生者に夢を、死者に花束を   作:薫製

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ピリオド

私は槍の雨の中にいた。

止むことのない殺意と悲しみを合わせた雨。

バリアと私の剣、そして銀の斧でやっと耐えれるレベル。

銀にバリアは付与されていないから私の後ろに立たせる。

進むほど強くなるからなかなか詰めれない。

さっきまでのが舐めプってハッキリ分かるね。

 

「動ける!?」

 

「無茶でしょうが!」

 

「だよね!策は!?」

 

「考え中!でも…!」

 

実は穴から火球飛ばすバーテックス、レオが侵入してきた。

招いたのは東郷だろうけど、救援に行ける状況とは程遠い。

あれは勇者部に任せるしかない。

園子との距離は顔がなんとなくわかるぐらい。

よく見えないけど左目は色を失っている風に思える。

意思とか関係なくただ槍を降らせてるだけ。

なら勝算微妙にありそうかな…?

 

「これなら…銀!」

 

「なに!」

 

隣にいるのに槍を防ぐ音でほとんど聞こえないから大声で呼びかける。

 

「策ができた!アドリブ全開だけど!」

 

「上等!やってやるよ!」

 

特攻に近いけどやるしかない。

手短に策を言い、銀はうなづいてくれた。

私は懐から円柱系の物を取り出す。

先端のピンを抜き、カウントダウンを心でする。

 

「…今!」

 

それを雨の中に放り投げた瞬間、視界が白くなると同時に無音となった。

閃光爆弾。

光と音で対象を鈍らせる兵器。

物理攻撃が無効であっても五感に対する攻撃は多少也とも効くはず。

ただ早めに投げて壊される可能性あったから私も対象になるけど。

目の前が白く耳鳴りが酷かったけど槍は止まってない。

それも想定内、本番はこっから。

私の肩を銀が叩く。

銀には予め目と耳を塞いでおいた。

園子は動いてないと思うから場所は把握している。

切り札を起動させ、右手に力を込める。

 

「行っけぇぇぇぇ!!」

 

少しずつクリアになってく視界の中私は右ストレートをかました。

その先にあるのは銀の両足。

人間大砲。

私が砲身で銀が弾。

被弾確定だけど最短で超えられる。

私の目が使い物にならなくなるから位置調整を銀に任せっきりにしたけどバッチリだった。

赤い弾丸となって園子の元へ飛んでいく。

 

「歯食いしばれ園子ぉぉぉぉ!!」

 

防御で出していた斧を消し、顔面を殴りつけた。

雨はやみ2人は地面を転がる。

発射させたの私だけどバリア無かったら頭吹き飛ぶんじゃない?

園子は私が近づいても仰向けに倒れていて動かない。

反応が無いだけで死んではいないと思う。

私は声もかけずそのまま見つめる。

私の介入する時じゃないからね。

 

「やり過ぎた?」

 

「ちょうどよかったよ」

 

肩を押さえながら銀が来た。

血垂れてるけど丁度いいんだ…

 

「…後は頼んだよ」

 

私は2人から少し離れ、レオの動向をみる事にした。

 

―――――

 

正直言うとめっちゃ痛い。

射出された力と槍が肩を掠めていったから。

美穂は園子の元へ届ける策として提案してきた。

最後はアタシに任せたんだろな。

バーテックスの様子を見に離れてくれたのをみて横に座り話しかける。

 

「園子…」

 

「あーあ…負けちゃった」

 

つぶやくように負けを認めた。

 

「美穂を殺す気無かったろ?」

 

「最初はね。でも、煽られた時は本気で殺そうとしちゃった」

 

「おいおい…」

 

美穂も何やってるんだよ。

あの園子を怒らす事すら難しいのに殺す気にさせるなんて。

 

「ホント情けないよね。経緯はともかく会えたのに一人占めしたい気持ちが勝っちゃたんだもん」

 

嫉妬ってやつかな。

 

「いやだなぁ~…嫌われちゃったよ。もう傍に入れないね…」

 

声が震えていた。

ここまで弱くなるのも初めて見た。

 

「そんな訳ないだろ。喧嘩なんて友達だからこそ出来るんだぞ」

 

「でも、殺し合う喧嘩なんてしないよ」

 

「それだけお互い大切なんだよ。命をかける程ね」

 

アタシが戦えるのも2人がいるから。

大切にしたいって思いは変わらない。

 

「1人でよく頑張ったね」

 

園子の頭を撫でる。

寝たきりにしてはあの時と変わらない髪質。

 

「もう、甘やかすの上手いんだから~」

 

「当たり前だろ。これでも姉なんだから」

 

ようやく笑ってくれて嬉しかった。

 

「ご歓談中申し訳ないけど緊急事態だよ!」

 

美穂が慌てて駆け寄ってきて指を指した。

 

「どうした…ってええ!」

 

太陽があった。

いや、バーテックス事態が火球に変化したんだ。

 

「あれが接触したら…」

 

「乃木園子。あなたが私たちに敵意が無いと信じて頼みごとがあります」

 

「分かってるよ、この状況じゃこれしか策が無いからね。ごめんねミノさん、少し離れてくれる?」

 

言われた通り距離を置く。

 

「満開!!」

 

掛け声と共に光が集まり紫色の舟が現れた。

 

「満開ってなんでするんだよ!」

 

身体が動かないほどしているのに…

これでどこを持ってかれても辛さが増すのは確実。

最悪須美と同じ記憶が無くなるかもしれない。

 

「あそこまで最短で行く手段はこれしかないの。私の切り札でも時間かかるし」

 

「それでもっ…!」

 

「大丈夫だよ、これは私のしたい事だから。早く行かないと時間切れになっちゃう」

 

困惑しながらも園子の後ろに乗る。

ならアタシがここで頑張らないと…!

