ご了承ください。
「これ本当なんですか…?」
黒花さんから渡された資料を見て驚く。
「信じれないのか?」
「いや、信じますけど…夢じゃないんですよね…」
「現実だ。これもお前の勝ち取った明日なんだぞ」
勝ち取った明日…
その言葉が胸に響いた。
天の神の激闘の末、世界の崩壊を阻止した。
お役目は終わり勇者システムは例外なく全て停止。
精霊も消え普通の女子中学生になる。
なるんだけど…
私は病室の椅子に座りその光景を焼き付けている。
目の前に寝ているのは4人の少女。
樹海化が解け学校の屋上にスポーンした時に一緒に倒れていた。
ただ意識が無かったので急いで入院させた。
目立った怪我はなく健康そのものだった。
そこで黒花さんが大赦がごたついている隙に検査してみたらなんと成長をしていた。
それが渡された資料、身長はもちろん髪も伸びている事も判明した。
つまり4人は今を生きる人間なんだ。
「早く目を覚ましてよ…」
戦闘から1か月が経っても目を覚まさない。
個室の方がいいと言われたけど目覚めて誰もいないのは寂しいと言って同部屋にして貰った。
私は皆にプレゼントしたお守りを握っていた。
最後まで持っててくれた大切な物。
神がいない世界で神頼みなんて馬鹿らしいけどそれしかできなかった。
「…美穂…?」
名前を呼ばれガバッと顔をあげる。
祈りすぎて幻聴聞こえたと一瞬思ったけど違うと確信していた。
椅子を倒しながら立ち上がり4人の顔を見る。
少しやつれた顔だったけど薄目を開けて私を見ていた。
「ッ!…あぁ…うあぁぁぁ…!」
顔をクシャクシャになるくらいの泣き顔を晒している。
絶対情けないに違いない。
けどそんな些細な事気にならないくらい嬉しかった。
胸を押さえながら泣き続けた。
「ありがとう…!ありがとうッ…!」
何に感謝しているか覚えてないけど勝手に出て来た言葉だった。
落ち着いた後、黒花さんに連絡したら息を切らした状態で病室に入って来た。
皆の様子を見て安心したのか過呼吸になりかけてて逆に焦った。
黒花さんも心配してたんだ。
再度検査をし体力が戻った人から順に退院する予定だった。
杏の入院が長引きそうと聞き珠子が
『全員で一緒に退院しよう!』
と言ったものだからしばらくお世話になった。
裏で黒花さんが病院を言いくるめたと容易に想像が出来る。
そして退院当日。
病院の前で黒花さんと車に寄りかかりながら待ってた。
手続きに時間がかかるとか話してたっけ。
ドアが開くたび、過敏に反応しちゃう。
「落ち着かないな。不安か?」
「そらまぁ…って黒花さんも貧乏ゆすり激しいですよ」
「これが止められないんだな」
「えええ…」
ひょっとして心配性だったり?
そんなまさかね…
ドアが閉まっているのに騒がしい声が聞こえる。
心臓の鼓動が加速し手汗がにじんでくる。
ついにその時が来た。
「お待たせ!」
「手続きに手間取ってしまいました」
「千早!顔スッキリしたな!」
「見覚えのある雰囲気になったわね」
私は駆け寄りダイブするように抱き着いた。
今すぐ皆のぬくもりを感じたかった。
「本当に生きてるんだよね!?」
「そうだぞ!ちゃんとここにいる!」
「約束、ちゃんと守ったから」
「よ”か”った”ぁぁぁーーーー!!!」
「また泣いてるよ…涙腺壊しすぎだって」
「はいはい、美穂離れろって。時間ないんだからさっさと乗れ」
「何処かへ行くんですか?」
「そこは内緒で。あぁ申し訳ないが目隠しつけてくれよ」
涙を拭いながら乗り込む。
今回の企画を立案したのは私だから目隠しはしない。
うっかり漏らさないように気をつけないと。
「つけたな。じゃ行くぞー」
喜んでくれると嬉しいな。
目的地に着き先に私と黒花さんが降りる。
「駐車場だけどここから見えるしネタ晴らすか」
「それがいいですね。目隠しして動く集団とか恥ずかしいので」
「そりゃそうか」
皆の手を取りながらゆっくり降ろす。
「なんかいい匂いしないか?」
「どうしよう。お腹急に減ってきた…」
「人の声も聞こえるけど」
「お祭りですかね?」
