ボブの笑顔がみたい   作:いかのシオカラ

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ポケモンが書きたい。
グエルも書きたい。
いっそのこと悪魔合体です。


水生のモノ

 

きらりと光り、体が火照る。

そんな感覚に包まれながら消えてゆく。

前に地球にそんな蟲がいたと聞いたことがある。

名前は...そうだ、蛍だ。

力が抜け、何も感じなくなって、沈んで、沈んで...

呼吸ができない、体が冷たく...

全身が真水に使っているような感覚に襲われる。

いや違う、本当に水の中にいる!

 

「ごがっ!!」

 

拙い、驚いて口の中の空気を一気に吐き出してしまった!

口内に入ってくる大量の水分。

死にたくない!

直観的に体は上へと上昇していた。

全身を大きく使い、水をかき分け上へ。

意識が朦朧としだす、それでも上へ。

こんなところで終わってたまるか!

俺はまだ、何も!

しかし、思いは届かず今度こそ本当に力が抜けた。

操縦で鍛えられた肉体が重さによって沈む。

想い出されるのは一人の少女。

スレッタ・マーキュリー。

手を伸ばすが、それはもう誰にも届かない。

今度こそ、グエル・ジェタークは死...

 

意識がなくなる寸前、肉体が何者かによって引っ張られる。

宗教によっては、頭に輪をつけた天使が死んだ人間を天国へと召し上げるのだとか。

 

 

 

...

.....

.......

 

 

 

父親に叱責される俺とそれを傍観する弟。

過去の記憶だろうか。

こうやって俯瞰してみると、向こうが正しい。

ジェタークの人間として、俺は勝ち続けなければならなかった。

そうしなければ路頭に迷う従業員も出てくるだろう。

株価も下がれば、それだけで人の人生を左右する。

でもそれは過去の話。

何もかもを失った俺はただ一人のボブとなった。

何物でもなく、ただ一人の人間としての俺に。

だから俺はまだ...何も為せていない!

この世に神がいるなら、俺をもう一度だけ、救い上げろ!

 

「ガハっ!」

 

うっすらと意識が覚醒し始める。

祈りが届いたのかはわからない。

もしかしたらここは天国かもしれない。

不快な水が呼吸と同時に口から吐き出さる。

清明ではない意識をゆっくりと戻す。

ボヤける視界には何か大きな...魚?

いや、人魚?そんなわけがあるか。

前に見たリュウグウノツカイにも似た大きなそれが俺を見つめる。

一度頭を下げ、視界が鮮明になっった後、もう一度視線を向ける。

 

魚だ。

それもただの魚ではなく、リュウグウノツカイだとかそういうものですらない。

辛うじて生物ということはわかる。

それが近寄ってくる。

思わず後ずさりするが、体に思うように力が入らない。

ひんやりした鱗が俺の肌に触れる。

なめらかで、それでいて確かな硬さがある。

 

「お。起きた?」

 

声がした方向に視線を向けると、そこには褐色肌の女性がいた。

スポーティな水着を身に着け、濡れた髪をかき分けている。

 

「ここは、」

 

「ここ?ワイルドエリアのキバこの近く。あなたを引っ張るこの子が水面から見えたから、救出したけど」

 

女性はペンライトをカバンから出し、こちらに向ける。

ゆっくりと近づかれ、

 

「はい、目を開けて。そのまま...。うん、瞳孔は大丈夫そうね。意識も清明。呼吸は?ちゃんとできてる?」

 

「あ、ああ、できてます。あなたは」

 

「私はルリナ。ジムリーダーよ。それにしても運がよかったわね。この子に助けて貰わなかったら、あなたは今頃湖の底よ。なにがあったか知らないけど、そんな服装で泳がないこと。いい?」

 

「いや、俺は、別に。いや、はい、わかりました」

 

今は黙って従おう。

ここがどこか、こいつが何かもわからない。

先ほどから知らない単語で会話されているため脳の理解が一切追いついていない。

原野らしき場所に倒れている俺と近くにはキャンプセット。

それと、周囲には見たこともない生物。

機械で作ったおもちゃなんかではなく、もっと生物的ななにかが、そこらかしこに見受けられた。

 

「あの、こいつは?」

 

「?そのミロカロス、あなたのポケモンじゃないの?」

 

「いえ、知りません」

 

この大きな魚はミロカロスというらしい。

 

「なら、あなた自身に惹かれたのかしら。時々いるのよ、そんな感じでポケモンに好かれる人」

 

「ポケモンとは、何ですか?」

 

「...記憶喪失?」

 

「いえ、俺の過去の記憶はちゃんとあります。俺自身が何者かも。でも、俺はこんな生物は知らない。...MSは?御三家は?GUND-フォーマットは?」

 

思わず、声を荒げ次々に質問を投げかける。

すべてがわからない。

このままだと俺自身の存在もわからなくなりそうだ。

身体が震えるが、そんな俺を心配するように『ミロカロス』が鱗を這わせる。

優しく、泣きたくなるような慈しみをこめて。

それが今は何よりも救いであった。

 

「ありがとう」

 

「...これは重症ね。すぐさま病院に連れてく必要があるわ」

 

宙に浮き始めた携帯用の連絡端末らしきもの。

それをポチポチのいじり、こちらに向き直るルリナ。

 

「今、アーマーガアタクシーを呼んだから。私と一緒に待つわよ」

 

「...すみません、お手数をかけて」

 

綺麗な黒髪をぐしゃぐしゃと乱されたため、思わず口から謝罪が漏れる。

 

「そういうのは、病院に着いたあとで。そういえば名前、聞いてなかったわね。あなた名前は?」

 

「俺は、」

 

グエル・ジェターク

 

「ボブです」

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