生者に夢を、死者に花束を   作:薫製

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時の狭間で少女は答えを得る

2年ぶりの樹海化がやってきた。

美穂には極力干渉せず勇者の行動と性能を偵察しろと指示をしておいた。

明日に報告受けて場合によっては改良加えたりしないといけない。

しかし美穂から受けた報告は想像を遥かに超えるものだった。

なんと添付されていた写真には2年前死んだ三ノ輪銀が写っていた。

 

「は…?」

 

思考がバグったように固まる。

オレは何をみせられているんだ…?

加工だとしても美穂に会わせていないし写真も渡していない。

急いで電話をし確認を取る。

 

『何処って…今部屋でですけど』

 

後頭部をガツンと殴られる感覚に襲われる。

死者蘇生が行われるなんて思わなかった。

とりあえず明日実物を見に行くために美穂の家に行く約束をする。

残業確定かこりゃ…

 

 

 

 

 

 

まぁ、こんなところか。

後は、美穂の視点を見ればいいだろう。

ん?投げやりすぎないかって?

あのなぁ…同じ状況を説明したって意味無いだろうが。

それに銀が呼ばれてから付きっ切りだし。

感想?そりゃ心躍る毎日だったな。

頂点を倒し因果を壊し神を超えた。

舞台に上がらざるを得なかったが悪くない眺めだったな。

一緒に見たかったって、んな無茶苦茶言うなよ。

あそで分離させなきゃ2人共死んでたんだぞ。

 

「そう思わない?()()

 

真っ白な世界に私と白夜は向かい立っていた。

天の神の一撃を遅延させるために白夜の時止めの権限を使い自分の記憶全てを燃やし尽くした。

何もないっていうなら私にはお似合いの世界かも。

 

「また会えて嬉しいよ」

 

「さっきまでの威勢は何処にいったの?」

 

腕を組みながら少し呆れ気味の顔をしている。

少し身なりが変わっていたけど幼い風貌は300年前と変わっていなかった。

 

「白夜の前くらい素で居させてよー」

 

「落ち着くなら…いいよ…?」

 

「やったね。それにしても元気そうでよかった」

 

「はくやを家の守り神として祀ってくれたからね。これもゆうかのお陰だよ」

 

一族の血筋と契約する事で天の神から完全の目から外れた。

友香ってやるときはやるからなぁ…

 

「いじめられたりしなかった?」

 

「ううん、幽霊扱いされてただけ。でもはくやを逃がさないためと言って同じ部屋何個も作らせたのは嫌だった」

 

「マジで?そいつに会って顔面潰したいんだけど」

 

「大丈夫、苦しくて治りにくい病気にかからせたから」

 

「エグいことするね!?」

 

まるでお稲荷さんみたい…

 

「でもほたるは優しいよ。はくやみても驚かないし話しかけてくれた。答えられないのが辛いけど」

 

「仕方ないよ。血を受け継いでいるとは言え年を重ねる度に薄くなっていくからね」

 

「やっぱ不老不死にさせた方が良かったかな…」

 

「私以外にはやらないでね?」

 

白夜が大笑いしているのを見てつられて吹き出してしまった。

こうして冗談を言い合えるなんて思わなかったよ。

嬉しくなり目元が熱くなってくる。

 

「こんなに楽しい事久しぶりだよ」

 

「ちはや?」

 

「私頑張ったよ。屍の山を越え仲間の死を道に変えここまで生きたの。もう許されていいんだよね…?」

 

顔を地面に向け涙を流す。

これは懺悔でもあり責任でもあるんだから。

 

「まだ許さないよ」

 

いつも肯定してくれる白夜の口から否定の言葉が告げられた。

 

「え…なんで…」

 

顔を上げ白夜の顔を見る。

少し口角を上げ微笑むように話す。

 

「人生はスタートとゴールの繰り返し。ちはやはようやく0になれたの。なら次の1へ進まないと」

 

「次の1…」

 

「それにみほを一人にしてあげないでよ。暖かい気持ちがはくやにも伝わる最高の瞬間なんだから」

 

「ふっ…ははっ…その力ズルいって…」

 

突然、白夜の姿が薄れてきた。

 

「ちゃんと気付いてくれたんだね…」

 

「何を言ってるの…?」

 

「これでお別れだよ。バーテックスはこの世から消えないと」

 

「消える…?意味が分からない…」

 

「神樹の力を使ったんだよ。そういえば分かるよね」

 

「まさか…!?なら私と契約して!そうすれば…!」

 

駆け寄ろうとする私に手を前に出し止める。

 

「人の世に神の契約が残れば皆の思いが無駄になる。それはちはやも望んでないでしょ?」

 

「そうだけどっ…!!」

 

白夜の言う事や目的は正しい、正しいけど認めたくない。

今までは西園寺家で生きていると思ってたお陰なのか不安と感じることすらなかった。

 

「もう、はくやに対してはとことん甘いんだから」

 

私の頭を優しく撫でる。

何度もしていた行為をやり返されるなんて。

でも、不安と恐怖で凍り付いた心が温かくなってくる。

 

「顔蕩けてるよ。みほに見せたいくらい」

 

「~~~!!」

 

指摘され顔に火でもついたように熱くなる。

しかも美穂の名前出さなくたっていいのに!

