学校まで片道徒歩15分とそこそこの距離がある。
だから早めに出るに越したことない。
早く着いても問題はないし。
何事もなく学校へ到着。
教室は2ーB。
3クラス制の真ん中で他の教室の声がよく聞こえる。
成績は平均ちょい上くらいだから慢心でそっちに気を取られてしまう。
その結果先生からの名指しカウンターが来やすいのは辛い。
続々と登校してくるクラスメイトと何気ない会話をし授業に挑む。
私としてはクラスでは目立ちたくないが髪色のせいで物理的に目立ってしまう。
染めたいが校則的にアウト。仕方なくこの環境を受け入れている。
午前の授業が終わり昼休みになった。
購買へ行きパンとパックのコーヒー牛乳を買う。
弁当は作ることができるが朝の状況を見れば時間が無い。
食生活を壊さないよう気を使うが好きなものを食べて行くのだから妥協も必要。
教室に戻りパパっと食べ終わらせる。
残った時間は昼寝に使う。
食べたあとは必ず眠くなるから先に寝ておいて頭をスッキリさせ挑むのが私流。
友達に起こされることもあるが最悪目を瞑るだけでもいい。
今回は誰も話しかけられなかったから予鈴で起きた。
目が冴え集中力も戻った。コンディションはバッチリ。
その勢いで午後も乗り越え下校時間。
「うーん…?」
頭を抱えて数学をやっているのは降谷燐。
短めに切られたオレンジの髪に水色のリボン。
背は低めだけど本人は気にしていない。
止まることを知らないアウトドア派。
燐から授業の分からない所があると相談を受けたので説明をしている。
「そこで代入すると?」
「あー!そうゆうことか!」
ペンがなめらかに動き答えを出す。
「その通り〜。燐はひらめけば出来るんだから」
「うぅ…面目ない…」
「2人ともお疲れ様。はい、チョコレート」
差し入れを持ってきてくれたのは西園寺蛍。
濃紺に近い長い髪をツインテールで結んでいる。
向日葵の髪留めは、誕生日に燐からもらった物らしい。
私の知る限り大和撫子と言えるのは蛍とあと1人しかいないと思っているくらい、気品がいい。
まぁ片方は欠陥持ちだけど…
あと、何がとは言わないけど2人共デカい。
「そういえば、今日買い物行くんでしょ?」
「うん!最新のトレッキングシューズが発売するからね!」
「燐ったら前から買うって決めてたもんね」
彼女たちは私の数少ない本音で言える
趣味を合わす所もあるけど気持ち的には楽。
「そろそろ行かないと無くなるし遅くなるかもよ?蛍の家遠いんだし」
「そうだよね。一緒に来る?」
「お誘いどうも。でも2人で楽しんできてね。」
元々2人でいく予定だったのに私が割り込んじゃ気まずいからね。
「燐の勉強見てもらってありがとう。今度みんなで勉強会でも開いてみよっか」
ヒラヒラと手を振り2人を見送った。
少しして片付けをし教室を出た時、
「美穂ちゃんー!」
聞き慣れた声に反応する。
隣の教室から赤髪の女子が車椅子を押しながら近づいてきた。
「相変わらず元気だね友奈。東郷さんもだいぶ馴染んだ感じかな?」
「はい。美穂さんも元気そうで良かったです」
黒髪の女子…東郷が笑顔で答えてくれた。
友奈と東郷は1年の頃同じクラスだった。
さらに席も近かった上、友奈のコミュ力に根負けした感じだ。
だって初日に凸ってくるのは分かるけどあの笑顔されたら堕ちるでしょ…
まぁそのファン1号がそこにいるんだけど。
クラスが別れても会ったら話をする程度の関係はある。
「今日も部活?」
「そうだよ!今から行くの。あっ!美穂ちゃんも入ろ!」
そして何度聞かれたか分からない勧誘。
私は帰宅部としての活動をしている。
そんな時に誘われたのが「勇者部」。
簡単に砕いて説明すれば広く深く活動するボランティア。
成果も申し分ないというか労働基準ギリギリなのかと疑うレベルで動いてる。
たまに心配になって友奈に聞いた事があった。
『全然!寧ろ楽しいよ!』
と純粋な目で言ったので気にしなくなった。
「そうだね…今は勉強忙しいからそれが…」
「でも美穂さん成績は問題ないのでは?」
東郷さん…なんで知ってる…
リークしたバカがいるのかそれとも…
「ホント?!なら入ろうよ!」
これはマズイ…
蟻地獄に入った蟻の気分になってる。
やむを得まい…奥の手を使うだけだ!
