生者に夢を、死者に花束を   作:薫製

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6人目との決闘

入部をして1か月。

部活と私生活に慣れ青春?を謳歌中。

部活では依頼元との交渉を風先輩と行っている。

どうやら困っていたら即請け負うらしくそれが過労状況を生んでいた。

そこで私を入れる事により円滑に行えるよう動かす。

後は依頼を断る仕事もしている。

メンバー的にやりたがらないしね。

それに…

 

「仕事が勝手に増えるからね。そう思わないかい、()()()()()()()()さん」

 

「へ?」

 

外出と入部許可を黒花さんから貰った銀を伴いジャージを着て浜辺の清掃中。

環境に慣れて欲しいから簡単そうなのを2人でやっている。

本音は記憶回復のキッカケ作りだけど。

てか2人で外出すると迷子や足腰悪いじいさんばあさんが現れるのかな…

 

「暑くなってきたね…」

 

「暑いってことはつまり待ちに待った夏休み〜!」

 

「年中夏休みでしょうが」

 

「ええー」

 

仲良くなる一環としてタメ口を使うようにしている。

本人も畏まらなくていいと高評価。

 

「休憩しよっか。ゴミ袋は一旦そこに置いといて」

 

「はーい」

 

来る前に買ったソーダを渡し一気に飲み干す。

汗かいた後の炭酸は身体に沁みる。

 

「フゥ…にしてもこのゴミ何処から湧いてくるのかな」

 

「海の向こうは壁だから…地面から生えてくる?」

 

「なら神樹にクレーム入れとかないと。ゴミは自分で処理してくださいって」

 

「神様なのに部屋汚いかも」

 

「そうだったら引くね」

 

2人で見つめ合いながら大笑いした。

始めて会った時より表情が豊かになった気がする。

これが偽りだとしてもその感情は本物だから。

最初は、自覚する度胸が痛んだが気にしなくなった。

 

「んじゃサクッと終わらせて帰ろっか」

 

「仕事終わったらおなか減ってそうー」

 

「任せて。マッハでご飯作るから」

 

依頼終了後、牛丼をこしらえ空になった胃袋を満足させた。

 

 

その数日後、久しぶりに警報が鳴った。

学校で遭遇した為合流は早い。

銀には極力下がっておくよう伝えといた。

 

「間近で見るとカッコイイより可愛いんですね」

 

4人の勇者服を眺めていた。

双眼鏡プラス高速移動してたからよく見えなかったから新鮮。

出来いいなぁ…てか神樹様なら見直すかも。

 

「でも、美穂ちゃんのもカラフルで可愛いよ!」

 

「そうかな?私はチカチカして嫌だし前回何故かヘイト買ったから」

 

「あの爆撃アンタに飛んでいってたのね。来たらドカンドカンうるさくててびっくりよ」

 

やっぱりこの服変えてもらおう。

守る力だけど命あって出来るから変な死に方だけはごめんだ。

黒花さんに前言ったら『前向きに考える』とかほざかれたし。

前方からバーテックスが1体接近するのを目視で確認した。

図体デカいから分かりやすい。

 

「ここで迎撃するわよ」

 

「了解です。なら私は後衛に回ります」

 

いつもの剣を盾に上から差し込んだ。

固定されたのを確認し盾を横にし剣の握り手を曲げる。

後は自動的に盾の下から装甲が横にズレ砲身が出てくる。

 

「システムアサルトへ移行完了」

 

変形した盾を持ち後方にいる東郷さんの元へ向かう。

うっ…重すぎ…

これ変形させたら動かない方がいいかも。

 

「高木さん。それは砲台?」

 

「そうだね。スナイパーライフルがベースなんだけどかなり重くてね」

 

盾が重いし大きいのは中身の機能がてんこ盛りだから。

パージもあるけど使ったら怒られそう。

 

「カッコイイ銃だね。狙撃するなら先に撃っていいからね」

 

「ありがとう。あとこれは白銀って名付けたの」

 

いいネーミングセンスじゃないか…

私が名前を付けると厨二っぽくなるからその内嫌になる。

と話していたら突然バーテックスが爆ぜた。

当然2人は引き金を引いていない。

 

「そこ!もう撃ったの!?」

 

「そっちが特攻仕掛けたんじゃないんですか!?」

 

完全に意見が食い違っている。

なら誰が?

