七 夜 改 変   作:ゲルゲルググ

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特に何もねぇけど初投稿です


七夜戦闘

「蹴り穿つッ!」

 

 その真っ直ぐ綺麗に伸ばされた足は、文字通り目の前のレユニオンの体を穿つ勢いでブチ込まれる。

 

「ッこの野郎!」

 

 そんな声を上げながら後ろから来るレユニオンの顎を振り向きと同時に蹴り上げ、片手を高速で動かして連続した殴打をお見舞いする。後は彼が手放した刃こぼれしている無駄に長い刃物を逆手で掴んで、残りの白ずくめ達の方へ振り返った。

 

「武器はどうにかなったけど……」

「殺せェ!」

「ブルルアァ!!!」

 

 さっきからコイツらの掛け声が一々物騒過ぎるな?!だがな、こっちも殺される気はないんだよ!死なないらしいけど!

 

 取り敢えず目の前から来る2人の攻撃を受け止めtっ?!

 

「使い難っ?!」

 

 なんだこの――重いとかそういうのじゃなくて…単純に使い難過ぎる!いや、肌に合わないって言うのがあってるか?刀身が長すぎて思ったように素早く振り回せないって言うのもあるが、ちゃんと柄を握っているのに握っていない様に感じる。ジャストフィットしない。Amazonで良く売ってる掴めない物体みたいに、何時でも滑り落ちそうな気分だ。

 

「スキありァ!」

「何っ?!」

「首置いてけェ!!!」

 

 チクショウ!思った通り武器が飛んでった!ッ…先ずは落ち着いて、体のスペックで攻撃を避けて――

 

「スキありと言ったァ!」

「ガッ―ァ?!」

 

 俺の手から武器を弾き飛ばしたレユニオンに、胴体を逆袈裟に斬り飛ばされる。

 気づけば、地面へ倒れていた。そして胴体の焼ける様な痛みに苦悶の声を漏らし、気づく。一瞬、痛みで気を失っていた。

 

「ァッ―ガッ……ギィ―…!」

 

 マズいマズい!マズい!!こんな痛み、久しく感じてなんていなかったから……あぁクソ!クソ!!クソ!!!クソ痛ェ!死ぬ程痛ェ!こんなものずっと感じてたら、頭がオカシクなる……!

 

「あ?なんでまだ生きてんだコイツ?」

「やっぱ胴体はダメだわ。首だ首」

 

 何いってんだ、こんな痛みと傷で、生きてる訳………

 

「ハァ…ハァ…――ハハッ、なんで立ててんだ俺……」

 

 まるで…そう、まるで誰かに体を動かされて―――

 

 ……いや、当たり前の事じゃないか。MUGENってのは最早格ゲーと呼べるものでは無いが、その下地は間違い無く格ゲーだ。格ゲーにおいて攻撃を一発食らおうが、HPが残っているのならばまだ動けるのは当然だろう。

 

「ハァ…スゥ…死ななきゃ安い…ってか?」

 

 水色の服を紅く染めながら、俺の体は2人のレユニオンへ向かって拳を構える。

 

「「じゃあズタズタに斬り殺してやるかァ!!」」

 

 走り出したレユニオンの2人へ向かって、俺の体も走り出す。そして拳と刃がぶつかる――

 なんてする筈無いだろ!普通に分が悪いわ!

 

 だから彼らの眼の前で跳躍し、先ずは視界から消える!

 

「飛んだァ?!」

 

 着地と同時に血を撒き散らしながら振り返り、今度は真っ直ぐ跳躍し片方のレユニオンを蹴り穿つ。

 そのまま2人を引き離し、足を引き抜いてそのまま垂直ジャンプ。そして顔面を叩きつける様に殴り、着地と同時にサマーソルトで蹴り飛ばす。最後にもう一度胴体を蹴り穿つと、今度はジャンプと同時にレユニオンの胴体を蹴り上げ共に空中へ飛び、蹴り上げた足を振り落としてレユニオンの頭を蹴り砕いた。

 

 まるで切り傷も痛みも出血量も、どれも見た目だけの飾りとでも言わんばかりのアクロバティックな攻撃動作で動き回る。

 もし普通ならば致命的なこれらの要素が飾りだと言うのなら、痛覚も感じなくして欲しいものだ。いやマジで辛い。腹がずっと痛い!あぁクソ!ストレスで頭禿げる!

