デート・ア・ウィザード〜絶望を希望に変える魔法使い〜   作:黒崎士道

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この話でディケイド編を終えようと思ったのですが、一気に書くと大変なので、二つにまとめました。


決闘の始まり

戦闘後、四人は全員変身を解いて先ほどの場所から少し離れた公園に来ていた。公園には誰の姿も見当たらない。

大樹は晴人と士道から離れて士と何かを話していた。そして士が声を上げた。

 

「…なんだって⁉︎」

 

「信じられないかもしれないけど事実だ。蓮さんの調べで分かったことだ。この世界の士道と…晴人君、だっけ?君にも聞いてほしい」

 

「俺もってことは……」

 

「ああ、今から話すことはこの世界に大きく関わることだ」

 

大樹は真剣な顔つきでそう告げた。

その顔は仮面ライダーとして戦う者の力強い顔だった。

 

「まず最初に…僕たちの世界にいた組織、パラドクスはこの世界の一部のファントムを配下に置いた。その中には幹部クラスのファントムもいるらしいんだ」

 

「パラドクスの奴ら……この世界の怪人たちにも手を伸ばしてたのか…」

 

世界を超える力を持つ謎の組織パラドクス。今回はそのメンバーに加えて幹部クラスのファントムまでが敵となっていた。

ディケイドたちを苦戦させる程の仮面ライダーとまだ戦ったことがない幹部クラスのファントムが相手となると流石に晴人も頭が痛い。

 

「だが、ファントム勢の総帥はパラドクスの勧誘を蹴った。それに不満を抱いたファントムも少なくともいたらしくて、その少数はパラドクスの傘下に下った」

 

「じゃあ、あの時俺を襲った奴もそのうちの一人ってわけか」

 

晴人は士と会った日に現れたサラマンダーを思い出す。よく考えれば、サラマンダーもパラドクスの配下と言っていた。

 

「そして、今パラドクスが求めているものは…この世界に封印されているといわれる『絶望の黙示録』と呼ばれる魔法石。その魔法石は、全てを反転させる力を持つ。闇は光となり、光は闇に堕ちる。つまり、もしそれを発動させたなら、この世界は絶望に覆われるかもしれない」

 

その言葉に反応したのはやはり晴人だった。希望の魔法使いとして、世界を絶望に覆うなんて許すはずがない。

そこで士が口を開いた。

 

「でも、奴らはどうやってその魔法石を手に入れるつもりなんだ?」

 

「そこだよ士。……奴らは絶望の黙示録を手に入れるためにある方法を用いる計画を立案した」

 

大樹は一旦そこで言葉を遮り、こう告げた。

 

「絶望の黙示録の封印を解くには、多くの魔力を必要とする。そこで、パラドクスはある装置を使ってこの世界のゲートを強制的に絶望させてファントムを生み出すつもりだ。それによってファントムの魔力を装置に吸収することで…絶望の黙示録の封印を解くつもりだ」

 

――刹那、その場にいた全員の思考が止まった。

そして、最初にその沈黙を破ったのは士道だった。

 

「それって、天宮市のゲート全員からファントムを生み出そうとしてるのか⁉︎」

 

士道が口にしたのはその計画が成功した時に起きる最悪なシナリオだった。天宮市にいるゲートがファントムを生むために強制的に絶望させられて命を奪われるだけでなく、晴人たちのいる『ウィザードの世界』が絶望に覆われてしまうのだ。

流石の士も冗談抜きでこれだけは笑えない。

 

「そんな…マジかよ……」

 

「でも、まだ希望はあるよな?」

 

そこで言葉を放ったのは晴人だった。最悪な結末があるかもしれないというのに、その眼はまだ希望を捨てていなかった。

 

「ああ…パラドクス装置を発動させる前にそれを阻止できればなんとかなるが…」

 

「なら、話は簡単だ。頼む琴里!」

 

晴人は耳元を抑えてそう言うと、士道が耳に装着していたインカムから琴里の声が聞こえた。

 

『ええ、話は大体聞いたわ。今フラクシナスで天宮市内の魔力探査を行ってるわ。もう場所も把握できてるわよ』

 

「……なるほどね。フラクシナスからパラドクスを探すってことか」

 

「そういうこと。さあ、行こうぜみんな!」

 

晴人は笑顔でそう言う。

その笑顔を見た三人も、希望を見出し晴人とともに駆け出した。仮面ライダーとして、この世界の希望を守るために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

琴里のフラクシナスからのナビゲートのおかげで晴人たちは、魔力の反応があると見られる場所に来た。そして、四人がやって来たのは海の近くにある湾岸倉庫だった。

だが、そこには黒いコートを纏った少年と、蒼い龍の姿をしたファントム、リバイアサンが軍団ともいえるほどのグールを引き連れて晴人たちを待ち受けていた。

そしてその後ろには、奇妙な形の機械が置かれていた。恐らくあれが例の装置だろう。

 

「……やはり来たか、ディケイド」

 

黒いコートの少年はそう言うと、黒いバックルを取り出し腰に装着する。中央には何かをはめる跡があり、その右隣には小さな刀のようなパーツがついていた。

 

「やっぱりお前か。ルシファー」

 

「ふん。お前こそ、こんなところにまで来るとはな」

 

「生憎、仮面ライダーってのは悪者の邪魔をするのが得意なんでな」

 

士はルシファーと呼ばれた少年に向かってそう言い返す。だが、晴人は何故かその少年に違和感を覚えた。始めて見た気がするのに、何処かであったことがあるような感じだった。

 

「大方、絶望の黙示録を手に入れる邪魔をしに来ただろうが、お前たちはここで終わる。……変身」

 

