私は3人を連れ部室に向かっていた。
銀と同じく転入するのもありだけど周囲に違和感もたれそうだからやめた。
園子の時でさえあの注目度だったしね。
今回は勇者部の見学に他校から来たとして入校許可を得た。
制服が同じデザインだからこそ出来たんだけど。
「今の勇者ってどんな子達なんでしょう」
「完成型を倒したのが本当ならかなりの強者よ。きっと乃木さんのような…」
「マジか!ますます負けてられないな!」
あぁ、このイメージが壊れる瞬間が楽しみ。
自然と口角が上がるのがよく分かる。
銀を先に行かせ事情を説明してもらった。
多分誕生日パーティーみたいになってるだろな。
「ここが部室、じゃ行くよ」
ノックをしドアを開ける。
『ようこそ勇者部へ!!!』
「「「???」」」
思っていたイメージが一瞬で壊され、3人の目が点になっている。
その顔が見たかったぁ~!
思わず吹き出してしまった位いいリアクション。
「って!高嶋さん!!」」
郡さんが走りながら友奈に近づいていった。
「ふぇ!?」
「友奈じゃないか!」
「友奈さんも来てたんですね!」
2人も遅れて近づく。
黒花さんに始めて会った時のような顔。
ちょっと思ってた反応とは違う。
それに結城じゃなくて高嶋?
「違う…確かに似ているけど別人よ」
「分かるんですか…」
「じゃあ、あの若葉に似ているのも別人か?」
土井さんが園子を指さした。
「はーい。乃木園子です~」
「本物だ!!」
「あの乃木さんが結婚!?ありえないでしょ…!」
「ひなたさんがよく許可降ろしましたね…」
なんか同窓会みたいになってる…
やっぱ乃木って名は伊達じゃない。
300年も続くなんてね。
てかご先祖様軽く馬鹿にされてない?
まぁ同期だからいいのかな。
風先輩から部活の紹介を受けていた。
説明そのものは何度もやってるからすぐに理解できる内容に仕上がってる。
「勇者がゴミ拾いなんて考えられないわね」
「在り方が違うと美穂さんから聞きましたけどここまでとは思いませんでした」
「でも訓練しないんだろ?最高じゃん!気に入った!」
どっかの誰かだけしているけど、どんな状況でも何とかしちゃうのが勇者部クオリティ。
「そっちの時代はどうだったの?」
「ニュースに取り上げられていました。特に戦闘後は大々的に」
「ヒーローみたいだね」
「それ恥ずかしくなかったの?」
「いつからか気にしなくなったわ。けど、顔出しパネルの設置だけは全力で止めたけど」
「公開処刑じゃない…」
西暦ってある意味怖いね。
まぁ世界が壊れていくの恐怖を取り除くためにやったんだろうな。
大人のやる事はどこまでも汚いけど。
「モグモグ…うっまーーい!この牡丹餅美味しいぞ!杏も食べてみろ!」
「今説明してるから後でね」
「むぅ、なら杏のも食べてやる~」
「慌てなくてもおかわりありますよ」
「喉詰まらないようにしてください…」
東郷の牡丹餅の美味さは時さえ超えるのか。
でも上手く交流も出来てるし大成功かな。
私はその光景をジッと見ていた。
「ねぇ、たかみー」
園子が横に立って話しかけてきた。
「どうしたの?」
「こういうの見るの好き?」
「そうだね、こう…尊いって言うのかな?」
私が空間に入るのもいいけど外から眺めるのが好き。
守る実感が湧くしね。
「ほほぉ、お主見込みがあるのぉ…」
「変なの食べた?」
「そんな事ないってー。単に創作意欲が湧くの〜」
「創作意欲かぁ…小説書いてるの?」
「そうだよ〜。読んでみる?」
「ぜひ」
なんか園子と似てるとこあるな私…
「なぁなぁ、アウトドアショップってどこにあるんだ?」
土井さんがみんなに聞いてきた。
「いや、さすがに分からないわよ。誰か知ってる人いる?」
反応無し。
そもそも女子中学生がアウトドアやってるのが少ない。
「しょぼーん…」
期待に答えられなく残念そう。
まぁ私の周りでもやってる人は…
「あ…」
「美穂?」
居るじゃん、アウトドアやってる女子中学生。
「土井さん…」
私は土井さんの肩をガッチリ掴んだ。
「おお?」
「デートに行こう」
「は、はぁぁぁぁぁ!!!???」
土井さん含め全員が発狂した。
後日。
私と土井さんは最寄りの駅で待ち合わせしていた。
「全く…あの時は驚いたぞ」
「ごめんって。自分でもアホ言ったと思ったよ」
土井さんの赤面晒したのはアホなことしたなと思った。