 

「首晒せェェ!!!」

「うるせぇ!」

 

 振り向きと同時に向かってくるレユニオンの顔をぶん殴る。その時に相手の刃が腕を掠り小指と掌の端っこが斬り落とされ苦痛が増えるが関係無ェ!返す腕で更に殴り、殴って蹴って連続でぶん殴り続けて、さっきの奴と同じ様に蹴り上げ、蹴り落とす。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…スゥ……ハァァァァ〜……」

 

 眼の前で伸びるレユニオンを尻目に、思い出したかの様に息を吐く。

 ゲーミングと閃光から世界観を聞いた時から、こういう前世では無縁も無縁な戦闘をするだろうと覚悟していた。というか、転生とかいう不思議な現象に出会ったのだ。だから辛いモノだとわかっていながら、それでも俺はそんな非日常に期待していたんだろう。

 

「クソ!……自業自得も良い所だチクショウ!」

 

 ………ん?そういや痛みが…いや、胴体をバックリ裂いてた傷も服も治ってる。

 

「……そうか、ラウンド移行するからHPも全回復する訳だ」

 

 っいや、その前に逃げるか。死貴曰く、格ゲー的な概念が適応されるのは俺達自身の生死観と、俺達に加害される人間だ。まぁ簡単に言うならば、わざわざ第2ラウンドに付き合う必要は無いらしい。だから今回は遠慮無く逃げさせてもらおう。少し気になる事もあるし。

 

 気になる事ってのは、体を動かしていて…まぁ勝手に動いていた様なモンだが、わかった事があった。それは、まだこの体が全然本調子になれていないってこと。

 これについて1つ心当たりがある。原作である月姫…いや、メルティブラッドの方だったか?でのセリフでこう書いてあった。『ナイフを持てない自分は灯油の入っていないストーブ』だと。勿論、コレは七夜志貴の事を指している。まぁ可能性があると付け加える必要があるかもだがコレはまた後で。

 

 まぁ、こんな例えが用いられるという事は、七夜志貴はナイフを持っていないと本調子になれないという事だ。もしこの設定が俺達七夜改変にもあるのだとしたら……

 

「いやホント面倒くさいな?!」

「その感想ごもっともで」

「うあぁあァ?!ってゲーミングかよビックリしたわ!」

 

 突然背後から話しかけてくるな!心臓止まるかと思ったわ!

 

「武器なら奴らから奪えばいいだろう?刀身の長さは折って短くすればいい」

「っ…まぁそうだが」

 

 実際、さっき奪えばよかったんだが……そのまま第二ラウンドに入ってまた戦う事になる。あの痛みを感じてしまった後で戦うって選択肢は正直、なんて図太いセリフを言う度胸は持ち合わせていないな。どうやって誤魔化すか……

 

「成る程、逃げたのか」

「あぁそうだったチクショウめがァァァ!!!!」

 

 思考の共有ウゼェェェェ!!!

 

「フッ…取り敢えずついて来な」

「えっ、あぁ……」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 当たり前の様に建物の屋根を飛んだり走ったりしながら、これまた当たり前の様にゲーミングと会話する。

 

「どうだった、人生初めての殺し合いってのは」

「どうだったもあるか!最低だあんなの!」

 

 やっぱり、前世は本当に恵まれていたと実感できる。子供の頃にやった喧嘩なんて比にならない位の憎悪と殺意、そして痛み。今はもう引いて傷も治ったってのに、まだ体に染み付いている気がする。

 

「どうやら、お前にも痛みを伴うと言う事がどういう事か理解出来た様だな」

「……あぁ。そしてそれ以上に、この体が俺のモノじゃないと実感したよ。今だってそうだ」

 

 腹をぶった斬られたら、普通起き上がれる筈が無い。なのに俺の痛みもそっちのけで立ち上がって、体を酷使し始める。痛みで叫びたくなってるってのに声も出そうとしない。

 そして何よりも、そんな痛みを負っておきながら相手を倒すまで体を動かしているのは…そんな出来事があったにも関わらず、平然と思考を回し会話をしているこの精神は――

 

「紛れもなく俺なのが、怖いな」

 

 二次小説でよく見る憑依転生。あれらはテンポの都合上、殺しに戸惑いが無くなったり、人外であれば価値観がワンランク上位のモノに変わる…そうやって体に精神が引っ張られ性格が当たり前の様に変質する。それがまさか、実際はこんなに酷いモノだなんてな。

