ろしてくれた。
「百足は…撤退した?とにかく今は友奈の援護に行ってくる」
「結城ちゃんを頼んだよ」
「もちろん」
美穂ちゃんは再び火の海へ飛び出した。
どんな状況でも前を向いていられる強い心、それに対して今の私にあるのは諦めかけた心。
何であそこまで強くなれるんだろう。
羨ましいなぁ…
??「俺はもう鏡の存在では無い…」
と言わんばかりの闇堕ち美穂参戦です。
モチーフは仮面ライダーXギーツです。
素体はほぼ同じなのにあの色味、そして見た目以上にはっちゃける戦闘スタイル。
カッコ良さしかない…採用ッ!
の流れでした。
そして混沌とし始める四国。
ここまでぶっ壊す気満々なのもここが初では?
とにかくやれる所までやったらぁ!!