生者に夢を、死者に花束を   作:薫製

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脆い日常

学校に行くのが楽しくなってきている。

勇者部の皆もそうだしご先祖様の同期にも会える。

けど一番の要因はミノさんだ。

あの時の姿で私の日常の1つになっている。

それが精霊だとしても一緒にいれるのが何より嬉しい。

 

「そろそろ登校の時間です。ご準備は出来てますか?」

 

「ばっちりよ~」

 

お手伝いさんに言われ鞄を持つ。

今日はどんな事が起こるんだろうなぁ。

玄関に向かおうとした時ドアからノックが聞こえた。

ここはマンションで入る時、エントランスで顔を見れるセキュリティがある。

例え業者だとしてもここまで知られず来るのは不可能。

 

「園子様」

 

私の前にお手伝いさんが立ちふさがる。

ノックが収まったと思ったら鍵穴を弄る音がする。

お手伝いさんも武術経験者だから大丈夫なはず。

こんな時勇者になれたら良かったのに…

そしてロックが解除されドアが開いていった。

 

――――――

 

「園子が無断休み?」

 

風先輩に友奈、東郷、夏凛が相談していた。

 

「はい。先生も休みの理由を把握していないそうでした」

 

「授業中は寝てるけど学校はいつも来てたのにな」

 

「病気で寝込んでいるとか…」

 

「いや、家に手伝いの人が来ると言ってたからここまで連絡ないのはおかしい」

 

黒花さんが電話をかけてみる。

 

「…ダメだ。繋がらん」

 

勇者端末なら場所が分かるのに。

しかしここまで繋がらないのは変だ。

 

「全員で行きませんか?顔を覗くだけでもいいですし」

 

皆頷き、部活を中止し園子の家に向かった。

 

マンションにつきエントランスのインターホンを押すも無反応。

仕方なく黒花さんが管理人に身分を明かし特例で入らしてくれた。

 

「ここだね」

 

カードキーをかざしドアを開ける。

清潔感のある玄関があった。

マンションなのに玄関広すぎるでしょ。

 

「園子ー。来たぞー」

 

銀が声を掛けるもいやなほど静かで人の気配が無い。

 

「美穂、ついてこい」

 

「…分かりました」

 

皆を玄関に残し黒花さんを先頭にあがる。

普通の平屋くらいの大きさがあるから迷いそう。

リビングの扉を開けた瞬間、全てを悟った。

女性が1人頭から血を流し椅子に縛られていた。

黒花さんが女性の首元に手を当て脈を確認する。

 

「大至急警察を呼べ。オレは止血作業を行う」

 

「分かりました」

 

電話をかけようとした時、友奈がリビングに入ってきてしまった。

 

「え…」

 

「友奈!?」

 

私は友奈をリビングから押し出し、急いで扉を閉める。

 

「なんで来たの!?」

 

「ねぇ、今の園子ちゃんじゃないよね…?そうだよね!?」

 

両肩を思いっきり掴まれた。

その眼からは溢れんばかりの涙。

友奈の後ろから皆が来た。

 

「…違う。園子はいなかった」

 

「何があったのよ!?」

 

「その先ね!通させて!」

 

「待って!」

 

パニック状態になりつつあり怒号が飛び交う。

 

「ここから先は誰も入れさせない!外で待ってて!」

 

「なんでそうなるの!乃木は何処!」

 

「部屋にいたのはお手伝いの人だけしかいなかった…」

 

「何処にもいないのか!」

 

「分からない。ただ現場を残さなくちゃいけないから…」

 

事実ではあるけど5人を抑えるのは限度がある。

これ以上揉めると怪我人が出てしまう。

その時、閉めていた扉が開く。

 

「ちょっ…!」

 

私を押しのけ部屋の中へ入っていく。

 

「これはッ!」

 

「酷い…」

 

唖然としてたり口元を塞いで目線を泳がしていたりと反応は様々。

縛られていた人は解かれ横になっていた。

頭には包帯が巻かれていた。

 

「治療は済ました。死んじゃいないから安心しろ」

 

「いいんですか。証拠品ありそうなのに」

 

「どうせ大赦と警察の殴り合いになるんだ。汚したって構わんさ」

 

迷宮入りするじゃん。

私の時もそうだったけど雑なんだよね。

 

「園子、どこ行ったんだよ…」

 

