生者に夢を、死者に花束を   作:薫製

28 / 126
友情の章
新たなお役目


私は高木美穂、讃州中学に通う2年生。

血液型は…測ってないので分からない。

身長は159センチ、誕生日は6月11日。

擬似勇者として勇者を守りながら世界を救う仕事をしてる。

趣味は絵を描くこと。

景色も人もいいなって思ったものをスケッチしてね。

コンクールに出すとかはない自己満だけどそれでも楽しい。

最近園子に挿絵の依頼受けて描いてみたね。

本人は満足してから良かったけど。

私は少し歪な存在だけどこうして部員として活動できることに誇りを持ってる。

どうか、この馬鹿みたいな日々が続きますように。

なんてね!

 

 

 

「はいカットー!」

 

風先輩の掛け声で肩の緊張を解き椅子に溶けるようにくつろぐ。

 

「ぐぁぁぁぁ〜…疲れるぅ〜…」

 

「凄い表情してるよ…」

 

「なんでこのタイミングで自己紹介撮るんですか?」

 

腕を伸ばしながら風先輩に聞く。

元々私の仕事であった依頼管理を黒花さんが顧問として行う事となった。

ある意味降格したんだけど顔を立てるため仕方ない。

 

「記録用でね。卒業しても思い出として見れるし後輩へのアピールにもなるし」

 

「黒歴史にならない事を祈ります」

 

椅子から勢いをつけ立ち上がる。

 

「先生は今日仕事で来れないから終わったら好きに解散してってさ」

 

顧問、大赦職員そして技術者のトリプルフェイス持ちの黒花さん。

たまに仕事に集中したくて休むことがあるけど元々いないから活動そのものに変化はない。

 

「なら迷子犬のポスター貼りに行くわよ。固まらないようにエリア事にやってよね」

 

それぞれポスターを持って街へくり出した。

 

 

私は銀とペアになり作業をしている。

 

「ここら辺?」

 

「んー、もう少し上…そこそこ」

 

すっかり馴染んでいて小学生なのを忘れるくらい。

2年前も園子と東郷の仲を持ったコミニケーション力が発揮された結果だろうな。

銀が死んだことは隠せないので学校では偽名を使っている。

たまに似ていると言われるらしいけどドッペルゲンガーだと逸らしているらしい。

まぁ死人がクラスにいたら怖いもん。

 

「その高さを保ちながら貼って」

 

「あいよ」

 

その後ポスターを貼り終わったのを風先輩に報告し作業終了の許可を得た。

 

「お疲れ様」

 

私は自販機で買ったスポーツ飲料を渡す。

 

「ありがとう、んくっ…あぁ〜めっちゃ美味しい〜」

 

「背伸びして貼ってたからね」

 

「もう少し身長欲しいけど」

 

死人である以上成長は無い。

銀はこの世界にいる限り永遠の小学生。

 

「それは無理でも思い出は作れるよ」

 

「確かに。それが救いだからね」

 

私のスマホからバイブ音が聞こえた。

開くと黒花さんから電話が来ていた。

 

「もしもし」

 

『部活終わったか?』

 

「今終わりました。各自解散って感じです」

 

『それは良かった。今日渡したい物があるから家行っていいか?』

 

「構いませんけど」

 

『あとオレの飯は無くていいからな』

 

「はいはい、分かりましたよ」

 

電話を切り、スポーツ飲料を飲む。

 

「黒花さん来るの?」

 

「うん、渡したい物があるって」

 

「それって…」

 

「もうあれしか無いよね」

 

休暇はこれにて終了。

平和もいいけど私たちが頑張らないと次の平和は来ない。

 

「よし、帰ろっか」

 

決意を胸に家に向かう。

 

 

ご飯を食べ終え食器を洗っているタイミングで黒花さんがやってきた。

 

「おっと、忙しかったか?」

 

「少し待って貰えば大丈夫です」

 

「了解。気長に待つさ」

 

手には銀色のアタッシュケース。

やっぱりそうだよね。

一段落つき黒花さんと向かい合うように座る。

アタッシュケースを開けると2つの端末が収められていた。

 

「いきなりで申し訳ないが仕事だ」

 

「そうでしょうね。内容は?」

 

「小型の掃討。前回の戦いで大量に入ってきていたが多くは三好の満開や超大型の材料になって消えた。だがこの壁内に残党がいることが調査で分かった」

 

正規の勇者に頼まないのは修復が追いつかないからかな。

私としてもあそこまで身を削って得た日常なのに戦場に連れていくのは心苦しい。

 

「1週間後、残存勢力を叩くために攻撃を開始する」

 

「敵の規模は」

 

「そこまで多くはないが油断するなよ」

 

あのマシュマロみたいなやつは1個体なら問題ないけど複数で来られると厄介そう。

囲まれないよう警戒して動かないと。

 

「あと樹海化はしないから被害が直接発生する」

 

「つまり短期決戦ですか」

 

「その通り」

 

場所にもよるけど街に近いならなおさら大切。

 

「そういえば私の直したんですね」

 

「当たり前だろ。しかも強化してな」

 

ドヤ顔で言ってるし。

よっぽど自信あるんだろな。

 

「武装とか変わってます?」

 

「基本的に変えてないがやや複雑になったんでな。明日テストするぞ」

 

「そこは私も賛成です。ぶっつけ本番は怖いので」

 

変わってるならちゃんと手に取って慣れとかないとね。

 

「あのアタシのは?」

 

