リィエル・レプリカと転生日誌 作:氷月ユキナ
……無理ぃ。
何? 何なの? 何なんですか? 三段活用ッ!
こんなのおかしいって。
ジャティスの授業は、分かりやすかった。
けど、鬼畜。
アルザーノ魔術学院に到着するまでずっと数秘術の使用方法について教えられた。
そのせいで今は頭の中が数字だらけで滅茶苦茶になってる。
ああ、肝心の数秘術はジャティス程ではないけど使えるようになったよ。
具体的に言えば、戦闘時に次に相手がどう動くか位は読めるようになった。
……ジャティスみたいな複数の人の未来の完全予測は無理です、はい。
ジャティスの規格外さを思い知ったよ。
「ティア、大丈夫かい? 後、数分後にアルザーノ帝国魔術学院に到着するよ」
「ん、分かった。準備する」
ま、準備と言っても自分のメイド服を整えて馬車の中でスタンバって、違和感を感じさせないように脳内でこれからどうするかをシミュレートするだけだ。
シミュレートと言っても、こういうことが起こったらこういう風に対処しようとか、そんな感じ。
口調もリィエルみたいに変換されて変えられないし。
「ティア、良いものを渡しておこう」
「? 良いもの」
「ああ、これさ」
渡されたのは……眼鏡?
「それは僕の眼鏡のスペアを君用にサイズを合わせたものさ。ぴったりだと思うよ」
「……なんで眼鏡?」
「それを付けていれば、絶対に正体がバレないからさ」
それなんて名探偵?
「……ん、了解。着ける」
……さて、ようやくアルザーノ帝国魔術学院に俺が到着するのか。
ロクアカの5巻、折角だから盛大に活躍しよう!
…………活躍できたらいいなぁ。
■□■
「どぉわぁあああああーーッ!? 馬ぁあああああああーーッ!?」
魔術学院に到着した途端に大きい悲鳴が聞こえた件。
何かと思って外を見たら、いきなり登場グレン先生!
……どんな登場の仕方してるんだよ。
「もう、先生ったら何をやってるのよ!? あやうく人様に迷惑かけるところだったじゃない!」
システィーナも来た! 早速原作キャラが登場したね。
そのシスティーナ……白猫でいいや。
白猫はジャティスに頭を下げた。
「すみません! この人には後できつく行っておきますので――」
「…………」
「え、ええと……? その……」
……何か言ってあげてよ。白猫も気まずそうじゃん。
「ははは……この学院に着いて早々、真っ先に君に会えるなんてね……」
その気まずい雰囲気の中に、レオスが馬車から降りて乱入した。
「これには流石に、私も運命というものを信じてしまうかもしれない」
運命か。……運命じゃなくてこれもジャティスの計算で成り立っている状況だったりするのかな……?
「久しぶりですね、システィーナ。君は相変わらず元気がいい。……まぁ、そこが貴女という女性の魅力的なところでもあるのですが……」
「あ、貴方は――」
白猫とレオスは二人だけの世界で、無言で見つめ合っている。
その隙に馬車から降りるタイミングを完全に見失っていた俺は、これ幸いとそっと馬車を降りた。
「……え? 何? 何なの? この空気?」
……グレン先生、KYなん?
少しは空気読んでよ。
「そもそも、アンタ……誰?」
「……私ですか? 私はレオス……レオス=クライトス。この度、この学院に招かれた特別講師で……そうですね、有り体に言えば……そう、そこの娘――システィーナの
そんなレオスの一言に。
「「「「「えええええええええええええええええええええええええーーッ!?」」」」」
この騒ぎを見ていた生徒が、叫んだ。
「……うるさい」