デート・ア・ウィザード〜絶望を希望に変える魔法使い〜   作:黒崎士道

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魔法使いとASTの共同戦線

晴人達は車が壊れてしまったため、徒歩で温泉街まで移動していた。正直あの崩落から全員が無事だったということが凄かった。

 

「うう……すまん、ハルト……」

 

車を破壊した罪悪感からか、一番後ろにいた十香は泣きそうな声で申し訳なさそうに謝った。

 

『あははは、すごいね十香ちゃん。地団駄で車全壊させちゃむぐぐぐ……!』

 

よしのんが空気を読めない発言をしようとしたが、四糸乃がよしのんの口をふさぐ。それで十香は更に落ち込んでしまった。

 

「あんまり気にすんなって。怒ってないからさ」

 

晴人はそう言って俯いている十香の目線に合わせるようにしゃがみこむと十香の頭をなでる。

 

「ハルト……うむ!」

 

十香は笑顔を取り戻す。そして一行は再び温泉街に向けて歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくの間、晴人達は温泉街への道を歩き続けていた。すると何かが落ちてくる音が聞こえる。

 

「ん?」

 

士道が上を向くと、なにやら爆弾のようなものが自分たちめがけて落ちてくるのが見えた。

 

「なぁっ⁉︎」

 

気がついた時には既に遅く、士道の叫び声と同時に爆弾は爆発した。

 

『だあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ……』

 

その衝撃で、よしのんが四糸乃のてから離れてしまい遥か彼方へ飛ばされてしまう。

 

「よ、よしのん……」

 

大切なよしのんがいなくなったせいで、四糸乃は次第に涙目になっていく。そして遂にーーー

 

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああん‼︎」

 

大声で泣き始めてしまう。それだけに終わらず、四糸乃の精霊の力が逆流し、辺り一面氷漬けとなる。地下から水が勢いよく吹き出す。

 

「お、落ち着いて!四糸乃ちゃん!」

 

「駄目だ、こうなった以上よしのんを見つけてこなければならない」

 

四糸乃を落ち着けようとするコヨミだが、令音の言葉にどうすることもできない。だが、それを聞いた士道は行動に出た。

 

「分かった、よしのんを助けに行くから、四糸乃は此処で待ってろ」

 

士道はそう言うと四糸乃の頭にポンと手を置く。それのおかげか四糸乃は泣き止み、逆流もおさまる。

 

《ガルーダ・プリーズ♪》

 

《グリフォン・GO!》

 

晴人はベルトに指輪を翳すと、ガルーダを召喚する。そして士道も右手に指輪を装着するとベルトに翳す。すると、士道の使い魔・グリーングリフォンを召喚する。

 

「士道、俺も行くぞ。一応念のためにな」

 

「じゃあ私も行く」

 

「ああ、行こう!」

 

そして三人はよしのんを探すために使い魔たちを頼りに街に向かって駆け出した。

 

「さ、三人とも、危ないぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晴人達は、今もなお人気のない道を駆けていた。温泉街付近の街でもあり店もあるというのに、やはり人一人見つからない。

 

「きゃあああああああああ⁉︎」

 

「っ⁉︎なんだ⁉︎」

 

すると突然複数の女性と悲鳴が聞こえてきた、晴人が先行してその方向に向かい、悲鳴のした場所に着く。

 

「ASTの人たち……?何してるんだろ?」

 

何故か空間震警報も鳴っていないのにASTがいることが不思議だとコヨミは感じた。よく見ると、隊員の何人かがトリモチやネットなど、トラップのようなものに引っかかっているのが目に入る。

 

「私を温泉に……行かせろおおおおおおおおおおおおおおおおお‼︎」

 

『っ⁉︎』

 

急にそんな怒号が聞こえたかと思うと、晴人たちの側にあった建物が銃声とともに破壊された。三人は驚き、辺りを見回すとそこには、重火器を辺りに乱射しまくっているAST隊長、日下部燎子がいた。

 

燎子と少なくとも面識のある晴人だけでなく、ASTの隊員たちまでもが燎子のその姿に呆然とした。

 

「人が大人しくしてりゃつけあがりやがってぇ‼︎ガラクタのくせに人間様を足止めしようなんざ、百億万年早えよ‼︎」

 