 

「…バカ。これじゃあ余計離れられないよ…」

 

「大丈夫、はくやは何時だってちはやと一緒。ちはやが覚えてる限り死なないよ」

 

覗かれたせいなのか私の言葉パクられてる。

しかも的確についてくるから文句すら出来ない。

 

「ちはや大好き」

 

「私も白夜が大好きだよ」

 

お互い顔を赤らめながらも唇が自然に触れ合う。

世界が消えるその瞬間まで温もりを心に刻みつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訣別の儀から数ヶ月。

オレは西園寺の家を訪れた。

ここに来るのは始めてだったからやけに緊張した。

 

「わざわざ悪いな」

 

バカ広い廊下を抜け、客間で座って待っていた西園寺蛍と2人っきりになった。

 

「いえ、美穂…高木さんからお話は聞いてますから」

 

美穂経由でオレが行くのは事前に伝えてもらっていた。

 

「本題に入ろう。この敷地内に洞窟はあるか?」

 

300年も経ってれば建物であれば無くなってるかもしれないが自然で出来たものは残るだろう。

 

「洞窟ですか…ごめんなさい、私も把握しきれてないんです…」

 

綺麗な正座をしたまま頭を下げられる。

友香じゃ考えられないくらい優等生。

どちらかと言うと美穂に近いなアイツ。

 

「謝る必要は無いさ。無理難題なのは分かってたから」

 

「お役に立てずすみません。ただあの山には小さな祠があるんです」

 

「祠?」

 

「はい。無名の祠なのですがちゃんと祀って置くようにと代々伝えられてきました」

 

無名の祠…実に興味深い名前だな。

 

「それは今もあるのか?」

 

「実は大規模な山崩れが起こって封鎖されてしまったんです…」

 

樹海の浸食は現実へ被害を与える。

しかし、美穂の証言によれば神樹の結界が天の神の世界を塗り替え浄化させた。

ならば現実への被害はゼロになるはず。

これが偶々とは言えない…

 

「それでもオレは行きたい」

 

 

裏手にある山をひたすら登っていく。

ハイキングコースのように木製の階段が整備されているが急な所も多い。

 

「道だけ教えてくれればよかったんだが」

 

西園寺がオレの前を歩いているが息があがっているように見える。

恰好はハイキング用だから体力の問題か。

 

「いえ…私も封鎖されてから一度も行けていないので…」

 

「そうか。無理せずゆっくりでいいからな」

 

休憩を挟みながらも境界線へたどり着いた。

事故現場に張られている黄色い規制線が木に括り付けられ道を塞いでいた。

その先は茶色の土砂で道が寸断され向かうのは困難。

 

「私は学校にいて被害に遭わなかったんですけどここまでとは…」

 

「こりゃ酷いな。祠の場所は見えるか?」

 

「確か…あの辺だったと思います」

 

土砂崩れを起こした山の更に先の尾根付近を指した。

 

「なるほどな…ありがとう、満足だ」

 

自然は常に変化をする。

同じ風景としても僅かな差が生まれる。

それが300年となれば大きく変わるだろう。

だが、神樹によって統制された世界に変化は無かった。

つまり奉火祭を行った瞬間から変わっていない。

なら祠のある場所はきっと…

オレは手を合わせ黙とうをする。

ここに眠る訳ではないがあそこは2人の思い出が詰まっている。

だからこそあの子の墓標にふさわしいと思う。

 

「それじゃ、暗く前に降りようか」

 

階段を踏みしめるように降りる。

その先に茨は無く何処までも続いていた。




いかがだったでしょうか!
西暦、神世紀を駆け抜け明日を繋いだ少女の物語でした。
詰め込んだ感半端ないけど頑張ってまとめました。
ただのチートじゃないと思えたら良かったと思います。

今回もアンケートあるのでよろしくお願いします!

次回から勇者の章のアフターストーリーを連載します。
こっちはネタと鬱と微エロに分かれ混沌を極めていますので気楽に見て貰えたらなと思います。
スグに帰ってきますので少々お待ちを!(矛盾)
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