「とりあえず考えとくー!」
2人に背を向け猛ダッシュ。
逃げるが勝ちよ!
背中で感じる目線がきついが気にしたら負け。
階段を降りた辺りで走るのをやめ学校を出た。
明日会ったら更に圧が増してそう。
今日は家に直接帰らず近くの公園へ。
ベンチに座り自販機で買ったコーヒーを飲む。
目の前には遊具で遊ぶ子供が楽しそうにしていた。
早めに終わらせたいけどあの人は気分屋だから…
「ほう、ブラックか…大人になったつもりか?」
少し高めの声が後ろから聞こえた。
「ええ。そんな気分でしたので。それにしても今日は早いですね黒花さん」
「まぁな。本番前だし早めに来ただけさ」
どかりと横に座ったのは黒花千早さん。
私とほぼ同じ背丈なのに20代後半なのは驚き。
しかも名前に黒がついているのに髪は白で赤い目。
服装は黒一式で今日はロングコートを着て中はスーツだった。
そして何より特徴なのが顔の左半分が茶色くなっている。
本人曰く仕事の途中事故に巻き込まれ大火傷を負っただとか。
そのせいで夏場でも長袖を着ていて今もフードを深く被って隠している。
火傷の跡が無ければ美人だったと今でも思う。
喋らなきゃの話だけど。
「そうですね。私は大丈夫ですけどそちらの方は?」
「システム上は問題無しだとさ。まぁ本番どう転ぶか分からないが」
黒花さんは空を見上げながら言った。
「近々来るんですね?」
「神託によるとな」
「信用できるんですかね」
私はそう言いコーヒーを飲んだ。
黒花さんの職場は大赦という言わばこの四国の全てを牛耳るオカルト集団。
世界がウイルスで滅んだ時に守った神樹様を管理するとか。
まぁ本業は情報操作なんだけどね。
そこで技術スタッフとして働いており私のもお世話になっている。
「神のみぞ知る…ってな」
「…カッコつけですか?なら滑ってますよ」
「ええぇ…ツッコミが冷たい…」
ガクリと肩を落とし残念そうな顔をしていた。
黒花さんとは3年前から知り合った。
今では敬語を使うけど基本友達感覚。
「ではこれは貰っていきますね」
私はコーヒーを一気飲みしアタッシュケースを開けた。
そこには1台の白いスマホがあった。
「はいはい、データ移行忘れずに。あと使い終わったのはまだ保管しとけよ。適当なタイミングで回収するから」
ヒラヒラと手を振りながら素っ気なく言った。
「分かりました。ではまた」
ベンチから立ち私は帰宅の時についた。
帰ったら洗濯物取り込まないと…
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「やれやれ…相変わらず素っ気ないんだから」
オレは彼女の後ろ姿を見ながら呟いた。
この世界で生きる術と力を与え、あちら側を見せた。
正に悪魔みたいなもんだ。
オレ自身悪気は微塵も思ってないが。
「さてと…」
空のアタッシュケースを持ち立ち上がる。
そのタイミングで夕方の帰宅を促す放送が流れる。
公園で遊んでいた子供たちは別れの言葉を述べ帰る。
間もなく舞台の幕が上がる。
その先にある結末は誰にも分からない。
だからこそ言える。
「マリオネットだって時には裏切りたくなるんだぜ?」
オレはオレンジ色に焼ける宙に不敵な笑みを浮かべながら向かって言った。
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自己紹介
名前︰黒花 千早(くろばな ちはや)
年齢︰20代後半(自己申告)
身長︰157cm?
誕生日︰(本人未記入)
オリキャラを4人出すというチャレンジ。
それぞれ役割はあるので御安心を。
補足ですけど黒花は中性のイメージでいます。
次から本格的にメインルートに介入します。
さて、年内最後の投稿です。
別ゲーですがFGOも山場を迎え、いよいよ最終戦へ!という感じ。
私自身も、再びこの場に帰ってこれて良かったです。
好きなように描く。それが大切なので。
では、また来年!
Ciao!