作戦当日、私たちは山の中を車で移動していた。
残党の発見場所が山奥だったから近くまでは車で行き、そこから変身し攻撃をしかける。
「一帯は封鎖したから人はいないが気を付けて戦えよ。何があるか分からんしな」
黒花さんが運転しながら注意を促す。
ポイントに到着し車から降りる。
「終わったら連絡してくれ。合流ポイントで落ち合おう」
「了解。これより作戦を開始します」
変身し目的地へ端末のマップ機能を使いながら山の中を飛ぶように進む。
「そろそろ着くから気を付けて」
インカムで銀に話しかける。
『分かった』
すぐに返答が返ってきた。
ちゃんと聞こえていて良かった。
しばらく進みやっと目的地に到着した。
見ると山頂がやや開けていて小型がうようよ動いている。
しばらくマシュマロは食べれなさそう。
「練習の成果を見せる時。ビット展開!」
斜め方向にジャンプし星屑の上を取り、盾から突撃型を分離させ先制攻撃をする。
貫かれた小型は一撃で光の粉となった。
「次!」
私に気付き体当たりを仕掛けてくる。
突撃型で倒しながら地面に着地し、狙撃用で侵攻速度を抑えながらアサルトでちまちま削ってく。
あれ私1人で倒し切っている?
そう思っていたら後ろから捌ききれない小型が複数きた。
まぁそう上手くいかないよねぇ…
「美穂に手を出すなぁぁぁぁ!!」
銀が小型を斧で真っ二つにした。
私が遠距離攻撃でヘイトをかいながら近寄ってきたのを銀が倒す戦法。
不意打ちにも対応できるから安心して攻撃に集中できる。
「こちとら経験値が違うんだよ!」
「雑魚は引っ込んでろ!」
このまま前線を維持したまま戦闘を終えた。
夢中になってたからかは分からないけどあっという間に感じた。
「残党はいない?」
「うん、もういなさそうだよ」
「よし!お掃除終了!」
銀と勝利のハイタッチをした。
そういえばバーテックス相手に共闘したのってこれが初めてだ。
「作戦終了。帰投します」
『了解。合流ポイントで待つ』
黒花さんに報告し下山した。
いつも樹海で戦ってたから周囲気にせず戦えたけど今回は配慮する方に意識持ってかれて変に疲れた気がする。
後日、黒花さんが家にやってきた。
「報奨金だ。受け取れ」
「え、ええええ!!」
渡された通帳を見て目を丸くしてしまった。
学生が貰っていい額では無かった。
公務員が泣くレベルと言えばいいのかな。
しかも銀も同額。
「これどういう意味ですか!?」
「短期間で殲滅し、被害をほぼゼロで済ました。そのボーナス込みの額だ」
「まるで傭兵ですね…」
「戦力がお前らだけだし負担も大きい。オレたちに出来るのはこのくらいさ」
大赦のシステムはまだ修理が済んでないっぽい。
あのバーテックス軍団を2人で対処するのは現状不可能。
「とりあえず仕事は終わりだ。発見次第依頼させてもらう」
「分かりました」
端末は回収されると思ったら何もせず帰っていった。
きっと濫用しないと信じてるからと思う。
私的利用はあるかも…
――――――
アタシは自転車で買い出しに行っている。
まさか米が無いなんて思わなかった…
ここ最近作戦を中心に動いていたから美穂も気付かなかったんだろな。
とりあえず今日炊く分を求めコンビニへ向かっていた。
そこに行くまでにトラブルに合っちゃうのがアタシなんだけど…
何とかたどり着きパックの米を買う。
外は徐々に暗くなっていて冷たい風が吹いた。
「寒っ…!早く帰ろ…」
急いで出てきたから上着1枚羽織った状態だから風吹くだけで体が震える。
ヘッドライトをつけ帰ろうとした時、視界の端が急に気になった。
見てみると水色の鳥がコンビニのフェンスに止まっていた。
綺麗と思ったけどそもそもこんな鳥初めて見る。
何処からか逃げ出したのかな?
「おーい、そんなとこに止まってどうした〜?」
街で動物を見かけたら話かけるのがアタシの鉄則。
でも鳥は少し首を傾げただけ。
うーん、ダメかぁ…
頭を搔きながら考える。
野生にしては手入れされているからペットなのは確定。
足を見てもタグらしき物はないから逃げ出した場所が分からない。
「困ったな…」
悩んでいたその時、強風が吹き思わず身を縮こませる。
『―――皆を頼む』
風の音の中に人の声がハッキリ聞こえた。
吹き止んだ後、周りを見ても人どころか気配すらない。
しかも水色の鳥もいなくなっていた。
不思議な体験だったけど今は帰らないと美穂に心配かけちゃう。
アタシは自転車に乗りペダルを強く漕いだ。
―――――
私は黙々と餃子を作っていた。
作戦で簡単に出来る料理しか出さなかったから凝った物を食べたいと思ってた。
それなのにお米が底を尽きていた。
なんという失態…
銀が買い出しに行っている間、餡を皮の中に入れて待っていた。
熱々を提供したいから焼くのは帰ってきてからにしよう。
外では風が音をたてて吹いていた。
もう冬か…ホント季節が流れるのはあっという間だね。
「ふぅ、こんな所かな」
2人分だし多くなくていいでしょ。
にしても遅いなぁ…
トラブルに巻き込まれているとは言っても限度がある。
机に置いた端末を手にし電話を掛けようとした時、胸が熱く感じた。
まるでカイロを直接張ったような…
「熱っ!!」
段々温度が上がってきたから思わず端末を落とし発生源を掴み投げ捨てた。
正体は形見のペンダント。
「え?」
この4年、肌身離さずつけて来たけど勝手に熱くなる経験は1度も無い。
恐る恐る触ろうと手を伸ばそうとした時、今度は端末が光り出した。
変身の時とは違う眩い光。
咄嗟に目を瞑り腕で覆い隠す。
少し経ち、腕を降ろしながら薄目を開ける。
端末からの光は止んでいた。
その代わり、テレビの前に3人の見知らぬ少女が座っていた。
あ、これデジャブだ。
「ハハハ…マジかよ…」
乾いた笑いが口から洩れていた。
「おいおいおい!ここどこだよ!」
「どこかの部屋、みたいわね…」
「あの、大丈夫ですか…?」
記憶喪失3人はキツイよ…
「夢なら覚めてってばぁ〜!」
今日は寝れそうに無いね…
字数少ないですけどこの終わり方をしたかったので。
キャラブレ激しくなりますが頑張って維持して行きたいと思います。