リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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プロローグ
目覚め


 俺は、いつも通り寝たはずだった。

 

 朝……かどうかは分からないが、眠りから目覚めて学校へ行く準備をしようと思ったら、自分が得体の知れない液体の中に居ることに気が付いた。

 

 誘拐かと思ったが、こんなそこらにいる平凡な男子高校生を攫う意味が分からない。

 

 しかも、何故か息が出来ている。俺って知らない間に人間辞めてたのかな?

 空気ないのに息が出来てて違和感ありすぎて、なんか気持ち悪さを感じる。

 

 そして、俺が入って眠っていた試験管っぽい何かの前には何人かの人がいた。

 

「ふは、ふははははッ! いいぞ……いいぞぉ……ッ!?」

 

 ……なんかハゲの変人がいる。

 

 そう思っていると、俺の入っていると思われる試験管もどきのガラスに俺の顔が反射されて見れた。

 

 ……誰? この青髪美少女。

 

「成る! 成るぞぉッ! 『Project:Revive Life』は今日、ここに成る! このバークス=ブラウモンの手によってだ……ふはははははははははははは――ッ!」

 

 ……おい待て。待て待て待て!

 いきなり情報が多すぎるッ!

 

 『Project:Revive Life』? バークス=ブラウモン?

 

 それを聞いた瞬間、最悪の考えが浮かんだ。

 

 もしかして……『ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード)』の世界に転生しちゃってたり……?

 

「流石はバークスさん、お見事な腕前ですね」

 

 もし、この世界が本当に『ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード)』、略してロクアカの世界なら、今バークスを褒めた青髪の青年がライネルか。

 

 なら、あっちで拘束されて吊るされてる金髪美少女はルミア……。

 

 ならあっちにいる俺と全く同じ顔の女の子がリィエル、だな。

 

「リィエル、大丈夫かい?」

「………」

 

 ああ、完全にロクアカだ。本当に意味わかんねぇけど。

 

 なら俺は、ライネルとバークスによる『Project:Revive Life』で生み出されたリィエルのコピーであるリィエル・レプリカって事か?

 

 いや、まだだ。まだ、この状況が夢の可能性があるんだ。

 そうだ、きっとそうに違いない!

 

 こんな事が現実であるわけが――。

 

ゴゴゴゴゴ…………。

 

 そう夢だと願ったとき、地鳴りが鳴り響いた。

 

 うん、この音。この迫力。

 ……間違いなく現実だ。

 

「何事だ!?」

「今、遠見の魔術で確認しました……侵入者ですわ」

「何だと!? 馬鹿な! どうしてここが割れた!? そんなはずはーー」

「……はて?」

 

 ああ、あっちの黒髪の人はエレノアか。

 

 全員個性豊かだなぁ。

 流石は二次元のロクアカ世界。

 

「あらあらまぁ……近接格闘戦で殴られたあの時ですか……油断しましたわ。流石は帝国宮廷魔導士団特務分室《星》のアルベルト様……。一杯食わせたと思っていましたが、一杯食わされたのはどうやら私の方だったみたいですわね。お見事」

 

 あ、アルベルトも居るのか。

 

 アルベルト……絶対に敵に回したくない。

 

 グレンがもしかしたらセリカを殺れるかもと思った奴だし? もし戦ったとしても勝てるわけ無いし!?

 

「そ、それは一体、どういうことだ!? エレノア殿ッ!」

「さぁ、どういうことでしょうか」

 

 あ、誤魔化した。

 

「とにかく敵勢力は二名。帝国宮廷魔導士団、特務分室のエース、アルベルト様と、帝国魔術学院魔術講師、グレン様ですわ」

「……ッ!?」

「……先、生……?」

「グレン……だと? まさか、生きていたのか……?」

 

 この世界の主人公(タイトルロール)、グレン先生だ! ……いや、実際には会ったことないけど。

 

「……先生……ッ! よかった! やっぱり――」

 

 美少女の泣き笑い、いいなぁ。

 

 ……うん? 少し考えてみよう。

 

グレン先生がここに来る。

 ↓

リィエル vs グレン先生。

 ↓

リィエルの説得完了&ライネルの本性が分かる。

 ↓

リィエル・レプリカ(一人が俺)三体 vs グレン。

 ↓

リィエル・レプリカがリィエルによって瞬殺。

 

 

 ………あ。……俺、殺されるやんッ!

 

 ヤバイヤバイヤバイッ!

 冗談抜きでガチめにヤバイッッ!

 

「まだ、儀式の完遂まで時間がかかりますわ。それまでにこの部屋に至られると、儀式を台無しにされる恐れがあります。いかがいたしましょうか?」

「くぅ……おのれぇ、政府の犬共め……ッ!」

 

 けど、この儀式がまだ終わっていないのが俺にとっても問題だ。

 

 儀式がまだ完全じゃないからか、全身が金縛りにあったみたいに全く動かせない。

 

 つまりこのままだと、死ぬ。

 

 ……人生がいきなりルナティックモードになったんだが? 難易度調整ミスってない?

 

 けど、まだ現実味がないからか案外冷静に考えられているのが救いだな。

 

 どうしようか考え始めると、バークスが呪文を唱えながら指を動かして何かの操作を始めた。

 

「いいだろう! 情報によると、奴らがいるのは、まだこの中央制御室からは程遠い第四区画――あそこならば、対処は容易い! 私の作品で蹴散らしてくれるわ!」

「作品、とは?」

「ふふふ、あの区画には私が作った無数の合成魔獣(キメラ)が封印されているのだよ。その合成魔獣(キメラ)どもの封印を解き、連中にけしかけてくれるわ。これでいい……さぁ、行け……私の最高傑作達……ッ!」

「僭越ながら、そんなもので彼ら二人……特にアルベルト様が止まるとはらとても思えませんが」

「そんなもの、だと……?」

 

 いや、こんなとこで喧嘩されても困るんですけど。

 

 こっちもこっちで身体動かせないし。どうやって逃げろと?

 

「エレノア殿……貴様、私の合成魔獣(キメラ)作製の腕を疑っておるのか?」

「いえ、そうではありませんが……アルベルト様は帝国宮廷魔導士団のエース。帝国軍において最高クラスの魔導士ですわ。それに、グレン様とて元・魔導士……」

「ふん。何が魔導士だ。魔導士など所詮、魔術を戦にしか使えぬ低能共ではないか。真の賢者たる魔術師の敵ではないわ」

「………」

「まぁ、そこで見ているがいい」

「はぁ……それでは、ゆるりと拝見させていただきますわ」

 

 あー……俺、位置的に丁度見えないところに映像が流れる画面があるんだが? 放置?

 

 ……こんな状況だけどさ。

 それでもロクアカファンとして俺も戦闘シーン観たいよ……。

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