 

「ちょろい!この私の攻撃っかわせるもんならかわしてみなさい!」

 

赤い服を来た子が上から降ってきた。

 

『誰ェーーーー!!』

 

唖然とするよね。

もうあの人だけで大丈夫じゃない?

だって御霊吐かせた上ガス巻いて逃げようとしたのを気配とか言って見つけて切ったし。

せっかくのアサルトが不発に…

なんか『威力マシマシ砲』とか言ってたから気になってた。

 

「ごめん。前言ってた子巻き込まれたから迎えに行ってくるね」

 

変形を解除し東郷さんに伝言を伝え一時離脱した。

無事銀と合流を果たした時点で樹海化が解けた。

 

 

「なるほど…大体分かりました」

 

教室でざっくりとした話を風先輩から聞いた。

助っ人の名は三好夏凛。

正規の勇者の戦闘データを統合し作りあげられた完成型勇者システム。

そして派遣先は大赦。

一応編入生として友奈と同クラスに送り込まれた。

良かった…これ以上負担増やされたら胃薬案件だ。

 

「てかアンタ誰よ」

 

「初めまして三好さん。私は高木美穂、フリーランスの勇者…ですかね」

 

「フリーランス…聞いた事ないわよ」

 

「そらそうですよ。開発系統が異なりますから」

 

三好さんのはオリジナルで私のはプロトタイプ。

その上秘密裏に作られているから知っているのはごくわずか。

機能そのものに一部を除き変化はなく武器のレパートリーを増やすために設計された。

 

「…問題はそこのちんちくりんよ」

 

指さす先にいたのは銀。

 

「何でシステム持たないのにいるのよ」

 

「いや。アタシも居たくているんじゃないんですけど」

 

「ならどっか行ってなさいよ。素人ならまだしも闘えないのにいるんじゃないわよ」

 

「いや転移で何処からでも呼ばれるんだけど」

 

そういえば家にいると思っていたのに解けたら傍にいた。

素質は変わらないのかな。

 

「とにかく!私が来た以上あんた達トーシローはぬくぬく学生で…」

 

「ようこそ勇者部へ!夏凛ちゃん!」

 

友奈が花が咲いたような笑顔を三好さんに向けていた。

コミュ力モンスターの片鱗見せてきたね。

 

「は…?部員になるなんて一度も言ってないし。あくまで監視の為にここに来ただけ」

 

「なら部員になった方が早いよね?」

 

「確かにそうですね…」

 

「むっ…確かに一理あるわね。その方が監視しやすいし」

 

これ上手く丸め込まれてない?

ブラック企業の勧誘ってこんな感じだったら恐ろしい。

三好さんは違和感を持たず入部届にサインをしてしまった。

 

「よっし!部員確保!監視はしてもいいけど仕事はしっかりやるのよ」

 

「風先輩。さっそくですけど仕事頼んでもいいですか」

 

私は手を上げながら言った。

 

「どうしたの美穂?」

 

「個人的な仕事ですが…三好さん。一戦お手合わせして頂けませんか?」

 

「ちょうどよかった。私もしてみたかった所よ」

 

思考が似ていたからかお互い少し口角が上がった。

目元は笑ってないけど。

「お姉ちゃん…なんか二人とも変だよ…」

 

「こりゃ面白くなりそうじゃない。よし!全員で見に行くわよ!!」

 

―――――

美穂と三好さんの決闘が行われるとして盛り上がる中、東郷さんがアタシの顔をジッと見ていた事に気づいた。

 

「東郷さん。顔になんかついてました?」

 

「いえそうじゃなくて…」

 

