生者に夢を、死者に花束を   作:薫製

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決戦の時

今日は7月7日、つまり七夕。

笹はさすがに用意できなかったから短冊をカーテンレールにつける事にした。

 

「お願い事何にした?」

 

「それ言ったら意味ないでしょ」

 

登校前に願い事を短冊に書く。

自分で言うのもなんだがけどサラッとこの願いが出るのが気持ち悪い。

つくづく私が嫌いになる。

 

「まぁ、帰って来てから公開ってことで」

 

私の机の引き出しにしまう。

 

「今日はちらし寿司かな」

 

「ならお米と卵焼きは任せて」

 

「おけー。んじゃかまぼこ買っとくー」

 

手短に会話を済ませ登校する。

 

「はずだったんだけどなぁ…」

 

頭を掻きながら樹海化した世界をみる。

遥か先にズラリと並んだバーテックス達。

1体バカでかいのがいるけど動かない。

まさに大将といったところ。

 

「七夕にちなんで彦星が来ました!とか勘弁して欲しいんだけど」

 

「ホントそれ。お帰り願いたいな」

 

2人で眺めていたら他のメンバーと合流した。

皆変身してたので私もしといた。

 

「6体?なんか中途半端ですね」

 

「けど、攻めてくる以上倒すわよ」

 

「そうね。これが終わればお役目から解放される」

 

終わりねぇ…

皆は現実を知らない。

あれを見て同じこと言えるのかな。

 

「よし!ここはアレやっとくわよ!」

 

「はい!」

 

皆1箇所に集まり肩を組み始めた。

 

「円陣?やる必要ある?」

 

「全体の士気が上がるなら大切でしょ。てことでお邪魔するね」

 

「アタシも入るー!樹さん隣失礼します!」

 

「ったく。しょうがないわね…」

 

満更でもないって顔してますよ。

 

「あんたたち、勝ったら好きな物奢ってあげるから、絶対死ぬんじゃないわよ」

 

「楽しみ♪美味しい物い〜っぱい食べよっと!肉ぶっかけうどんとか」

 

「言われなくても、殲滅して手柄にするわ」

 

「わ、私も…叶えたい…夢があるから」

 

「死なせはしないよ!私はみんなの未来を守るんだから!」

 

「アタシも微力ながらサポートするぞ!」

 

「頑張ってみんなを…国を!護りましょう!」

 

それぞれ自分を鼓舞するように言ってく。

死亡フラグに聞こえなくもないけど、そんなの折れば問題なし!

 

「よーーーし!勇者部、ファイトーーーッ!」

 

『オーーーッ!』

 

 

 

東郷さん以外のメンバーは前線へ向かっていった。

まだ接触しなさそうだから少し雑談をしよう。

 

「ところで銀。アレの練習したの?」

 

「えーっと、たまに目瞑ってイメージするんだけど気づいたら寝てるんだよね…」

 

「あー…それよくある」

 

私も昼寝主体だから遊び半分に近い。

 

「でも、コツは初回に得たので!」

 

そう言い銀はアプリを開き盾を出した。

フワフワと浮いており、安定感もありそう。

 

「これが銀の武器?まさか、戦わせる訳じゃ…」

 

東郷さんがスコープから目を逸らし見てきた。

私服姿で私のような身体強化も無いのに武器を持たしてるからね。

 

「さすがにそれは無いよ。身を守るための最終手段だから前には出させないよ」

 

私はアサルトモードに盾を変形させた。

どうしても撃ちたいと夏凜に土下座1歩手前まで言ったら

『トドメは私にさせなさい!』

と言われたので威力を見ながらやっていくことにした。

 

「1体こちらに向かってきます。美穂ちゃん対処を」

 

「了解、銀一応耳塞いどいてね」

 

エネルギー弾のためチャージ時間がある。

東郷さんも同じだけど連射可能なのがスペックの差なんだろね。

 

「チャージ完了。目標補足…撃ちます!」

 

トリガーを思いっきり引く。

その瞬間雷が落ちたかのような轟音が鳴り響いた。

反動で盾が浮くほどの威力。

放たれた白色の弾は真っ直ぐ飛びバーテックスに直撃した。

あまりの威力で弾は貫通し、樹海に当たり爆音と共に土煙を上げている。

バーテックスは速度を落とせず身体を地面に打ち付けた。

 

「耳キーンってするんだけど!鼓膜破れてないかな!?」

 

「大丈夫?私もここまでとは思わなくて…」

 

奥で封印の儀が行われているらしくバーテックスが砂に変わっている。

クレームがないから大丈夫だったのかな?