 

「だろうな。精神が上書きされるなんて事は、やっぱり創作の中だけだ。実際は体に染み付いた精神と、俺達が元々持っている精神。死貴曰く、それらが融合するんだとさ」

「あの人なんでも知っているな」

「伊達に最初に転生した七夜改変なだけはあるからな。だからそんなお前に、今度は俺からアドバイスだ」

「え?」

 

 なんだいったい……

 

「何か目標を持て。それも達成出来るか出来ないかの曖昧な、それ故にやる価値のある途方も無い目標だ」

「……それってただの紛らわしでは?」

「いや実際効果抜群だ。実際俺はそうだし、死貴や影夜はそれを無意識でやって克服してた。残りの奴らも只今実践中って所だな」

「うわっ、割と成果があるのがマジで胡散臭いな!詐欺みたいだ!」

「そこまで言わなくていいだろ?!」

 

 ……まぁ、やるだけやっては見るか。それでこの体と折り合いがつけれると言うのなら、この世界そのものにも色々言いたいが先ずはそっちを優先する。

 

「所で参考までに、ゲーミングの目標を知りたいんだが?」

「俺か?俺は――」

 

 ゲーミングが足を止める。俺もそれに倣い、ゲーミングと同じ方向を見た。

 

 そこには、レユニオンと彼らを包囲し敵対的な雰囲気を出している武装集団が居た。

 レユニオン達の中には、白ずくめではない女性1人とロリが1人。どう見ても人質だ。彼らと敵対している集団の周りには、少なくない数のレユニオンが伸びている。だがそれ以上に残っているレユニオンが多く、俺達から少し奥の屋根で恐らく奇襲しようとしている敵対集団の仲間らしき奴らも、攻めあぐねている様だ。

 

「この現状はアニメであったシーンでね。本来なら無事に彼女達を助けられるが…揺動で釣られた量が少なかったのか、元々の数が多くなっていたのか……」

「あぁ、つまりよくあるパターンだろ?」

「まぁそういう事だ……なぁウェン、俺の目標だったな」

 

 ゲーミングは片腕をポケットへ突っ込み、七色に光る刀身をしたナイフを取り出す。

 

「俺の目標は、目の前で起ころうとしている悲劇を跡形も無く殺す事だ」

「ちょっ?!」

 

 俺にそう言ったと思ったら、いきなり走り出した。しかも奥の方の屋根でスタンバっている集団の方向へ。ほら、集団も向かってくる虹色に驚いてるぞ。

 

「人質は頼んだぞ!」

「なっオイ――?!」

 

 下のレユニオン達にバレる事も厭わずに大声で集団へ叫ぶと、そのまま屋根から飛び降り、何も持ってない方の手をポケットへ突っ込み更に4本のナイフを取り出す。

 落下しながら、それを驚いているレユニオン達へ投擲。ナイフは4人のレユニオンの頭を貫き、そのまま地面へぶつかって綺麗に跳ね返り、更に3人の頭と1人の肩を貫いてKOさせる。

 

「上から降って来た?!」

「お、お前ら怯むな!殺せ!」

 

 着地による隙を狙おうと、7人のレユニオンがゲーミングへ襲いかかる。が、

 

「き、消えた?!」

「なんだ?!奴は何処に行った?!」

 

 いやホント何処行ったあの人?!完全に消えたぞ?!

 

「終わりだ!」

 

 次の瞬間、何も無い所から虹色の光を散らしながらゲーミングが姿を現し、7人のレユニオンへ高速接近。手前から順に、先ず赤色の斬撃で真っ二つにし、次の奴を橙色の刺突で風穴を開け、次の奴をジャンプで飛び越えつつ縦に回転しながら黄色い斬撃で首を跳ね、2人で固まっていた奴らを緑色と水色の斬撃で薙ぎ払い、次の奴を今度は青色の斬撃で下から斬り上げ縦に真っ二つにし、最後の1人へジャンプしながら突っ込み紫色の斬撃で首を刈り取った。

 

 流れる様な殺戮と、似合わな過ぎる色とりどりなエフェクト。そして撒き散らされている血液が虹色に光る液体に変わっていて、切断面も全て虹色になっているという異常極まる極彩空間。

 それらの光景を作り出したゲーミングに対し、その場の人間全員が息を呑んだ。無論、俺も。

 

