デート・ア・ウィザード〜絶望を希望に変える魔法使い〜   作:黒崎士道

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どうも、お久しぶりです。
遂に鎧武もクライマックスに突入!
斬月、龍玄たちが退場し、鎧武とバロンの最終決戦がすごく気になります!


温泉で大騒動

朝、五河家から神代邸に戻った晴人はバロンとの戦闘で魔力を大量に消費したためか9時過ぎになってもまだベッドの中から出てこない。そこで部屋の扉が開くと、エプロン姿のコヨミとガルーダ、ユニコーン、クラーケン、ゴーレムたちが全員集まってやって来た。

 

「起きてハルト!早くしないと朝ごはんが冷めちゃうよ!」

 

何処かの主婦のようにフライパンとおたまを持ったコヨミはカンカン、とうるさい音をたてながらそう言うが、身体がだるくて動かない晴人は全く動じない。

次に使い魔たちも晴人の身体の上でぴょんぴょんと跳ね回るが、やはり効果はない。

 

どうしたものかと悩むコヨミ。その時、ゴーレムがコヨミの肩に乗り指輪を渡してきた。それは先ほどナタリアから渡された新作の指輪だ。

 

「あ、そうだ!ねぇハルト。さっきナタリアから新しい指輪貰ったんだけど、試してみない?」

 

コヨミはそう言って未だ眠り続けている晴人の右手のドライバーオンウィザードリングを外して新しい指輪を装着する。

 

「多分……煙系の魔法なのかな?」

 

指輪の絵柄から煙系の魔法なのかと考えるコヨミはそのまま晴人のに装着した指輪をベルトに翳した。

 

《スメル・プリーズ♪》

 

その音声が鳴るが何も起きなかった。

だが次の瞬間、晴人の身体から強烈な異臭が放たれた。

 

「く……くっしゃーーい⁉︎」

 

晴人から放たれる強烈な異臭にコヨミは鼻を抑え、臭いに驚いたガルーダたちは部屋の中を飛び回る。

 

「くっせーーーー⁉︎なんだこれ⁉︎」

 

そして流石に異臭を放つ本人の晴人も、突然の異臭に起きた。晴人の自室の中には異臭が充満している。そこで指輪を作った本人、ナタリアが入ってくる。

 

「あんた達、何騒いでーーーってなんだいこの臭い⁉︎」

 

これが、新作の指輪を使用する度に起きる神代邸の普段の出来事だ。

因みに異臭は指輪を外したら消えたが、部屋の中の臭いまでは消えず消臭剤を使うハメになってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

四糸乃の騒動から二日ほどが経った。

晴人はあの後、気絶したところをフラクシナスにて回収、怪我の治療を受け、琴里にきついお叱りを受けた。十香たちについてはやっと精霊専用の特殊住居のマンションが五河家の隣に完成したということでそこに住むこととなった。

 

そして問題なのが、あのダークウィザードリングだ。晴人はあの指輪を使った途端、力がどのスタイルよりも断然に上がっていたが、切嗣に調べてもらう為に預けたため今は手元にない。

 

そして晴人が朝食を食べていた時、神代邸のインターホンが鳴った。

晴人は肩にユニコーンを乗せながら玄関の扉を開けるとーーー

 

「ハルト!温泉に行こう!」

 

と、十香と四糸乃(あと、よしのん)、士道が身支度を既に終えた状態でやって来た。

 

「……は?温泉?」

 

晴人はいきなり温泉に行こうなどと言われても話の流れがわからなかった。

何でも十香がテレビの旅番組を見て温泉に行きたいと言っていたので、行くことになったらしい。

そうしている間に当の本人たちは目をキラキラと輝かせていた。

 

「わかったよ。じゃあコヨミも呼ぶから、ちょっと待ってろよ」

 

「やったーー!」

 

晴人とコヨミの同行が決まったことで十香たちは手を取り合って喜んだ。晴人はその様子に微笑みながら準備に取りかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天宮市から遠く離れた森の奥深くに佇む教会。

その地下には、真っ白な大理石に囲まれた中央にあるステージのような円卓をそれぞれ高さが異なる八つの椅子が取り囲む空間が存在した。そこには八人の人物がそれぞれの席についていた。

 

赤いコートを羽織り、腕を組んだまま目を閉じるフェニックス。

 

紫のドレスを纏い、腰まで伸びた黒髪に妖艶な美しさを持つメデューサ。

 

黒い帽子を被り、肩にストールを羽織った独特のファッションをしているグレムリン。

 

黒いコートに顔の下半分を黒のマスクで隠し、軍人の帽子を被るファブニール。

 

上下黒のスーツに、黒のサングラスを身に付けたバロン。

 

黒い装甲を身に纏った長い赤い髪に頬に傷を持つバーサーカー。

 