「防御面以外は弄ってない。使い慣れた武器に手をつけるなんてバカはしないさ。銀も当然来いよ」

 

「分かりました」

 

黒花さんは端末の移行だけ済ませ帰っていった。

雑魚とはいえ気は抜けない。

1つの行動が命取りになる戦場だから何が起こるか分からない。

新武装も気になるけど明日に向け身体を休めよう。

 

翌日。

学校が休みだから午前中に行動した。

黒花さんに指定された場所へ向かう。

そこは前に銀の遠隔盾を動かした場所。

 

「よっ」

 

中に入るとタブレットを持った黒花さんが立っていた。

 

「早速始めるぞ」

 

私たちはアプリを開き変身した。

お互いの勇者服に大きな変化は無いけど、何か違和感がある。

まるで誰かが自分の内側にいるような。

 

「違和感あるか?」

 

「少し…」

 

「その勇者服はバリアを増幅させるシステムがある。つまり、精霊である銀との繋がりが強く反映されるからその影響だろ。なぁにすぐ慣れる」

 

慣れるって雑なんだよなぁ…

とりあえずその場で跳ねたり身体を回転させてみる。

軽くだけど動く時には気にならなさそう。

 

「システムに不調は見られない。今度は武器を出してくれ」

 

タブレットで確認しながら次の指示を出す。

武器のイメージを浮かべながら手元に力を込める。

手に光の粒子が集まり剣が現れた。

ただ今までのとはデザインが違った。

剣先がすこし割れ、今まで使ってたのよりも太くなっていた。

 

「これが新武装…」

 

「少し重いと感じるが誤差程度には仕上げてある。それよりも根元を支えて持ち手下げてみろ」

 

言われた通りにすると持ち手が斜めになり引き金が出てきた。

 

「これがアサルトモードだ。前のは盾に仕込んでたが剣だけで完結するようにした」

 

正直これが欲しかった。

前回のは撃って砲身がダメになったから近距離戦を強いられていたからね。

 

「弾の威力って変えれます?」

 

「もちろん。前のより威力下がる分何度撃っても壊れん」

 

「パーフェクトです、黒花さん」

 

「感謝の極み」

 

これで手数が増え行動の幅が広がる。

 

「盾も出してみろ」

 

左手に盾を展開した。

こちらも色合いが変わっていないけど前より切り込みが多い気が。

 

「前回同様サブウエポンとしての役割を持っている。それよりも盾がバラバラになるイメージを頭に作ってくれ」

 

目を瞑りバラバラに砕けるイメージを描く。

その時、盾が割れ複数の破片が私の周りを飛んでいる。

 

「これは…銀が使ってた!」

 

「そう、遠隔用盾の発展版だ。こいつらはビットと名付けた。防御もできるが突撃型と狙撃型がある。上手く使い分けろ」

 

ビットは8つあり半分ずつ装備されている。

 

「こんなのいつの間に…」

 

「ベースは銀の使用データだ。それを元にお前に合ったシステムに書き換えた」

 

この人に出来ないこと無いんじゃない?

ただ8つもあると頭の処理が大変。

ジンジンと頭が痛い。

 

「銀はどうだ?今回の戦闘データから頑張ってスペック上げたんだが合ってるか?」

 

「全然大丈夫ですよ!斧も変わらないですし動きやすくなってます!」

 

演武を披露するようにグルグルと双斧を振るう。

重そうなのによく動かせるよね。

 

「それは良かった。ここは人目につきにくいから派手にやらなきゃ練習で使え。特に美穂はな」

 

「分かりました。提供ありがとうございます」

 

「使いこなしてくれれば満足だ」

 

その後2人で武器や立ち回りを細かく確認し違和感があればすぐに報告した。

本番で不具合発生して生死に関わったら洒落にならないからね。

 

確認作業は夕方まで続いた。

 

「さすがにここまでだな。美穂コツつかめたか?」

 

「はい、今は4つが限界です」

 

切り離したビットをくるくると動かす。

ちょっとした大道芸みたい。

 

「ふむ、様子見て増やしてけ。全部操れれば大幅な戦力アップに繋がるからな」

 

「頑張ります」

 

「銀は大丈夫そうだな。美穂が完全に操れるまでのサポートは頼んだ」

 

「任せてください!」

 

黒花さんに送ってもらい帰宅した。

 

「疲れた~」

 

ソファへダイブする。

疲労感が一気に広がり鉛をのせられたように重くなる。

 

「あれなんだかんだで頭使うからね」

 

「空間認識がマジで難しい。欲しいと思ってたけどこりゃ大変だ…」

 

でも楽しさがあった。

自分の成長が分かりやすいからね。

 

「先に風呂入る?」

 

「是非とも」

 

しばらく通う必要があるねこりゃ。




やってきました2章!
腕の見せ所って思いますけど見せれるか不安です…

今回高木の武装をインフレさせました。
剣はトランスフォーマー・ロストエイジで主人公が後半使っていた銃のイメージです。
めっちゃ伝わりにくいイメージですが変形機構は仮面ライダービルドのフルボトルバスターなのでそちらでも支障は無いと思います。
(DVDのパッケージに映っているのでお手数ですが調べてみてください…剣に見えてあれ銃なんですよ…)
盾はガンダムエアリアルのエスカッシャンです。
初見で惚れ落ちたので入れました。
自分の癖駄々洩れですけど許してください…

次回あの人たちが遂に来ます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。