パチリと目を覚ますと一筋の光に照らされた十字のマークが見えた。
段々目覚まし無しで起きれるようになってきた。
悪夢は健在だけど帰ってこれるから良しと思うしかない。
体を起こしベットで寝ている少女を見る。
まだ夢の世界にいるのか心地よさそうな寝顔を浮かべている。
私は軽く笑い極力音を立てないよう朝の準備に取り掛かった。
朝ごはんが出来るタイミングで銀が起き、2人で向かい合って食べている。
今日のご飯はスクランブルエッグと焼きベーコンセット。
シンプルだけど白米が進むんだよこれが。
「今日行きたい所があるから留守番頼める?」
「いいけど、どこ行くんだ?」
「それは…秘密ですね~」
「ええええー。教えてくれたっていいじゃーん」
「ダーメ。こればっかりは言えないよ」
そう、今日行く所は銀が行くにはまだ早い。
いくら自分が何者かを理解したとしても受け止められるか分からない。
それに行く理由も言えない原因に深く関わっている。
黒花さんから借りた鍵を使い門を開ける。
今回は3人でやりたいと言ったらすんなり貸してくれた。
花束を持ちホールの階段を降りる。
ここは勇者と巫女が祀られた神聖な場所。
全員がここに眠っている訳ではなくただ居たという事実を残すモニュメントみたいなもの。
それでも何か畏まってしまう雰囲気がある。
「確かここに…ってあれか」
目的の墓石にしゃがみ献花し先に手を合わせる。
「もう来てたんですね」
後ろを向くと東郷さんと園子が降りてきていた。
「ついさっきだよ」
「徒歩で来たの~?」
「そんな訳ないって。バスに決まってるよ」
2人も墓石の前に花を置き手を合わせた。
「本当に亡くなったんだね…」
そこには数時間前に私を送りだしてくれた友人の名が彫られていた。
私の見ている世界が夢でこれが現実だと突き付けているように感じる。
「だから生きているって聞いた時はびっくりしたんよ」
「記憶が無かった時は距離が近いだけと思ってたけど今は純粋に驚いてるわ」
永遠に会えない友人と再会出来るなんてあり得ない。
これが神の気まぐれだとしても受けいれてしまう。
「にしては冷静に思えたんだけど?」
「あの時は自暴自棄だったんだよ。ミノさんと一緒に死ねればいいなーって」
「怖いよ!?」
世界を巻き込んだ自殺とか発想がヤバい。
笑い話で済んで本当に良かった。
「精霊になった以上殺されて死ぬって事は無くなったね」
「でも永遠とこの世に入れる訳じゃないでしょ?」
「そうだね。消えるとしたらお役目を果たした時か私が死ぬ時の2択かな」
ドームを潮の香りがする風が吹き抜ける。
2人は目を見開き私の顔を見ていた。
「もちろんそう簡単に死なないよ」
二カッと笑い冗談っぽく言う。
事実であっても現実にさせる気は無いしさせたくない。
「不可抗力とは言え銀をこの世に戻した責任がある。だから私は生きるよ、それが罪だと言われても生きて明日を掴む」
ペンダントを強く握り自分に言い聞かせる。
私自身も拾われた命だし余計大切にしないとね。
「銀のことは任せて欲しい。恋しくなったらいつでも会いに行かせるし泊りに来てもいいよ」
「凄い大盤振る舞いね…でもお言葉に甘えさせてもらおうかしら」
「うんうん、前回のお泊り会でミノさんたかみーの事凄く褒めてたよ~」
頭が熱くなってくる。
2人がにやにやしているのを察するにリンゴみたいになってるんだろな。
だって間接的に言われても恥ずかしいもん!
「全く、恥かかせないでよ…」
墓石に向かって微笑みかける。
私が見ている銀はここに眠る彼女が望んだ淡い夢の一部。
明けない夜が無い様に覚めない夢も無い。
でも覚めた後、楽しかったと思えるかは私たち次第だ。
「そういえば私を呼ぶときなんでさん付けなの?」
東郷さんが不思議そうに聞いてきた。
「ただ友奈に引っ張られただけだよ」
壁の上で対峙した時はフルネーム呼び捨てたけどね。
言われてみれば同い年なのに1人だけさん付けってのも変だ。
「なら…呼び捨てでも大丈夫?」
「全然いいわよ。私もいいかしら?」
「もちろん」
「良い感じだね~。それじゃ親睦深めるためにもたかみーの家へ押しかけるぞー!」
「銀に会いたいだけでしょうが。別に来てもいいけどさ」
花はここに置いていけないから持って帰って家に飾る。
私は2人の後ろをついて行くようにその場を離れていく。
階段を上ろうとした時、背後から誰かに見られる感覚を受けた。
咄嗟に後ろを向いたけど動いた気配もない。
「どうかしました?」
「…気のせい?いや…」
ある一点に目がいった。
ついさっきまでそこに無かった物だったから。
銀の墓石に近づくと一輪の赤い花が置かれていた。
「牡丹?」
拾い上げまじまじと観察する。
紅の花びらに黄色の雄蕊をつけた綺麗な色合い。
しかし今は10月、秋に咲く品種もあるけど早くて11月。
明らかに不自然だけど何故か納得してしまう。
2人も覗き込むように見てくる。
「これって…」
「…そこにいたんだね」
突然、吹き飛ばされてしまうくらいの風が一瞬私たちを襲う。
手から花が離れクルクルと回りながら壊れた大橋へ飛んでいく。
私たちはただ見送るしか出来なかった。
「そうやって1人でどっかいちゃうんだから…」
ボソリと園子が呟いた。
私は親しい人が亡くなった時、何も思わなかった。
別に病んでいたとかじゃなくスッと受け入れただけ。
今2人と同じ状況になればメンタルは相当やられるだろうな。
でも今の私には支えてくれる人がいる。
人は1人じゃ生きれないからね。
「そろそろ帰ろう」
2人に声をかけその場を跡にした。
もう気配を感じる事は無く波の音だけ聞こえた。
わすゆ救済なのでこの絡みも入れとかないと。
というかAbemaさん。
1日で3期を3回放送するとか正気か…?
見れないのが救いでしたけどあれ3回は無理ですって…
そしてUAが2000突破しました!
感謝の言葉が続きますが本当にありがとうございます!
次回から2章に突入します。
先に言っておくと完全オリジナルストーリーです。
まぁあのルート救うならそうなっちゃいますって。
原作補正が無くなりますが頑張って駆け抜けます!
応援よろしくお願いします!