「これが、七夜の体を使いこなした動きだって言うのか」

 

 少し前の俺の動きとは大違いにも程がある。流石先輩転生者だ。今の俺がこの手にしっくり来るナイフを持ったとしても、こんな動きは出来っこ無いだろう。

 

「……さて」

「―ヒッ、くっ来るなァ!!じゃねぇとこのおお女をォ―ガッ?!」

 

 ロリを抱えたレユニオンが錯乱しながらロリへ向かって刃を振り上げようとした瞬間、屋根から背後へ降りてきた武装集団に残りの奴ら共々呆気なく鎮圧される。

 ……いや、1人だけ叫びながら走り出した。肩から虹色の血を垂れ流しながら、蹌踉めく足で何とか逃げようとしている。

 

 ハァ……可哀想に見えるが、そのままどっかで野垂れ死ぬよりかはマシだと思ってくれよ。

 

「ヒィィ?!なんなんだよ?!なんで同じ顔の――」

「悪いね☆」

 

 彼の目の前へ飛び降り、一応軽く謝りながら、すかさず蹴りを胴体へ打ち込む。呆気なく意識を手放したレユニオンを、俺は支えてゆっくりと地面へ降ろした。

 

「いやぁ、いい蹴りだったぞウェン」

「そりゃどうも。アンタも、流石経験者って感じの――」

 

「お前達、そこを動くな!」

 

 反射的にゲーミングへ向かって動かしていた足を止める。ゲーミングの方は、ナイフを躊躇無く捨て両手を上げ、戦闘の意思が無い事を示している。

 

 そして、俺達に警告をした犬耳を生やした女性と、その周りにいる武装集団…屋根から奇襲をかけた、女性の仲間と思われる厳つい男が率いた別部隊の面々からは、凄い警戒されていた。まぁ当たり前だろうな。

 

(う〜ん、ラウンド移行で奴らが起き上がる前に拘束しておきたいんだが……)

(じゃあこの状況何とかするしか無いだろ。何か案くらいは……まて、まさか…)

(あぁ、そのまさかだ。君に俺の目標を見せたいだけで動いたよ)

(つまりこの先どうするか何も考えてないんだなチクショウ!!!)




格ゲー仕様の適用…簡単に言えば、彼ら七夜改変転生者の生死の概念と、彼らが加害する命の生死の概念が格ゲーの様になる事です。彼らが誰かを殺したとしても、殺された人間は死んでいないし、例え17分割されていようと元の形に戻って蘇ります。この蘇り現象が『ラウンドの移行』であり、戦闘していた七夜改変とその相手の状態がリセットされ、もう一度戦う事になるのです。
 そして、生殺与奪が格ゲー仕様であるが故に、七夜改変の人達は相手をどれだけの回数殺してもKO…つまりはノックダウンさせる事しか出来ない訳です。ただ偶数回目のKO時のみ、相手が気を失ってる時間が長いだけです。まぁ、KO判定を出さなければ彼らでも命を殺せますけどね。例えば試合そのものを消し飛ばすタイプの隔離とか。そして七夜転生の一部の七夜が持ってるアレとかでも殺せたり。
 ですが、相手が七夜改変を殺す場合、少々仕様が違います。七夜改変が殺された場合、ラウンド移行で一回は帳消しに出来ますが、ラウンド移行後の2回目だと、本当に殺されてしまうのです。まぁ簡単に蘇りますが、格ゲーで言う所の1試合が1日の扱いになっている為、次の試合に出る=明日になるまで蘇られないのですね。因みにですが、七夜改変達はどんな傷を負ってもそれが生きている状態であるならば、負荷を気にせず体が常に元気な状態であるかの様に行動します。
 また、これらの格ゲー使用は生死の概念だけなので、第二ラウンドへ移行している間に試合放棄して逃げても、ペナルティなどは一切ありません。殺し方、殺され方も格ゲー仕様ではなく、相手も七夜も首をもがれたりしたら普通に死にます。まぁ七夜改変達を傷つけるには防御性能を突破しなければなりませんがね。影夜試験体とか退魔七夜は割と面倒くさい防御性能しているし。


 今回はMUGENの用語解説ってわけでは無いですが、作中のオリ設定が分かりづらいかもって思ったので書きました。正直ちょっと複雑にし過ぎたと思ってる。いや本当にすまない。
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