生者に夢を、死者に花束を   作:薫製

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協力者

白夜を含めた8人で食堂でご飯を食べる。

セルフサービスだから好きなのを取れるのだが皆何故かうどん。

土地柄なのかよく出され、飽きずに食べてる。

どこぞの過激派は『3食うどんでも構わん!いや寧ろしてくれ!』とか言って呆れた。

たまには蕎麦もいいだろうに…

 

「もぐもぐ…ちはや食べないの?」

 

「考えごとをしててな。ちゃんと食べるさ」

 

「新学期前にテストさせるとか鬼畜か?」

 

土井が愚痴を零す。

本来は明日からだがオレの独断で午前授業と称したテストをした。

 

「何事も想定しとかないとダメだろ?身構えていない時に完璧でなくても最善を尽くせればいい」

 

「なら0点でも問題ないな!」

 

「当て勘でやったテストに意味なんてあるか」

 

オレがこのクラスを担当し始めた時は気持ちがバラバラだった。

年齢詐欺をしてるとはいえ、かつては学級委員長を経験した身。

小学生ぐらいなら何とかなると思ってたが一苦労した。

まぁ、こうやってワイワイできるのも高嶋のコミュ力のお陰だが。

 

「午後の鍛錬は自由だ。帰りたきゃ帰っていいからな〜」

 

オレは食べ終わりお盆を持ってグループから抜けた。

白夜も後を追うように着いてきた。

 

「いいのか?もうちょっと話してくれば?」

 

「ううん。ちはやに着いてく」

 

「と言ってもこれから仕事だぜ?終わるまでアイツと遊んでもらえ」

 

「ええー」

 

「文句言うな」

 

オレは携帯を出し電話をかける。

毎度毎度申し訳ないが満更でも無さそうだからいいか。

 

待っている間、仕事部屋で白夜を撫でながらテストの採点をする。

全員中学生ではあるものの学年がバラバラ。

それぞれ進捗が異なるから自習式にして授業を行っている。

テストも3種類作りそれぞれの不得意な分野を抽出し克服させる。

毎回頭を使うからエナドリには大変お世話になっている。

するとドアを2回叩く音がした。

 

「失礼します」

 

「入れ」

 

入ってきたのは少し茶色がかった短めの髪、スラッとした身体。

 

「呼び出して悪いな」

 

「大丈夫ですけど私巫女なの知ってます?」

 

「17にもなって無垢な訳ねぇだろが」

 

「言ってくれますね…」

 

彼女は西園寺友香。

巫女用の学校的な所で勉学と神に好かれる仕事をしている。

出会いは教師として見学しに行った時の案内役だった。

友香の家は関西ではかなりの金持ちの部類で大社の資金援助もしてる。

本人はそのコネで入ったようなもので待遇に不満を持っている。

その影響もあってか大社の方針が嫌らしい。

他にも嫌いだが仕方なく入ってるやつはいたが友香は昔のオレと似てる点が多い。

こうして仲良くしてるのは彼女をこっち側の巫女として利用するためだ。

 

「今日も遊んでやってくれないか?」

 

「もうネタ切れなんですって。白夜何やっても上手いんですから」

 

「ホントか白夜?」

 

「うん。でもゆうかの教え方が上手いから」

 

「だってさ」

 

「もう…」

 

顔を少し赤くして照れてる。

こいつチョロいな。

 

「てなわけでよろしく。アイツにはオレから言っとくわ」

 

「分かりました。バイト代、はずんでくださいよ」

 

「そらもちろん。労働契約だしな」

 

友香は白夜を連れ部屋を出ていってた。

勇者組とは敵だが仲良くなれと指示したが友香は白夜自らコンタクトを取った唯一の存在。

計画をたてる前から仲良くなっているから聞いてみた所『なんか面白い』と一言。

白夜は出世がアレだから人の感性とは異なるんだろな。

いつか人の心読んでくるとか有り得そう…

その日は明日から始まる新学期の準備をした。

 

 

「そろそろ終わるかぁ…」

 

7月末とはいえ夏至は過ぎているから日が落ちるのが早くなっている。

さっさと帰らないと一気に暗くなるのがこの季節の怖いとこ。

友香に電話し帰宅命令を出しといた。

 

『よかったです。ゲームでボロ負けして恥さらしたんで…』

 

「そりゃ残念。家に着いたら支払うわ」

 

『はぁ…』

 

疲労が分かるくらいのため息を落とし切られた。

白夜が外に出る時はオレか友香が付き添う。

主な原因が天空恐怖症候群、通称『天恐』。

白夜たちことバーテックスの襲撃を受けた者の中に精神的ショックから空を見るのが出来なくなる症状がある。

その影響で白夜を見てバーテックスだと患者に指摘され暴れられた事件からフードを深く被りカラコンを付け誰かと歩くことにした。

オレは皮膚の色は変わっていないから同じくカラコンとカツラを被り誤魔化している。

外を歩く時にしてるだけで教師の時は素のままでいる。

まぁ変に隠して後々揉めたら計画が潰れるからな。

オレは荷物をまとめ家に帰った。

家はマンションの一室を借りておりどこにでもあるシンプルな間取り。

鍵を開けると既に2人がいてゆったりしていた。

 

「おかえり〜!」

 

「おかえりなさい先生」

 

「ただいま。友香遅くまで悪いな」

 

本来なら門限があって夜遅くまで外に出るのはNG、というかそもそも外に出れない。

オレが借りだせるのは勇者の教師である事が強いんだろう。

 

「これが駄賃だ。寄り道せずさっさと帰れよ」

 

「言われなくても帰りますよ。またね白夜」

 

「ゆうかまたね〜」

 

手を振りながら部屋を出ていった。

 

「じゃご飯作るわ」

 

「はーい。今日は何ー?」

 

「白身魚のフライだ」

 

「おおーー」

 

白夜は人の身体であるが食べなくても生きていけるが本人は食べたいと駄々をこねられたからいつも2人前作る。

料理スキルが5ぐらいだったのが100に上がったのも白夜のお陰だ。

 

「どうぞ」

 

「いただきまーす。はむっ…もぐもぐ…」

 

「お味の方は?」

 

「…美味しい!骨がないからイガイガしない!」

 

「そら徹底的に骨抜いたからな」

 

「ちはやありがとう!」

 

「どういたしまして」

 

今は美味しいとか感謝の言葉を言ってくれるけど前までは不味い、食感が悪いとか散々の言われよう。

それがオレに火を灯し、人前に出せれるようになった。

残念ながら自称であって友香にすらご馳走してない。

 

「明日から仕事だから家で待ってろよ」

 

「はくやも一緒に受けちゃダメ?」

 

「ダメだ。黙ってでも目立つのにこれ以上関わったら目つけられるぞ」

 

「命令?」

 

「命令だ」

 

「なら従う。本当は嫌だけど」

 

「悪いな。お詫びとして追加のフライだ」

 

「許す。ならタルタルソースちょうだい」

 

飯で釣れるのか?

白夜は気まぐれだから変に餌付けするとへそ曲げちまう。

まぁ、満足そうに食べてくれる姿を見るとホッとするがな。




オリキャラ深堀のお時間です。
西園寺の名前がここに繋がります。
含みとか持たせていたのでなんかしらあると察してた人もいると思いたいです。
ちなみに友香は友奈に発音が似てるので決めました。
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