青い衣を纏い顔の下半分がマスクで覆われ、金色の髪がその空間の光を浴びて淡く輝いているオーシャン。

 

白いファーコートを着崩し、端正な顔立ちに水浅葱色の髪をしたフェンリル。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いずれもファントムを率いる王、ワイズマンに仕える幹部クラスのファントムであり、本来のファントムよりも特別な存在ーーー『エクシード』だ。

 

 

 

 

 

「皆、遅れてしまってすまない 」

 

静寂に包まれた円卓の間に、さほど大きく発せられた訳ではない言葉が響く。

それはその存在が持つ圧倒的な存在感によるものか、それともこの場にいる総てのファントムが根源的に抱える恐れによるものかは判らない、だがその一言だけで円卓の間にいた全員の視線がその存在に向けられた。

 

ファントムたちが座る場所よりも、かなり高い位置に設けられた玉座に男がゆっくりと座る。

その玉座には上るための階段は無く、断壁の上にあるそれは彼等とその男が隔絶された存在であることを暗に示しているかのようだった。

 

白い衣に袖を通し、髪を掻き揚げて後ろへと流した姿。

柔和な顔立ちで笑みを浮かべてはいるが、その瞳の奥に誰よりも深い闇が秘められている。

 

この男こそが、全てのファントムを束ねる王、ワイズマンだ。

 

「皆、長い間待たせてしまってすまない。だが…遂に我々も本格的に動き出す時が来た」

 

笑みを浮かべ、頬杖をついたままのワイズマンから放たれた言葉にその場にいた全てのファントムたちは静かに彼を見つめた。

 

「前回のサバトが開かれてから三年の月日が経ち、君たちには数多くのファントムたちを生み出してもらった。そして漸く我々が『神の力』を手に入れるための準備が整った。皆、長きに渡り内に留めていたであろうその本能を、存分に解放してくれ」

 

ワイズマンはそれだけ告げると、玉座から姿を消した。それに続くようにバーサーカー、グレムリン、メデューサ、オーシャン、フェンリル、バロン、フェニックスが姿を消し、円卓の間にはファブニールが残された。

 

「では、私も行くとしよう。まずは…サー・ワイズマンの邪魔になりかねない奴らの始末に……」

 

「お待ちください、ファブニール様」

 

席から立ち上がり姿を消そうとするファブニールに声がかけられた。ファブニールは円卓の方に目をやると、そこには一人のファントムが跪いていた。

全身は骸骨の体で、骨を模した西洋の鎧と兜を身に纏っている。鎧に先端が尖った長い骨が垂れかかった感じに装備されている。

ファブニールの配下ファントム、スケルトンだ。

 

「どうしたスケルトン。何か報告でもあるのか?」

 

「はい。実はーーーーーー」

 

スケルトンがファブニールに報告を終えると、報告を聞いたファブニールは目を鋭くして、静かに口を開く。

 

「………行くぞ、スケルトン」

 

「はっ!」

 

スケルトンはファブニールの後を追うようにして円卓の間から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお!これはすごいな!」

 

現在晴人達は、令音が運転する車に乗って天宮極楽温泉へ向かっている。十香と四糸乃の精霊組は、車窓から見える景色に興奮しており、晴人に至ってはガルーダたちと戯れていた。

 

「そういえば十香ちゃんたちは車乗るの初めてだったよね?」

 

「うむ!しかし本当にいいものだ、ここから見る景色は」

 

「わあ……」

 

「よしよし、酔わないように気をつけるんだぞ」

 

四糸乃も外の景色に喜んでいたのを見た士道は四糸乃の頭を撫でてやる。それを見た十香はーーー

 

「ハルト!私も撫でてくれ!」

 

「いや、流石に届かないって……」

 

席の配置は、運転席が令音で助手席が十香、真ん中が士道とコヨミと四糸乃(あとよしのん)、そして後ろが晴人で、その隣に荷物が積んである状態である。

どう考えても十香と晴人の間には距離がある。

 

「む!何故四糸乃は良くて私は駄目なのだ⁉︎」

 

「いや、助手席に乗りたいって言ったのは十香だろ?」

 

「そ、それはそうだが……」

 

『士道君士道君、よしのんも~』

 

「はは、よしよし……」

 

晴人の言葉に十香は何も言えなくなっていると、今度はよしのんが士道に撫でるように頼む。士道は苦笑しながらよしのんの頭も撫でてやる。

 

「士道さん、あのぐるぐる……」

 

そう言って四糸乃が指差したのは、車窓から見えるところにある床屋のサインポールである。

 

「ああ、あれは床屋さんだよ」

 

『へぇー、あれは?』

 

「あれか?あれはだなーーー」

 

などと、後ろで四糸乃たちが盛り上がっているのが気に入らなかった十香の機嫌は次第に悪くなっていきーーー

 