燎子がそんなことを叫びながら重火器を乱射しまくっていると、遂に重火器の弾丸が切れた。燎子は舌打ちを鳴らすと何処からか手榴弾を取り出してピンを抜いた。

 

「素粒子に戻って出直してきやがれーーーーー‼︎」

 

燎子はそう叫びながら手榴弾を思い切り投げ飛ばした。そしてその軌道の先には晴人たちがいる。

 

「何でこっちまで⁉︎」

 

「ちょ、あぶねぇっ‼︎」

 

「きゃあああ⁉︎」

 

晴人たちは急いでその場から逃げ出すと、背後で大爆発が起きた。晴人たちは爆風で飛ばされ、背後は既に火の海となっていた。

 

「いっつもいっつもネチネチネチネチ絡みやがって豚野郎がぁ!精霊相手にふがいないだぁ?なら自分でやってみろってんだ!運がよけりゃぁ骨の一本ぐらいは残るかもなぁ!いつまでも若いと思ってんじゃねぇぞ!こっちだってストレスと寝不足んなっても必死に働いてんだよ!女盛りの魅力なめんじゃねぇぞゴラァ!そもそも三十路って……私はまだ27だ‼︎」

 

「なんだよあの人⁉︎なんか怖え!」

 

「てかあの隊長さん、27だったのか。俺てっきり30代くらいかと…」

 

「言ってる場合じゃないでしょ⁉︎」

 

建物の壁に隠れた晴人たちは燎子の愚痴を聞いて戦慄を覚えた。温厚そうな人ほど精神崩壊を起こすと恐ろしく怖いというのは事実だったようだ。

ふとコヨミがASTたちとは別の方向を向くと、大群のグールたちが走ってくるのがわかった。

 

「グール⁉︎なんでこんなところにまで……」

 

「理由は後回しだ!とにかく倒すぞ!」

 

晴人の言葉に士道とコヨミは頷くと、指輪を翳してドライバーを待機状態にする。指輪を装着し、それぞれドライバーに指輪を翳す。

 

『変身!』

 

《フレイム・プリーズ♪ヒー♪ヒー♪ヒーヒーヒー♪》

 

《セット!オープン!L・I・O・N!ライオン!》

 

《セイバー・ナウ》

 

晴人たちはウィザード、ビースト、ジャンヌに変身するとそのままグールたちに向かって駆け出す。ウィザードはウィザーソードガンをくるりと回し、いつもの決め台詞を言おうとする。

 

「さあ、ショータイーー」

 

「しゃらくせえんだよてめえらよおおおおおお!!」

 

『………え?』

 

ウィザードたちは一度立ち止まった。何故なら燎子がところ構わずグールたちに重火器で火力をぶちまけていたからだ。

 

「ヒャーーッハッハッハ‼︎気合い入れろよガールズゥ!楽しい楽しいお仕事の時間だぁ!さっさとあのごみ屑共を完膚なきまでに、殲滅滅殺撲滅謀殺虐殺したうえに駆逐しろぉ!後で弾が残ってる奴がいたら、残った弾薬全部ぶち込んでやるからなぁ‼︎」

 

「は、はいぃぃ!」

 

隊員達も涙目になりながら、グール達に重火器を一斉放射していく。

本来ならグールに普通の弾丸は効かないのだが、流石に大量の弾丸を浴びせられては怯んでしまう。

グールが自衛隊に圧倒されるというあまりにも異様な光景に呆然としていたウィザードだが、すぐにはっとした。

 

「って、俺も戦わないと!」

 

《ランド・プリーズ♪ド・ド・ド・ドドドン♪ドン・ド・ドドン♪》

 

土塊が舞う魔方陣を潜り抜け、ランドスタイルにスタイルチェンジするウィザード。

ウィザードは悠然とした足取りでグールたちとの距離を詰めていった。

槍を振りかぶるグールの腕を巻き押さえ、懐に入り込むと同時に肘鉄を打ち込んだ。

ドン!と鈍い音を響かせて崩れ落ちるグールを尻目に、続けて槍を振り下ろすグールの攻撃を華麗に躱す。

 

 

「よし!俺も負けてられないな!」

 