少し顔を赤くさせながらそっぽを向いた。

てをもじもじさせているのが可愛いと思ったのは内緒。

 

「何処かで会った事…ある?」

 

そう言われてアタシの心が温かくなった。

まるで傍にいるのが当たり前のような、守るべき存在のような感情が入り混じった不思議な感覚。

 

「すみません…記憶にないです」

 

「そう…私も2年前から記憶なくて」

 

思わずアタシもと言いそうになった。

でも2年間も元気に生活出来ている事にホッとした。

足が不自由でも今を生きていけるならアタシにだって出来る。

 

「そうなんですね。でもいつか思い出せますよ!そんな気がします」

 

「それじゃみんなで屋上行くわよ!」

 

風さんの号令で動き出した。

 

「先行ってます!」

 

アタシは美穂の後ろについて行き部屋を出た。

その時頭が少し痛かった。

 

―――――

屋上に到着し三好さんと一定の距離を置いた。

武器の支給として木刀が与えられた。

いつも使う剣より軽いけど大丈夫でしょ。

三好さんは勿論二刀流。

 

「敗北条件は致命傷を与えた方でいい?」

 

「ええ。判断が難しかったら再度やり直しで」

 

「分かった。怪我無くやりましょう」

 

ルールの確認をしお互い見合って会釈をした。

模擬戦であるからこそ敬意を払わないと。

私は木刀を両手で握り構えた。

少し息を吐き脱力する。

 

「いざ…参る!」

 

足に力を込め距離を一気に縮める。

狙うは右の木刀。

体を狙い短期戦をするのが定石だが読まれている前提。

また入部届を書いた時利き手が右手だったのも考慮している。

はたき落とす様に振ったがいなされた。

左から横に薙ぎ払う攻撃を木刀で相殺。

そこからは防戦一方。

右に左に振られながら後ろに下がるしかない。

だんだん手が痺れてきた。

耐え切れず右手から木刀が離れた。

その瞬間を逃す訳がない。

 

「取った!」

 

右の木刀を突くように私の胸を狙って来た。

そうこの瞬間を待っていた。

勢いをつける為に右足を前に出すその時を。

私はおもいっきりその右足を踏みつけた。

 

「いっ…!」

 

流石に苦悶の表情を浮かべ体勢を崩した。

しかしそこは自称完成型勇者。

何とか耐えきり左で攻撃を仕掛けようとしてきた。

けどその前に空いたスペースを利用し右ストレートを顔面にたたき込む…

 

「ストッップ!!」

 

風先輩の掛け声を聞き間一髪止めた。

鼻先が当たりそうな距離だった。

 

「これ以上やるとアンタら怪我するわよ」

 

私は急いで拳を引っ込めた。

 

「ごめん、やり過ぎた。足大丈夫?」

 

「これくらい何とも。それにしてもアンタのやり方めちゃくちゃよ」

 

「師匠がルールなんて破るもんだぐらいの変人だから」

 

「へぇ…でも負けは負け。認めるわその実力」

 

「ありがとう。いつでも相手になるよ」

 

先ほど顔面に食らわせようとした右手を差し出した。

 

「ふん。次は絶対負けないわよ。覚悟しときなさい」

 

三好さんも木刀を置き握手をしてくれた。

夕日に照らされながら微笑みあった。

 

「これで一件落着だね!」

 

「白熱した戦いでしたね」

 

「私はヒヤヒヤして見れなかったよ…」

 

「そうね、でもこれはこれで良かったわ」

 

「美穂ってやっぱり強いんだな…」

 

「そこの素人組は信用してないからしっかりしなさいよ!」

 

あれ、私だけ免除?




模擬戦ですけどようやく戦闘描写入れました。
前も書いてましたけどまぁ難しい…
頭のイメージを文字にするのがここまでとは。
それでも!頑張ったんです!
どうかご勘弁を!
あとライフルモードのイメージはFGOのブラックバレルレプリカです。
アレめっちゃカッコイイ…
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