リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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ホテルにて

 リィエルにお礼を言って別れた後の夜。

 

 俺はジャティスとレオスとの三人で、フェジテ内の上流階級用の高級ホテルに泊まっていた。

 

「どうだったかい? レオス」

「やれやれ……貴方の言うとおりでしたよ。 貴方の筋書き通り、グレンという男がしゃしゃり出てきました。すごいですね……かなりの確率で決闘を仕掛けてくるという貴方の読みは……預言者ですか?」

「そうじゃない。僕がやっているのは、ただの行動予測さ。まぁ、ちょっとした裏技で僕は人よりかなり高い精度で、それができる……ということは否定しないけどね。 あの男は未だかたくなに、あの娘のことを『白猫』と呼んでいる。故に相当な高確率でそういう展開になると計算結果が出ているんだ。ハハハ……なんとも皮肉で涙ぐましいものさ。あの男は彼女が『白猫』であり、()()()とは違う……無意識のうちに、自分にそう言い聞かせているらしいね」

()()()とは……?」

「おっと、それはこっちの話だ。()()()()()()()()

「……()()()()()()()()

「まぁ、それにしても……なんとも上手く釣れたものだな。グレンを『その気』にさせるシナリオは、この他にも数十パターンほど用意していて、いざとなればティアにも行動してもらう気だったが……まぁ、手っ取り早くていいさ。多少、拍子抜けするけどね」

「ええ、そうですね。今回の件で、私は必ずシスティーナを落としてみせます。彼女を私の物にすれば、フィーベル家も手に入る……あの魔術の名門フィーベル家が私の傘下に入れば、クライトス主家筋の権威は絶対的なものになります。あの忌々しい分家筋の連中を完璧に黙らせ、クライトス伯爵家は、いずれ完全に私のものとなるでしょう」

「………」

「そう……クライトス家は、この世の栄光は、全て私のものなのです……ッ!」

「そう、それでいい……レオス。グレンを相手にせいぜい踊れ……君は僕の『正義』の礎となるんだ……。そうだ、ティアはどうだったかい? 初めてアルザーノ帝国魔術学院に行った感想は」

 

 え!? 黙って二人の会話聞いてたら話がこっちに来たんだけど!?

 

「……ん、食堂の苺タルトが美味しかった。また食べたい」

「……そうか。それで? 君のオリジナルである、リィエル=レイフォードとは会ったかい?」

「ん、会った。迷ってたおれを案内してくれた」

「そうか。まあ、"読んでいた"けど。だが、この学院に居ることができる時間は短いからね。今のうちに楽しんでおきなよ」

「……ん」

 

 そっか、リィエルと居られる時間は短いからなぁ。

 

 学院にずっと居たいなら、グレンに全部話して助けてもらうっていう手もある。

 

 けど、裏切ってグレン側に着くのはやっぱり"面白くない"。

 

 ……あ、そういえば。

 

「ねぇ、ジャティス。()()()って、セラ?」

「うん? ああ、そうだよ。"セラ=シルヴァース"、風の魔術の天才さ。グレンは彼女に惚れててね。だが、ある事件で僕が彼女を殺してしまったんだ。僕がグレンを殺そうとしたときに、彼を庇ってね」

「……ジャティス。セラについて、少し聞かせて?」

「セラ、か。そういえば、君はリィエルの記憶を持っているんだったね。ああ、いいだろう。聞かせてあげるよ」

 

 お、ダメ元で聞いてみたけど案外頼んでみるもんだな。

 

「彼女は帝国宮廷魔道士になる前は、南原の一族シルヴァースの最後の姫だったんだ。彼女の故郷であるアルディアはこのアルザーノ帝国と昔、盟約を交わした。だが、この帝国はアルディアが隣国であるレザリア王国に攻められ、ピンチになった時に見捨ててしまい、アルディアは滅亡した。彼女は、そんなアルザーノ帝国がアルディアを取り戻してくれると信じながら、帝国宮廷魔道士として戦い続けていた。だが、僕が前にグレンを殺そうとしたときに彼を庇ってね。死んでしまったんだ」

「……ジャティス。一つ、お願いがある」

「うん? なんだい?」

「これが終わったら、フェジテを発つ前に――」

「――あぁ、分かった。あまり時間は取れないが、それでも良いならやってあげるよ」

「ん、大丈夫。ありがと、ジャティス」

「君は僕の正義を手伝ってくれているからね。この程度の事は当然さ」

 

 よし、これで完璧だ。

 

 待ってて、リィエル。最高のタイミングで思いっきり裏切るから。

 

 そうなった時、リィエルはどうなるのかな?

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