《カメレオ・GO!カカッ!カッカカッ!カメレオ!》

 

右肩に緑色の魔法陣が通過すると、右肩にカメレオンの頭部を模した装飾のあるカメレオ・マントを纏ったビーストは、ダイスサーベルでグールたちを斬り裂いていき、カメレオマントの口から出ている舌を鞭のように振るい、周囲にいるグールたちを吹き飛ばしていく。

 

 

「私だって……早く温泉に入りたいのよっ‼︎」

 

《ランサー・ナウ》

 

ジャンヌは黄色の宝石で装飾された指輪をハンドオーサーに翳すと、黄色の魔法陣がジャンヌを通過した。

仮面は黄色の宝石となり、白銀の装甲は胸部だけと軽量化していた。そしてその手には金色の槍、ジャンヌランスが持たれていた。

これがジャンヌのスタイルの一つ。槍の騎士の力を宿したランサー・スタイルだ。

 

スタイルチェンジを終えたジャンヌにグールが襲いかかってくるがジャンヌランスで防ぎ、がら空きになった腹に膝打ちを入れる。

次に別のグールが槍を振るいかかってくるが、同じようにジャンヌランスで払い上げると脇腹に一撃。

そのまま流れるようにジャンヌランスでグールたちに連撃を浴びせていく。

 

 

ウィザードたちは次第にグールたちの数を減らしていく。その時、ウィザードの背後から足音が聞こえ、振り返った瞬間。

 

「ふん!」

 

「ぐぁあ⁉︎」

 

突然、誰かに刀のようなもので斬り裂かれ、数歩後ろに後ずさった。

体勢を立て直し、前方を見るとそこには鱗は緑混じりの黒色。頭部はドラゴンの頭に鼻の辺りに鋭いツノがあり、目は血のように赤く、強固な鎧を纏っていて、トカゲの頭部を模したショルダーアーマーを装着している龍の姿をしたファントムと、全身は骸骨の体で、骨を模した西洋の鎧と兜を身に纏っている。鎧に先端が尖った長い骨が垂れかかった感じに装備されている異形の存在たちが立っていた。

 

「これ以上はしゃいでもらっては困るな」

 

「お前はーーーっ⁉︎」

 

「ふんっ!」

 

ウィザードは龍の姿をしたファントムに問いかけると、突然骸骨の姿をしたファントムが頭蓋骨が柄がある骨状の槍を振るってきた。ウィザードはそれを躱していき、ウィザーソードガンを振り下ろすと骸骨のファントムはそれを槍で防ぐ。

 

その隙にジャンヌとビーストは龍のファントムの背後から奇襲をかけたが、龍のファントムはそれをなんと両手で掴んだ。

 

「そんなっ⁉︎」

 

「なんだと⁉︎」

 

ジャンヌとビーストはそれに驚愕していると、龍のファントムは二人を武器を掴んだまま投げ飛ばして手から火球を放った。

 

「きゃあああっ!」

 

「うわあああ!」

 

「コヨミ!士道!」

 

「人の心配をしている余裕があるのか⁉︎」

 

「ぐぁあ!」

 

ウィザードがジャンヌたちに気を取られていると、骸骨のファントムが槍でウィザーソードガンを弾き、ウィザードに一閃をくらわせた。

 

「俺はエクシードの一人、ファブニール。後ろにいるのは我が配下、スケルトンだ」

 

ファブニールと名乗った龍のファントムはそう言うと、その手から炎から形成した武器、ジークサーベルを構える。

 

「まずはお前がやれ。スケルトン」

 

「はっ!」

 

スケルトンが振り下ろしてきた槍をウィザーソードガンで防ごうとした瞬間、スケルトンのアバラ骨に当たる部分から放たれてきた幾つかの骨の矢がウィザードに直撃し、そのまま無防備の状態で槍の一撃をくらった。

 

「兄さん!」

 

《5!カメレオ!セイバーストライク!》

 

「はぁ!」

 

「うあぁぁ!」

 

ビーストはダイスサーベルによってカメレオンの姿をした魔力弾をスケルトンめがけて放って全て直撃させた。

 

「こんなものか!」

 

「なっ! ぐあぁ!」

 