銀が瓦礫の中から鞄を拾い上げる。

登校前だったのか荷物が入っていた。

 

「とりあえず出よう。ここに居ても時間の――――――」

 

突然、私の腹と背中に激痛が走り気付けば横になって倒れていた。

 

「ぐうッ…!」

 

「美穂!!」

 

「全員伏せろ!!狙われるぞ!!」

 

声は聞こえるけど視界がぼやけている。

時とばしにあったように何が起こったのか分からない。

 

「クソッ!何処から見てやがる!」

 

「早く美穂ちゃんを助けないと!」

 

「顔出すな!死にたいのか!」

 

皆潜んでいるのか息の音しか聞こえない。

しばらくし誰かがカーテンを閉めたのか暗くなった。

 

「よし、ひとまずこれでいい。美穂生きてるか?」

 

「バリアが無ければ即死でしたよ…痛てて…」

 

腹を押さえながら立ち上がる。

バリアが展開されたって事は致死レベルの攻撃だった。

当然バーテックスの攻撃では無い。

とすれば…

 

「これか…」

 

近くに転がっていた先端が鋭くとがった弾を見つけた。

 

「狙撃にしてはいい腕だ。お前じゃなければやばかったな」

 

「ここで弾受けスキルだせて良かったです」

 

「本当に大丈夫なの?」

 

「腹が痛いだけで大丈夫。というかバリアの安定性はそっちの方がよく理解してるじゃん」

 

「良かった…!」

 

友奈が勢いよく抱き着いてきた。

痛かったけど迷惑かけたし耐えるしかない。

 

私たちは到着した警察官から軽く事情徴収を取り解散とした。

なお黒花さんは襲撃の対策として夏凛の家に泊まる事になった。

これで襲撃が起こっても誰かしら対応が可能になる。

銀と一緒に帰るも足取りは重い。

私が無事でも園子の安否が分からないから。

完全に誘拐事件で被害を抑えたのに私に対しての殺意は露骨。

一体誰が何のために?

今考えても仕方ない。

でも私たちの仲間を浚ったんだ。

許してたまるか…。絶対に…

ふつふつと黒い感情が私を包む。

 

――――――

 

私は気づいたら椅子に座らされていた。

動こうにも胸を手ごと縛られている。

周りを見たらホテルのレストランのような高級感ある部屋だった。

前には椅子と机があり私の前にも机があった。

 

「おはよう。良く寝れたかな?」

 

私の前に置かれた椅子に男性が座った。

耳にかからないよう綺麗に整えられた茶色い髪、黒ぶちの四角い眼鏡から見える黒い目。

スーツを着込んでいるから大赦関係の人じゃなさそう。

 

「何が目的?」

 

「単刀直入だね…人類の破滅が目的」

 

「随分大げさな目的だね」

 

「滅ぼそうとしてた人間から言われたくないね」

 

壁を壊した事は勇者に関わる人なら知っている。

ならこの人は大赦内の…?

 

「今はここで生活してもらうよ。なに、すぐお友達に会える」

 

後ろから足音が近づいてきた。

見ると銃を持ってて黒いマスクを被っている。

大赦の神官も似たようなのを被ってたけどマークも無いから怖い。

 

「部屋に案内してあげて。手荒な事はしないように」

 

無言で私の腕を持ち立ち上がらせる。

銃で小突きながら誘導する。

入れられた部屋は窓のないシンプルな個室。

トイレも綺麗でシャワーも付いてる。

しかも部屋に着いたら拘束解いてくれた。

私人質だよね?

てっきり汚いとこに放り込まれるかと思った。

私はそのままベットにダイブした。

目的が分からない以上従うしか無いかな。

それにお手伝いさんを傷つけたガタイのいいアイツ…

アイツは入ってきた途端黙って組み伏せ頭を殴って黙らせ、驚いて動けない私の首に注射を打ってきた。

さっきの部屋にはいなかったからどこかに出払ってるんだろう。

それに人類の破滅に私が関係するの?

全然分からない。

今は待つしかないのかぁ…




オリキャラ追加!しかも男!
野郎は要らねぇって思うかもしれませんがたまに辛いのを食べたくなるのと同じですね。(暴論)
黒マスクのイメージはシン・仮面ライダーの下級ショッカー隊みたいな感じですね。

戦闘描写が多くなりますが頑張ります!
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