その後、伊予島さんから何故か褒められたけど。
「ごめん〜!待たせた?」
改札から1人の少女がこちらに駆け寄ってきた。
「そんなことないよ」
「気合入って支度に時間かかっちゃった。初めまして、私は降谷燐」
「土井珠子だ!タマって呼んでくれ!」
「よろしくねタマちゃん!」
「なんか猫っぽくなった!」
似合ってるじゃんと言いかけた。
言うと怒られるからね。
「んじゃ、早速いこっか」
今日は燐が案内役を務める。
アウトドア好きがいるからおすすめの店案内して欲しいとメールで聞いたら二つ返事で引き受けてくれた。
もう最高だよ燐。
私は2人が没頭しすぎないのを止めるために同行した。
「ここだよ!入りにくいけどいい品があるからね」
ショーウィンドウには男性向けの服やキャンプ道具が飾られている。
確かに女の子には敷居が高そうに見える。
「もう冬の商品出すんだね」
「ワンシーズン先の商品がこの時期に出るからな。情報仕入れとかないと人気の物は即完売する事もあったぞ」
「分かるよ~。たまに朝から並んで買う事あるもん」
何処も流行は先取しとくのがいいらしい。
欲しい時に限って無いからやめて欲しいけど。
「タマちゃんって男の人向けでも大丈夫な方?」
「使い勝手が良かったらそれでいいな」
「なら…これは?」
2人が談笑しているのを商品を眺めながら少し遠目から見ていた。
こっそり無音カメラで撮影し、伊予島さんと蛍に送った。
『最高の瞬間ありがとうございます』
『楽しそうに話しててよかったです』
この2人も似てるな。
よし、合間見て会わしてみよう。
お互い嫉妬しなきゃいいけど…
その店になんと1時間もいた。
お店自体大きいかったけど趣味が合うとここまでなるとは思わなかった。
「とっても楽しかった!次のお店行く?」
「もちろん!早く行くぞー!」
本人たちは元気そうに走り出した。
まぁ私もついて行きますけど。
複数のお店を梯子し2人はご満悦だった。
気付けば夕方になっていた。
お昼を挟んだとはいえあっという間に感じる。
「ううぅ…喉痛い…」
「タマもだぞ…そんな大声出していないのに…」
「うるさい時もあったよ」
「ホント?反省しなきゃ…」
「でも楽しかったから良し!」
それが1番。
こっちの世界に無理やり来させられて精神的負担もあったろうしね。
少しでも馴染んでくれたなら嬉しいな。
「今度はみんなでキャンプ行こうね」
「いいなそれ!絶対やるぞー!」
「なら予定空けとかないとね」
こうしてアウトドア組の初ショッピングデートは終わった。
______________________
夜、布団の中でこれまでの経緯を思い出してみる。
最初デートしようと言われた時は心臓が張り裂けそうだった。
しかも顔近づけてだったから余計恥ずかしい。
というか言い終わってから後悔するなし!
あんずにも顔見られたし散々だった。
でも、今日の事を思うとそんなのがどうでもいいと思えた。
そのくらい楽しかった。
買い物の途中で美穂の目を盗んで燐に聞いた事があった。
『どうしてキャンプ好きなんだ?』
『両親によく連れられていたからかな。手品みたいに火起こしたり自然の事教えてくれた姿に憧れたの。でも…』
燐の顔から笑顔が消えた。
『仲、悪くなっちゃってね。今離婚調停中でお母さんの所に住んでるの。あの楽しかった時間は二度と返って来ない。でも忘れたくないんだ』
手のひらを見つめグッと握る。
『私が覚えている限り、その思い出は消えないから』
言い終わりニコリと笑った。
無理やりでは無く純粋な笑み。
『それに私にとって大切な時間でもあるからね』
『大切な時間?』
『うん。趣味に全力になれるって凄い事だからね。それが周りから変だって言われても関係ない。私は私なんだから』
タマはいつも喧嘩しててガサツって言われてきた。
女の子らしさの欠片も無かったけど杏と出会って変われた。
その後、勇者になって周りの目なんて気にしなくなったけどな。
燐は好きになった経緯は違うけど他人との差を理解した上で貫いている。
自分らしさ、か。
杏以外に趣味が合う人と話すのも初めてだけど背中押された感じがする。
不思議な感覚だなぁ…
ゆゆゆいっぽい導入ですけど似た感じだからよし!(何を根拠に)
今回は珠子ルートでした。
自分はバリバリのインドアなのでさっぱり分からない!
そこは想像にお任せします。(他力本願)