受験勉強を甘くみていたかもしれない。
高木さんのフォローがあって何とかなってるけどやることが沢山ある。
目指している高校も少し高めなのもあり問題も一捻りされている。
降谷さんと西園寺さんも同じ高校目指しているから4人で頑張ることになった。
知った時胸の辺りがチクリと傷んだけど仲間がいるのは嬉しかった。
「千景さん何かありました?」
「あ、ちょっと考え事してて。何かしら?」
今は三ノ輪さんと高木さんの3人で買い物から帰る途中だった。
「帰ったらゲームしません?前教えてくれた格闘ゲーム強くなったのでお手合わせ願いたいなと!」
「いいわよ。どこまで通じるか見定めてあげる」
「やりすぎないでね〜。2人とも本気になると歯止め効かないから」
「分かってるって」
夏の夕焼けに照らされ2人は私の前を歩いている。
それが眩しいかったけど心は満たされていた。
これも幸せというのかしら…
横断歩道で信号待ちをしていた時、スマホのバイブが鳴っているのに気づいた。
画面を見てみると非通知らしく番号が表示されていない。
いつもなら切るのに何故か出ないといけない気がして押してしまった。
「もしもし?」
反応が無い、間違いか迷惑電話のどったかだったんだろう。
切ろうと耳からスマホを離し──────
『何やってんだよ』
息が一瞬止まった。
二度と聞くことが無いはずの声、吐き気すら催す声。
それが今恐怖の対象となっている。
「おとう、さん…?」
『勝手に死んでゴミ増やしやがって。お前の死体邪魔だったんだけど』
何言ってるの…?
ゴミ?私の死体が?
『しかも幸せになってさ。生意気なんだよ』
何で知ってるの…?
問いただしたいのに声が震えて出てこない。
『自分が疫病神なの自覚してないとか能天気にも程がある。好きになることの重さを知らないからこうなる』
突風が吹き荒れ思わずスマホを離してしまった。
目を塞ぎ髪を抑えるしか手はなかった。
風が止みゆっくりと目を開け周りを見たら1台のトラックがガードレールに激突していた。
さっきの風はトラックが通り抜けたからと理解した。
「2人とも大丈…」
横にいるはずの2人はいなかった。
電話に夢中になってて先に渡り終えていた?
しかし姿は見えない。
一旦渡って見ようとした時、何かを蹴ってしまった。
それは見覚えのある運動靴だった。
「は、あぁ…ああぁ!?」
目の前が暗くなった。
トラックと運動靴、そこから出る答えは1つ。
私はその答えを否定しながらトラックへ走る。
そんなわけない…避けた時に飛んで行っただけ…!
「あ…」
フロントを見て、足の力が抜けその場にへたり込む。
グレーのフロントが真っ赤に染まっていた。
「うっ…おええぇぇぇ…」
鉄の匂いと光景に耐えきれず戻してしまった。
「ガハッ…ゲホッ…な…で…」
吐いた辛さでは無い涙が溢れ出す。
ついさっきまで話していた大切な人が形を残さずいなくなった。
『お姉ちゃんって呼ばせてください!』
『大好きだよ』
「あ…あああ…ああああああああッッッ!!!!!」
頭を掻きむしりながら絶望する。
妹のように思っていた人、恋を受け止めてくれた人。
特別な存在を一瞬で無くした。
「誰か…誰か…誰か助けてください…!!」
周りに人集りが出来ていたから助けを求める。
この絶望をひっくり返せるなら命だって捧げる。
だから…!
「なんか言ってるよ?」
「可哀想とか思ってんじゃない?マジキモイんだけど」
「へ、え…」
目を大きく開き人集りを見る。
事故が起こったのに私に向ける目が冷たい。
「被害者ヅラすんなよ。ゴミ勇者」
「あんた死んで清々したのになんで生き返ったの」
「あ、あああ…」
視界が歪みあの村が蘇る。
売女と蔑まれ味方が居なかった地獄と同じ状況ができている。
「なっさけない顔。写真撮って拡散してやろ」
「いいねぇ〜。皆に知ってもらおうよ」
電話をせず私の顔を撮り始めた。
「イヤッ!やめて!」
体を丸め顔を隠す。
嫌という程してきた防御姿勢。
こんなことしても治まらないのは知ってる。
でも、今だけは見られたくなかった…
「おいおい、家族死んだのに自分のこと優先してるぞコイツ」
「うーわっ…無いわー。私なら土下座してでも助けたいって思うのに」
「やっぱコイツクズだわ。何寝転がってんだよ」
笑われながら背中を蹴られる。
痛い…痛い…痛い…
涙が止まらない。
この世界に来て色んな人と会えて信じれたのに…
「私の…せい…なの…?」
「当たり前じゃん。お前が生きてるのが悪いんだよ」
「こっちの世界まで被害出さないでくれない?」
私が誰かを好きになったらダメなの…?