 

「よーしっ…!それじゃ行っくよー!!」

 

舟を浮かせ火球の元へ急いだ。

 

――――――

 

「うおおおお…!!」

 

近くの縁に急いでしがみつく。

風が冷たくなる位のスピードだった。

張り切り過ぎだって!

でも間に合いはするから耐えるしかない。

 

「状況は!?」

 

端末を開ける状態じゃないから園子に聞く。

 

「皆正面から食い止めてるよー!」

 

「ならこのまま後ろから突っ込んで!」

 

食止めるだけじゃジリ貧になる。

だから私たちの目標は御霊を砕く事。

 

「銀準備!」

 

高度を合わせ水平にして貰って突っ込む状態を作る。

 

「分かった!」

 

2人で園子の前に立ち剣と斧を突くように構える。

舟の先端に槍を束ねドリルのようにしてくれた。

 

「行くよ!」

 

衝突した瞬間、槍に合わせて剣と斧を前に突き出した。

触れたのと同時に衝撃が武器から伝わり私の体を貫いた。

 

「ぐううう…!」

 

ひたすら熱い。

それでもジワリジワリと入っていく。

まだ足りないなら…

 

「これでどうだ!!」

 

剣のリミッターを解除する。

装甲が外れ核が露出し、光の剣に変化する。

最大開放した状態でしか使えないし終わったら破壊される諸刃の剣。

身体への負担が倍以上だけどそこを気にする暇はない。

火球に呑まれ勇者服が焦げていき、身体がバラバラになる感覚に襲われた。

更に吐き気も込み上げ前を向きながら吐血する。

 

「それでもッ!!」

 

バランスを崩さず必死に耐える。

次第に三角錐の御霊が見えてきた。

視界に捉えられているのに届かない。

これが限界なの…!

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

友奈が満開した状態で突っ込んできた。

前にいると思っていたから驚きだったけどこれなら勝てる。

 

「行け、友奈ぁぁぁぁ!!」

 

満開した腕や服が散り、制服姿となっていても友奈は進み続け御霊に触れた。

強い衝撃を受けると同時に私の視界は白くなった。

 

 

 

 

 

 

気づけばスクリーンを見て座っていた。

画面は白く、後ろの映写機がカラカラと鳴っている。

 

「ここは、夢の…」

 

今までのが夢でこれが現実?

いや、そんな事はないでしょ。

突然、何処からか拍手が聞こえた。

周りを見てもしている人はいない。

 

「凄いね、アレを退けるなんて」

 

「主催者…」

 

また後ろから声が聞こえるけど姿は見えない。

 

「その言い方嫌だけど仕方ないっか」

 

「ここは夢なの?」

 

「そうだよ。あなたに誰かが見たであろう夢を体験させる世界」

 

主催者が私に体験させる?しかも他人の夢を?

全く意図が読めない。

 

「あなたは味方なの?」

 

「もちろん敵だよ。今はまだその時じゃないけどね」

 

思わず身体を強ばらせて警戒する。

ハッタリの可能性もある。

 

「…目的は」

 

「救済だよ」

 

「敵なのに救済求めるなんて冗談としか思えないけど」

 

「救って欲しいのは私じゃないよ。大切な…ううん、人類そのものを救うんだよ。300年っていう長い間積み上げた業を裁くために」

 

人類救済?

宗教的考えな気がするけど。

それに神様になったような言い方が気になる。

私の別人格ではないと思う。

あったとしてももっと過激な事するだろうし。

 

「さすがに気絶だけじゃこの程度かぁ…せいぜい自分の罪と向き合いなよ」

 

「待てッ!」

 

照明が落とされ真っ暗になる。

 

「背負わせてごめんね」

 

こうして私の意識は無理やり閉ざされた。

 

 

 

 

ゆっくり目を開けると見覚えのある白い天井があった。

さっき夢の世界に行ってたからか少しフワフワした感じ。

試しに身体を動かしてみると痛みが殆ど無かった。

園子との戦闘でついた傷は健在だけど痛まない。

あの時切り札と剣の解放で前回より身体を酷使したはず。

だからこんな痛まないのは変。

 

「どういう事…」

 

隣を見ると銀が寝ていた。

バイタル値をチラ見したら正常そうだった。

自分のことを棚に上げ安堵の息を漏らす。

彼女達(勇者部)のお役目は終わり、ここからは私たちの番だ。




ようやくたどり着いた…
かなり駆け足ですけどそうでもしないとレオを押し返すのに間に合わないので。
逆シャアのように全員で押し返しすムーブも考えましたけど友奈満身創痍なのに負担大きくね?って思ったので切り込み隊にしました。

この後はエピローグが続きます。
ついでに一部伏線を回収していく予定です。
無理やりになる可能性が大有りです…
どうか、皆さんの想像力を貸してください!(土下座)
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