生者に夢を、死者に花束を   作:薫製

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表の顔、裏の顔

授業の内容はオレに一任されてはいるが必修科目を設けられている。

科目を決めるのは大社で、勇者としての意識を高めるためらしい。

今日は人類とバーテックスの交戦記録映像を垂れ流す。

バーテックスに対抗できるのは勇者の武器だけ。

そんなのは実際経験してるし、映像も何度も見てる。

 

「付き合ってもらって悪いな。こんなん見たって意味ねぇってのに」

 

見終わってクソでかいため息をついて和ませる。

何故人類を襲うのかという点に関してはオレも知らない。

勧誘された理由は人類そのものへの悪意。

となれば神様も人間嫌いだから進撃したのか?

そうだとしたら少し幼稚な気もするが。

 

座学の後、勇者と巫女に分かれ訓練をする。

巫女は滝行や舞の練習とかするらしい。

勇者側はというと体力作りや格闘の練習、精神修行と幅広くやる。

ちゃんとした戦闘は無いから基本が大切になる。

ここからは他の教師が担当となるから外に出て眺めたり、他の仕事をしたりして時間を潰してる。

 

いつも通り皆で集まりご飯を食べる。

周りには教師や大社の関係者がいて、食べているやつもいればこっちを見てるのもいた。

オレは睨みつけ覗き魔の目線を逸らさせた。

大人は苦手だ、自分の欲望を押し付けてくるし変に高望みをしてくる。

ちなみにオレはチャーハン定食にし他は変わらずうどん。

 

「…にしてもさー、毎日毎日訓練ってなんでこんなことしないといけないんだろーな」

 

「バーテックスに対抗できるのは勇者だけですから…」

 

「それは分かってるけど普通の女子中学生なら友達と遊んだりその…恋とかする生活をするじゃん」

 

「今は有事だ。自由が制限されるのは仕方ない」

 

大社はバーテックスとの戦争と定義付けている。

太平洋戦争終結から約70年、争いは絵空事のような時代だった。

そんな状況で人外との戦いなんて出来るわけがない。

頼みの綱があれば縋るのは必然。

 

「我々が努力しなければ、人類はバーテックスに滅ぼされてしまうんだ。私たちが人類の矛となってーー」

 

「分かってるよ!分かってるけどさぁ!」

 

土井が声を荒らげるも、すぐに冷静になり顔を俯けた。

 

「状況が状況だ、多少の不自由は仕方ない。だがいつまでも張り詰めてるといつか壊れちまうからな」

 

この世に生きている以上、死とは隣り合わせ。

明日死ぬかも入れない状況だからこそ、瞬間瞬間必死に生きなきゃならない。

僅かな時間でも楽しい方がいいしな。

 

 

数週間が過ぎたある日。

 

「神託がきた」

 

白夜が帰宅してきたオレに言ってきた。

神様との連絡係みたいなもんだけど基本来ない。

 

「内容は?」

 

「諏訪を落とすのと同時に四国攻めを開始するって」

 

「いよいよか…」

 

敵さんが防衛線を敷くための捨て石みたいなとこらしい。

勇者もいたが1人だしどうにかなると判断したがまさか3年も耐えるとは。

 

「攻撃が始まると結界が張られるの。その時は世界が止まってて普通の人は認識できないって」

 

「ほー。そん時オレはどうなるんだ?」

 

「結界内には入れないけど外の世界は動けるかも」

 

「かも?」

 

「聞いても何となくでしか答えてくれない」

 

計画に関すること以外は雑に済ませるのか。

確かに駒のようなものだけどもう少し気にしてくれてもいいのでは?

 

「アイツらと顔合さないならいいや。日時は?」

 

「近日」

 

「いつも通りアバウトだな。まぁ準備しなくていいし問題ないか」

 

「うん。周りに気を付けてね」

 

オレが動いているのを勇者組に知られないよう行動する必要がある。

授業中だと最悪だが来ないのを祈るか。

 

翌日の放課後。

パソコンでデータを打ち込んでいた時、突如キーボードが反応しなくなった。

時計を見てみると秒針が止まっていた。

試しにペンを落としてみると離した地点で静止している。

 

「始まったか」

 

窓から外を見ても大きな変化はない。

戦闘時間の分だけ止まるなら何かしら出来そうだ。

とはいえ大胆に動く必要も無いし大人しく待つとするか。

時間潰しに本を読んでいたらペンが落ちる音がした。

一教師であるオレの元に戦闘報告は来ない。

そのまま仕事を再開し帰宅した。

夜、ニュースにバーテックスを勇者が撃退したことを大々的に報じた。

街頭インタビューで人々が安堵と歓喜の声をあげていた。

諏訪の情報も流れたがあくまで通信記録だけ。

陥落を知っているのはオレたちと通信をしていた勇者だけ。

 

「手法が70年前と変わらんな」

 

テレビの電源を落としソファーに座る。

白夜も続いて横に座って来た。

 

「意外とやるみたい」

 

「見てたのか?」

 

「同気すれば見える」

 

「便利なこった」

 

「ちはやは成り立ちが違うから無理」

 

「言われなくたって分かってるわ。しかしよく勝てたな…」

 

3年前よりかは仲良くなっているものの連携という点ではやや欠けていると思う。

特に乃木は大社からリーダーと言われているせいか前に出過ぎているイメージがある。

素の強さでごり押したならすぐ壁に当たるな。

 

「なんでちはやは敵を育てるの?」

 

「こっちが強くなれば相手も強くなるだろ?そうやって戦力を間接的に上げてるんだよ。それに、積み上げて来た希望を打ち砕かれるのは最低で最高の気分だしな」

 

白夜に対して不敵な笑みを浮かべた。

神様も雑に死なれるよりかは抵抗してくれた方が面白いだろう。

 

「んーー…合理的じゃない」

 

「あくまで感情の問題だしな」

 

「感情…心…はくやまだ分からない」

 

「成り立ちが違うから難しいよなぁ~」

 

「むぅ、真似された…」

 

頬を膨らませ不機嫌そうになった。

こればっかりはコピーを使ってもどうにもならん。

感情ってのはそれが過ちだとしても優先される時がある。

それが人たらしめる唯一のシステム。

 

「しばらくちょっかいは続くのか?」

 

「そう。データを取得してからが本番」

 

「はいよ」

 

しばらくそっちの仕事は無さそうだ。

てかオレの存在認知されてるのか?




うたのんナレ死!
こればっかりはすまねぇ…
諏訪とか札幌まで手伸ばしたら尺が足りんし行ったところで秒殺待ったナシなんです…

ん?途中平成が出てきた?
さぁ…なんのことやら?
??「お前たちの平成って醜くないか?」
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