 

「すごい威力…これなら!」

 

「あ…」

 

私は気づいてしまった。

砲身がへし曲がっている。

放った弾の熱で折れたんだろうな。

 

「1発限りだね。後で報告しよっと」

 

砲身をパージし盾に切替える。

少し熱いけど気にしない。

 

「それじゃサポート行ってき―」

 

「待って、指揮官がいるのにまるで叩けといわんばかりの突出…まさか!」

 

結論を言う前に私は飛び出した。

けど、気付くのが遅かった。

ベルから爆音と共に気持ち悪い音がしていた。

範囲が狭いのかこちらには微かに聞こえる程度だったけど4人に取っては大きな痛手になる。

更に後方から2体接近している。

 

「クソッ…!間に合わない…」

 

銀を伴っていたからかなり後ろに居たのが裏目に出た。

飛びながら距離を縮めているその時、真下からバーテックスが現れた。

慌てて身体を逸らし衝突は避けれた。

一瞬食べられるのかと思ったが口は無さそう。

ただ、鯨のジャンプのように地面へ潜った時の衝撃がすごい。

これが続くなら東郷さんの支援は当てにならない。

なら4人に頑張ってもらわないと。

 

「いけるか…!」

 

距離の問題があるが剣をベルに向かって投げつけた。

音波で行動を封じるだけなら物理法則は関係ない。

私も耳痛いし、気持ち悪いけど耐えないと。

回転しながらもなんとか目標に当てられた。

一瞬音が弱まった。

 

「この気を逃すな!」

 

私らしくもないことを大声で言ったとは思うけど切羽詰まってるのでね。

バーテックスも再度鳴らそうと大きく揺れ始めた。

 

「させない!」

 

樹ちゃんがワイヤーでベルを固定した。

これなら皆動ける。

 

「ナイス樹!」

 

風先輩が大剣を更に巨大化させ2体まとめて切った。

幾ら身体能力が上がってるとは言え大胆過ぎる。

 

「美穂ちゃんありがとう!でも剣が…」

 

「あぁ、それなら」

 

少しカッコつけて指を鳴らした。

すると、上空からものすごいスピードで剣が手元に返ってきた。

まぁ頭で念じればいいんだけど。

 

「これで問題なしと…ん?」

 

攻めてくるかと思いきや後退。

 

「終わり?いや、まさか!」

 

大型の元に集まり融合。

一体でも厄介なのに集まったらヤバいのでは。

 

「4体まとめて封印するわよ!」

 

風先輩に続いて皆近づこうとした。

 

「むやみに近づかない方が…」

 

私が言おうとした時、大量の火の玉がバーテックスの周囲に現れ放たれた。

お互い回避ルートが合わないようバラバラに走る。

迫る弾は4つ。

私は幹の下に入り放物線をかきながらぶつけて逃れる作戦を取る。

だけど弾は綺麗に幹を避けていく。

 

「自動追尾弾!めんどくさい!」

 

遠くで悲鳴が聞こえた気がする。

威力によるけど私以外はバリアがあるから多少は問題ない。

つまり、意地でも避けないといけない。

 

「ならば…アドリブについてこれるかな!」

 

思いっきり幹を蹴り加速する。

加速したのに背中が次第に熱くなる。

上の幹が目の前に迫ってきた時、私は剣を突き刺した。

同じ行動に慣れ初めに異なる行動をすると対応に遅れが出る。

ましてや相手はただ追うだけの生命体ですらない。

保険で身体を丸め当たる面積を狭める。

ギリギリ過ぎたのか背中を掠める。

 

「熱…ッ!」

 

弾は目標を見失ったからかあらぬ方向に飛んでいき爆発した。

剣を抜き、近くの幹に降り立つ。

痛みが襲ってきて膝をついてしまう。

 

「火力が違うんだよ…」

 

突然、発射音が聞こえ思わず防御姿勢を取る。

弾は私の上を通過していく。

 

「あの方角は…東郷さん!銀!」

 

行こうにも距離もあり、背中の痛みが引いていない。

ただ、弾の行き先を見るしかなかった。

 

―――――

 

融合したバーテックスの攻撃がみんなを襲っている。

 

「これで!」

 

東郷さんはバーテックスの中心に向かって撃った。

けど微動だにしてない。

 

「そんな…弾き返されるなんて…」

 

再び火の玉が現れ、真ん中に集まっていく。

その瞬間、アタシの身体は動いていた。

逃げるのではなく守るために。

盾を飛ばし、東郷さんの前に展開する。

同時に、目の前が白くなり伸ばした右腕が重くなった。

 

「グッ…」

 

左手で何とか支えきったけど痺れている。

 

「大丈夫!?」

 

「何とか…!東郷さんもう一度狙って…」

 

言い終わる前に再度光るのを見てしまった。

 

「「あっ…」」

 

再度展開するも正直無理な感じ。

だけど、最後まで諦めない。

ここで逃げちゃ行けない気がする。

理由なんてない、これはアタシのわがままだ。

また、負荷がかかる。

 

「うあっ…!」

 

完全に押し負けた。

盾が吹っ飛んだのを最後に視界が白くなった。

痛みを無理やり抑え上がってきたタイミングで2射目が直撃するのを見てしまった。

パッと見動けるのは私だけ。

バーテックスはゆっくりと神樹に向かっていく。

 

「私は無視って事…?」

 

確かに勇者に似せたシステムだから弱いと言われても仕方ない。

 

「けど…お前がやるとムカつくんだよ!」

 

今のバーテックスのスピードを越すことは容易だったからすぐに目の前に立ち塞がる。

剣先だけを盾に差し込んだ。

盾の装甲が剣全体にずれ厚みを増やす。

 

「アックスモードに移行完了…」

 

重さが増し他の形態より動きが遅くなるけど威力は高まる。

両手で斧を持ち遥か上を睨みつける。

 

「ずいぶんと前来たじゃん…でもここでくたばってもらおうか!」




本格的な戦闘シーン開始です。
そこまで長引きませんが頑張ってかきました。
ロマン兵器っていいですよねぇ…(自分語り)
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