誰かと一緒に暮らすのもダメなの…?
生きているのもダメなの…?
───か────!!
「いや…」
死にたい…死にたくない…
生きたい…生きたくない…
ち────げ──!!
助けて…助けてよ…
土井さん…伊予島さん…乃木さん…上里さん…高嶋さん…!
「いやああああああッッッ!!!!」
「千景ぇぇぇぇぇぇ!!!」
視界に入っていたのは真っ白な天井。
私の部屋…?なら今までのは夢?
「千景!大丈夫!?」
声の方を見ると高木さんが必死な顔して見ていた。
手に力が入っているのか指が食い込むほど服がシワになっていた。
「高木さん…?」
「良かった…ほんとに良かった…!」
目元を何度も拭いている。
ドクンと心臓が跳ねる。
血まみれのトラック、片足だけ残った靴。
そしてーーーー。
「ひ、いぃ…!」
夢だとしても思い出すだけで恐怖が蘇る。
ガタガタと震え始め息がしずらくなった。
「千景!落ち着いて!!」
『早く消えろよ』
『約立たず』
『淫乱女』
また聞こえる…
もうやめて…!私をこれ以上汚さないで!
嫌われたくない!消えたくない!!
「大きく息吸って!大丈夫、私はここにいるよ!」
「ひ…は…あ…」
ダメ…上手くできない…
肺が焼けるように痛い…
あれ…どうやってこきゅうってするの…?
まっくらになってきた…
もうわかんない…
「諦めないで…!口を開けて胸を張って!」
むねをはる…?こう…?
「そうそう。今度はゆっくり降ろして」
は、ふぅ…
あ、いたみがすこしへった…
「また胸張って、降ろして」
はぁ…ふぅ…はぁ…ふぅ…
ーーー段々視界が戻ってきて私の思考も繋がり始め、呼吸も落ち着いてきた。
「大丈夫?」
「大丈夫…よ。ありがとう…」
高木さんは横になっている私の胸元に顔を埋めた。
「死んじゃいやだよ…ひぐっ…1人にさせないって約束したのに…」
私のせいで高木さんを泣かせてしまった。
「ごめん、なさい…」
呼吸が落ち着いたのにまた乱れてきた。
喉がカラカラなのに涙はたくさん出てくる。
「千景…千景ェ…!」
「高木さん…高木さんっ…!」
何度呼びあったんだろう。
呼ばれると私がここにいると強く自覚できる。
それを彼女に言われると更に強くなる。
私はここに居ていいんだ…
落ち着いた後、水を持ってきてくれた。
喉が一気に潤い少し痛かった。
「中々起きないからって様子見に来たら苦しそうに唸ってたんだ」
「そう、なの…」
忘れられない夢になってしまった。
思い出したくなくても頭から離れない。
「やっぱ一緒に寝ようよ。昨日ゲームするからって別れたのが悪かったんだ…」
「高木さんは悪くないわ。私の心が弱いだけよ…」
過去を消すことは出来なくても乗り越えることは出来る。
高木さんは出来たのに私はまだ越えられない。
「無理にやらなくていいんだよ。千景は千景のテンポでやっていいから」
「本当に優しいのね…」
私の彼女にふさわしいのか疑問に思ってしまう。
「他人に押し付けるのは良くないって仕込まれたからね」
「先生だった時もよく言ってた」
必ず選択肢を作って判断を任せてくれた。
それを受け継いでいるからこそ寄り添える。
「整理ついた?」
「しばらくフラッシュバック起こしそうになるかもしれない」
「その時はまた助けるよ」
「よろしく頼むわ」
夢の内容はあえて言わない。
言ってしまったら本当になってしまいそうで怖かった。
でも心はスッキリした。
ここに入れて良かった…
日常パートの復活だい!
皆、お待たせしてたかな…?
歓喜してくれたら最高だけどいっか!
ゆゆゆいパートは悩みながら執筆中です。
この風呂敷どう畳もうか…
そして明日は10周年生放送!
舞台化や記念グッズ等様々な情報が出るとは思うけど、皆が一番期待してるものは当然アレだよな!
とはいえ確証も無いからちゅるっと新作決定を推しとくぜ。