「うがーーーーーーーーーーーーーーーー‼︎うーーーーがーーーーーーーーー‼︎」

 

怒りに身を任せて車の床を勢いよく何度も踏みつける。しかし力が強すぎたのか車の底が抜け、地面に貫いた瞬間。

 

「え……?」

 

晴人は思わず間の抜けた声をあげてしまった。

そうしている間にも車の周りに地響きが走り、遂に道路そのものが崩落した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、天宮市の街を三人の人影がバイクで駆け抜けていた。

 

一人は灰色のジャケットに中にシャチの絵柄がある青のTシャツに青のジーパン。肩まで伸ばした黒髪に銀色のメッシュが入った髪型をしている青年。

 

二人目は青年の乗るバイクの隣に取り付けられたサイドカーに乗り、白と黒のワイシャツに水色のスカート。青混じりの黒いロングヘアに後ろに大きなに赤いリボンを結んでいて美しい顔立ちをしている女性。

 

三人目は二人とは違うバイクに乗り、黒の半袖のジージャンに中に藍色のTシャツにへそ丸出しで、白のショートパンツという少し露出度が高い。青色の髪を後ろに結んだ美しい大人の女性だ。

 

青年たちは一度バイクを止めると、青年がバイクから降りる。

 

「よし、やっと着いたぜ天宮市!」

 

青年ーーー火角龍騎は街を見渡しながら笑顔で元気良く言う。

 

「う〜ん、私もうくたびれちゃいましたよ。早く温泉に入って疲れを癒したいです」

 

龍騎が乗るバイク・マシンスレイプニルの隣に取り付けられているサイドカー・レネイドに乗っていた女性ーーー水崎レイは背を伸ばしながらそう言った。

 

「ほら、温泉街まであとすこしなんだから早く行くわよ」

 

別のバイクに乗った女性ーーセルシウス・メアリは未だのんびりとしている二人にそう言うと、再びバイクのエンジンをかける。

 

「はいよ」

 

「は〜い」

 

二人は元気よく返事をすると、再びバイクに乗り込み一緒に温泉街へ向かって歩き出す。

 

「……ん?」

 

しばらくバイクを走らせていると、龍騎はふと何かに気がつきバイクを止めた。

 

「どうしたんですか龍騎?」

 

「あ~いや……温泉街の近くにしては人気がないなあって思ってさ。今日って週末だから結構人多いと思ったんだけどなぁ…」

 

「確かに……何かあったのかしら?」

 

「さあ……?まあ、とりあえずは走っておこうぜ。温泉旅館には誰かいると思うからさ」

 

龍騎の提案にレイとセルシウスの二人は頷き、そのままバイクを走らせる。

そしてそのまま交差点に差し掛かろうとした瞬間。

 

『モオオオオオウ!』

 

「うおっ⁉︎」

 

突如飛び出してきた牛に、龍騎は慌ててバイクを止めた。しかも牛は後に続いてどんどん通行していき、道路は一瞬にして牛の大渋滞に陥ってしまう。

 

「な、なんだぁ⁉︎」

 

「なんで牛の大群がこんなところにいるのよ⁉︎」

 

「とにかく、別の道に行きましょう!」

 

突然意味不明なことが起こったことに龍騎とセルシウスは驚くが、レイの言葉でバイクを動かしその場を離れる。そして少しすると橋が見えてきたが、突如橋が崩れた。

 

「今度は橋かよ⁉︎」

 

「もうどうなってるんですかぁ⁉︎」

 

「……ねぇ、何か変な音が聞こえない?」

 

セルシウスがそう言ったので龍騎とレイは耳を澄ますと、確かに変な音が聞こえる。まるで何かが落下するような音だ。三人は上を向いていると、爆弾のようなものが降ってくる。

 

『うわあああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁあ‼︎』

 

龍騎達のいた地点は大爆発を起こす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして同時刻。

天宮市の街の中にある高いビルの屋上にファブニールがスケルトンを伴い街を見下ろしていた。

 

「……この辺りか。裏切り者を見つけたというのは」

 

「はっ、ですが…もうこの辺りにはいないようです」

 

「構わん。まだそこまで遠くに行ってはいないはずだ。………あれは」

 

ファブニールは少し離れた場所でASTを見つけた。精霊が現れたわけでも、空間震警報が鳴ったわけでもない。

 

「丁度いい。奴らも潰しておくか」

 

ファブニールはそう言い、大量の魔法石を取り出しそれを投げるとそこからグールたちが現れた。そしてファブニールが指をパチン、と鳴らすとグールたちはその場からASTのいる場所へと向かった。

 

「ファブニール様……何故ASTを?」

 

「少なくとも奴らは精霊を狙う際に邪魔になる。ならばここで潰した方が良いだろう」

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