少年は四人に言い放つと、その手に漆黒の禍々しいオーラを放つ錠前ーーロックシードを手に取り、スイッチを押して解錠する。

 

《カオス!》

 

その音声と共に、少年の頭上に大きな黒い球体が出現する。少年はバックルの中央にロックシードをセットして、再び施錠する。

 

《ロックオン!》

 

ドライバーにセットされたロックシードを施錠すると、ドライバーから法螺貝の笛音が鳴り響く。続いて少年は小さなブレードのようなパーツをロックシードに向かって降ろす。すると、ロックシードの柄の部分が割れる。

 

《ソイヤ!カオス・アームズ!黒騎士・オン・ダークネス♪》

 

その音声が響き渡っだと思うと、黒い球体は少年を覆うように飲み込み、黒い球体は霧のように消えるとその場には一人の戦士が立っていた。

 

黒が基調のアンダースーツ・ライドウェアを纏い赤い紋様を持つ、禍々しさを放つ鎧を装備した紫の双眼を持つ仮面をつけた漆黒のライダーがそこにいた。

そのライダーの姿はまるで黒騎士を思わせた。

 

「さあ、始めようか」

 

漆黒の仮面ライダー、ルシファーのその言葉とともに大量のグールたちが四人を一斉に取り囲んだ。

流石にこの数では厳しすぎる。

 

「どうする?この大群じゃすぐにやられるぞ」

 

士は舌打ちを鳴らしながらそう言うと、何を思ったのか大樹が士のベルトに連行されているライドブッカーから一枚のカードを取り出した。

 

「なら、心強い助っ人を呼ぼう」

 

大樹はそう言ってカードをディエンドライバーに挿入、虚空に向けてトリガーを引いた。

 

《KAMEN RIDE・GAIMU》

 

ディエンドライバーの銃口から幾つものシルエットが放出され、それが一つに重なると、そこに現れた人影に晴人と士道は目を点にした。

 

「ーーーえ?」

 

特に士道は信じられないものを見たような顔をしていた。それもそのはずだ。何故ならーーー

 

「あれ……?ここどこだ?ーーーん?」

 

目の前にはなんと、士道がもう一人いたのだ。晴人は隣にいる士道を見るが、やはりまったく同じだった。そして、目の前に現れた士道が晴人の隣にいる士道と目が合う。

しばらくの沈黙、そして。

 

『えええーーー⁉︎俺ーーー⁉︎』

 

両者二人とも同じ声音で、同じ表情で同時に驚愕の声を上げた。

 

「おお、見事にハモったね」

 

「ど、どうなってんだ?」

 

目の前に二人の士道が現れたことに混乱している晴人を置いて、大樹が二人の士道の間に入り、仲介役となる。

 

「では、紹介しよう。士道、こちらは『ウィザードの世界』の五河士道。士道、こちらは『ディケイドの世界』の五河士道だ。二人とも仲良くね」

 

『いや、全然わかんねぇよ‼︎』

 

大樹の実にシンプルかつ簡単な説明に納得しない士道たちはまたもや声をハモらせた。

 

「お、俺もう…何が何だか……」

 

晴人は目の前の光景に頭痛を覚えた。だが、グールたちはそうしている間にもこちらに槍を向けていた。

 

「えっと…よく分からないけど、あいつらを倒せばいいのか?」

 

「あ、ああ。そういうことだな…」

 

両者ともにまだ納得がいかないが、士道たちは互いに状況を理解すると、戦闘態勢に入る。

 

「いくぞ、みんな」

 

士の言葉とともに五人は全員肩を並べると、それぞれのベルトを待機状態にする。

 

《KAMEN RIDE》

 

士はディケイドライバーの左脇に連行してあるライドブッカーからエンジン音と共に一枚のカードを取り出し、構える。そしてバックルにカードを挿入する。

 

《シャバドゥビタッチヘーンシーン♪シャバドゥビタッチへシーン♪》

 

晴人はウィザードライバーのハンドオーサーを左手側に傾け、待機音声を鳴り響かせながら左手にフレイムウィザードリングを装着する。

 

《KAMEN RIDE》

 

大樹は懐から一枚のカードを取り出し、ディエンドライバーの銃身をスライドさせると、その中にカードを挿入する。

 

《セット!》

 

士道は左手にビーストウィザードリングを装着、バックルの左面側に備えられているシリンダーに指輪を差し込み、ドラムのような待機音が鳴り響く。

 

《オレンジ!ロックオン!》

 

もう一人の士道はルシファーと同じ黒いバックル、戦極ドライバーを装着すると、オレンジが描かれた錠前ーーーオレンジロックシードを解錠する。すると、士道の頭上にチャックのような裂け目が開き、そこから巨大なオレンジが出てくる。士道はオレンジロックシードをバックルの中央にセットし、ハンガーを押して再び施錠すると、バックルから法螺貝の笛音のような音声が鳴り響く。

 

そして、五人は全員で声を合わせて叫ぶ。

 

『変身!』

 

《DECADE》

 

《フレイム・プリーズ♪ヒー♪ヒー♪ヒーヒーヒー♪》

 

《DIEND》

 

《オープン!L・I・O・N!ライオン!》

 

《ソイヤ!オレンジ・アームズ! 花道・オン・ステージ♪》

 

士はディケイドに、晴人はウィザードに、大樹はディエンドに、士道たちはビーストと鎧武に変身を終えた。

そしてこの瞬間、五人の仮面ライダーたちが同じ地に並び立った。

 

「さあ、ここからは俺たちのショータイムだ!」

 

ウィザードは左手のフレイムウィザードリングを掲げ、そう叫んだ。

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