スケルトンは怯んだかと思えば突然、ビーストの近づいてきて2度3度、連続で槍で切り裂かれ思いっきり蹴り飛ばされた。

 

「下がってろ士道!俺とコヨミでやる!」

 

ウィザードはそう言ってウィザードライバーのハンドオーサーを操作する。ジャンヌもジャンヌドライバーのハンドオーサーを操作すると、二人同時に指輪を翳した。

 

《チョーイイネ!キックストライク!サイコー!》

 

《イエス!キックストライク!アンダースタンド?》

 

「だあああああっ‼︎」

 

「はあああっ‼︎」

 

ウィザードとジャンヌは高く跳躍すると、炎を纏った『ストライクウィザード』と光を纏った『ストライクジャンヌ』のダブルキックを放った。

 

「ぐあぁぁぁぁっ‼︎」

 

二人の必殺技はスケルトンに炸裂。爆発の後にはスケルトンの骨だったものがたくさん散らばっていた。これで残ったのはファブニールだけだとウィザードたちはファブニールの前に立つ。

しかし、何故かファブニールだけはこの状況で一人笑っていた。

 

「クク……貴様ら、まさか今の攻撃でスケルトンを倒したつもりか?」

 

「なんだと…?」

 

「よく見てみろ。貴様らが倒したと思った奴の亡骸を」

 

ファブニールの言葉に三人は後ろを振り向く。すると、先ほどまでばらばらに散っていた骨たちが次第に一箇所に集まり出したのだ。

 

そして骨たちはついに人型にまで形作ると、最後に頭蓋骨が首に嵌められる。スケルトンは再び復活を遂げた。

 

「なっ⁉︎」

 

「俺は死なん。何度倒そうが、俺の核を破壊しない限り永遠に不死だ!」

 

スケルトンはそう叫び、その身体の骨をバラバラにすると、骨が矢のようにウィザードたちに襲いかかった。

 

「ぐあぁぁぁぁっ‼︎」

 

スケルトンの攻撃を受けたウィザードたちはその場に崩れ落ちてしまう。

大きなダメージを受けて変身が解け、動けなくなった晴人たちにスケルトンが槍を振り下ろそうとした時だった。

 

「ぐあっ⁉︎」

 

突然その場に強いエンジン音が鳴り響いた。そして、次の瞬間にはスケルトンが何者かが乗ったバイクに吹き飛ばされた。

 

「ふぅ、ギリギリセーフだな」

 

スケルトンを吹き飛ばした正体、火角龍騎はヘルメットを外すとバイクから降りた。そしてその姿を確認したファブニールも忌々しそうに呟く。

 

「貴様は……」

 

「よう、また会ったなファブニール。今度こそお前を倒してやるぜ」

 

「あんた…一体……?」

 

「下がってろ…レイ、そいつらを頼む」

 

「はい!大丈夫ですか?」

 

龍騎はサイドカーに乗っていたレイに晴人たちを任せると、ファブニールの前に立つ。

そして、その右手に嵌めた指輪をーーーベルトに翳した。

 

《ドライバーオン!》

 

その音声とともに、龍騎の腰にバックルが現れた。形状は士道が装着しているものと少し似ている。

それを見たコヨミは驚きの声を上げる。

 

「っ⁉︎あの人って……まさか!」

 

コヨミと同様に晴人と士道も驚きに目を見開いた。

そうしている間にも、龍騎はその左手に三角形の指輪を嵌めると、バックルのシリンダー部分に指輪を差し込んだ。

 

「変身!」

 

《セット!オープン!D・R・A!ドラグーン!》

 

指輪をベルトにセットしバックルが展開すると同時にその中から白銀の龍のレリーフが姿を見せる。そしてバックルから白い魔法陣が出現。

龍騎の身体を、異形の戦士の姿へと変化させた。

 

全身は黒と銀色の姿。仮面は赤い複眼を持つ龍を模してあり、右肩には龍の頭部を模した肩当てを備えている。

 

「んじゃ、名乗ってみるか。俺は、魔法使い……ドラグーン。さあ、バトルタイムだ!」

 

太古龍の魔法使いーーードラグーンはそう言うと、手に持った剣、ダイスセイバーを構え、ファブニールとスケルトンに向かって駆け出した。

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