「もう取っちゃっていいよー」
4人は目隠しを取ると少し眩しそうに目を細めた。
その内3人は視界に入ったものを見たのか大きく目を見開いた。
「ここって…」
「丸亀城。お前らの故郷さ」
「千早さん、ひょっとして…」
「やりたい事分かったと思うから手伝ってくれる~?この量は1人じゃ運べないからー」
城の敷地内にある亀山公園は四国内でも有名な花見所。
七百本もの桜が美しい花を咲かせている。
「ここら辺でいいか。それじゃシート張るぞー」
城が見える位置に陣取りレジャーシートを協力して張る。
6人が座るからかなり大きい。
荷物を置き三段式の弁当を並べる。
「これ全部美穂が作ったのか!?」
「黒花さんとだよ。私1人じゃこの量は無理だって」
「そういえば黒花さん料理出来るんだった」
「今回は本気で作ったからな。味は期待してくれ」
飲み物だけは自販機で購入し雰囲気作りとして紙コップに各自注いだ。
「じゃ監事。開始の挨拶を」
「まずはお役目お疲れ様。皆無事に帰って来れて良かった。もう言葉はいらない、この瞬間をただ味わおう!乾杯ッ!!」
『かんぱーーーい!!!!!』
年が明けたら天の神騒ぎがあって落ち着いてる時間が無かった。
これで安心して日常を送れる。
「お花見か~。良く思いついたな」
「季節イベントしたいなって考えたんだ。それで黒花さんに相談たらここを勧められてね」
「ここは何処よりも綺麗だからな。それに約束を果たすにはいい機会だ。あの日通りとはいかなかったが…」
黒花さんはどこか寂しそうな顔をしていた。
3人も思い当たるのか下を向いている。
「…っと、しんみりさせちまったな!ほら食え食え!」
流石の私でも無理やりテンションを上げているのが感じ取れた。
料理を手伝った時も表情が固かった気がする。
このイベントに黒花さんなりに思う事があるに違いない。
「覚えていてくれてありがとうございます、先生」
「メンバーが違ってても出来て嬉しいからな!」
「きっと3人も喜んでると思うわ」
「…なんだよ。オレがバカみたいじゃんか」
自傷するような笑いを零しながら髪をかき上げる。
黒花さんは1人で神の時代を駆け抜けた。
そこには多くの別れがあり、いつも置いていかれる側。
けど約束は時を超えても残る思い。
だから忘れられる訳が無いんだ。
私は黒花さんの顔をシャッター音をわざと出して撮った。
「おい。何で撮った」
「いや、そんな顔滅多に見れないんで」
「撮る事は無いだろが」
「これも貴重な思い出です。いっそのこと全員分の成長日記でも作ります?」
「絶対やめろ。やってた奴を前見たがあれは狂気の部類だ」
「え。そんな人いたんですか?」
「いたんだよなぁ…」
「あれは可哀そうに思いました…」
「途中から当たり前に思ってた私たちも重症だったわね…」
これで場の雰囲気も和んだしちょうどいいかな。
「今度は普通に写真撮りましょうよ」
タイマーに変えスマホを自撮り棒にセットする。
園子が家を出る際にプレゼントととしてもらったのがここで活躍するなんてね。
6人も映らす上、城と桜を混ぜるという高難易度。
微調整を繰り返し何とか入れる事に成功した。
「いくよーーーー!」
掛け声を考えようとしたけど腕がプルプル震えてそんな暇なかった。
シャッターが下りすぐに確認する。
そこには満開を迎えた6つの花が咲いていた。
前書きで述べたように訣別の儀の生還イフでした。
救済ストーリーの一番の見所ですからやらないわけ無いって!
余談ですがタイトルは3期ED「地平線の向こうへ」と劇場版仮面ライダードライブ&鎧武のED「sing my song for you 〜サヨナラの向こう側まで〜」を混ぜました。
個人的神曲なので聴いてない人いたらぜひ!
これで本編は正真正銘完結です!
12月から書き始め本格的に動いたのが1月なので4ヶ月くらいですかね…
短いようですが自分はかなり長く感じました。
ここで話すのは一旦おしまい。
次で長めに話そうかなと思ってます。
毎度お馴染みアンケートもありますのでよろしくお願いします!