リィエル・レプリカと転生日誌 作:氷月ユキナ
システィーナを奪い合う魔導戦術演習が始まるまでは、割とのんびりしていた。
いや、ホントにやることないし。
強いて言うなら、リィエルと仲良くなることぐらい?
それについては、リィエルに魔術の勉強を教えてもらうぐらいになったよ〜。
説明がアバウトすぎて、伝えたいことが全く伝わってこないけど。
他に言うなら、グレン先生にドキンとさせられた程度?
……いや別に恋とかそういう意味じゃないからね?
ただ、
「お前、リィエルに似てんだよな」
って言われたから。いつかはツッコまれるとは思ってたけど、流石にびっくりした。
その時は、どうしようこの状況?? ってパニクったし。
「……おれにはよく分からないけど、似てる?」
「ああ、そっくりだ……なぁ、『Project:Revive life』って言葉、知ってたりするか?」
「……しらない」
「……そうか、分かった。意味わかんねぇこと聞いちまって悪かったな」
「大丈夫、問題ない」
「そうか。サンキュな」
……みたいな会話があった。
白を切るしかないと思って誤魔化したけど、グレン先生は変な場所で鋭くて怖すぎ。
後は、ジャティスに帝国宮廷魔道士団に『
けど、『ここで気付かれるのは、"読んでいた"からね。この程度は計算内さ……くっくっく……』とも言ってたし、ジャティスなら大丈夫でしょ。
そんなこんなで、魔導戦術演習の当日の午後。
リィエルと苺タルトを食べた後、レオスの馬車(生徒たちは駅馬車)に乗って、イサール街道っていう道を通り、その北側にあるアストリア湖の南にある広場に着いた。
決闘ってこんな場所でやってたっけ? 細かい地名の名前とかは流石に覚えてないんだよなぁ。
「しかしな……グレン先生……マジでマジなのかな……?」
「システィーナのやつ、もし先生が勝ったら、どうする気なんだ……?」
「さすがに、グレン先生は口で言ってるだけだろ……?」
「いやいや、本気かもしれないぞ? だってグレン先生だし……」
……う〜ん、なんだこの居心地悪すぎる空気はッ!
っつーか、グレン先生の評判悪すぎない? ……いや、それは仕方ないか。普段の行い悪いし。
「つーか、そもそも先生はどうしてレオスに決闘なんかふっかけたんだ? いくら逆玉狙いつっても、あのものぐさがりがそんな面倒ごとに首を突っ込むのも妙じゃねえか?」
「まさか……先生、本気でシスティが好き……なのかなぁ?」
「うーん……あの方は、もっと年上の女性の方が好みのような気がするのですが……」
「キャーッ! キャーッ! 禁断の恋愛よーッ! 生徒と先生の禁断の恋愛よーッ!」
「ウェンディ……君、そればっかりだね……」
う〜ん。現時点ではどっちかっていうとグレン先生がシスティーナを好きなんじゃくて、システィーナがグレン先生の事が好きだと思うけど。
……どっちにしろ、生徒と先生の禁断の恋愛なのは変わらないか。
「うるさいぞ、貴様ら! 静粛にしろ!」
ッ! ……前世で怖い先生に怒られたの思い出しちゃったよ……。どーしてくれるんだハー……あーっと……ハー、なんだっけ?
あの先生の名前が思い出せない……!(※ハーレイです)
ハーなんとか先生の名前をなんとか思い出そうとする俺に気づかず、ハーなんとか先生は説明を始めた。
「早速、これから魔導兵団戦を始めるが……まぁ、生徒諸君らはこの魔導兵団戦演習に参加するのは初めてだろうから、この私が改めてルールを説明してやろう。この魔導兵団戦で大きな怪我の心配はない。何しろ、使用可能な魔術は初等魔術のみ。微弱な電気線を飛ばして相手を感電させる【ショック・ボルト】、激しい音と振動で相手を無力化する【スタン・ボール】など、殺傷力が低い学生用の
「はい、もし怪我をされた方は、遠慮なく申し出てくださいね」
あ、持病で血吐きまくる人だ。意外と美人。
「さて! この演習場は、北はアストリア湖から西へと流れるヨーテ河、南は東へ伸びるイーサル街道までと決められている! それらを越えて行動したものは『敵前逃亡』と判定して即座に失格とみなし、チームの減点と共に今回の演習から脱落する! この地図を見ての通り、北東に環状列石遺跡が一つ、南西にも環状列石遺跡がひとつある。これをそれぞれのチーム根拠地とする。今回はレオス先生の根拠地は北東、グレン=レーダスの根拠地は南西だ。地形的に――」
なんか他にも色々と説明していたが、原作読んで殆ど知っているので聞き流します。
「――今回は担当講師の命令を聞いて行動するだけの生徒諸君にとっては詮無きことだがな」
「いやぁー、懇切ご丁寧な解説、どうもあざっす! 先輩!」
あ、話終わった? ならさっさと魔導兵団戦始めてくれない? ずっと立ってて足痛くなってきた。
「……ふん! グレン=レーダス、貴様、聞いたぞ? レオス殿の許嫁のとある女子生徒に粉をかけているんだとな? それで、その女子生徒をかけて、レオス殿に喧嘩をふっかけ、今回の魔導兵団戦で勝負を決するとか……。レオス殿はわかる。彼は大貴族の嫡男でありすでに許嫁がいてもなんらおかしいことではない。だが、貴様は貴族でも何でもない、ただの教師だろう!? 教師が生徒に手を出すとは何事かッ!? しかも逆玉狙いだと? 恥を知れッ!」
「あいやー、ハーベスト先輩もしってらっしゃいましたかー? いっやー、逆玉ってんのも美味しいですけど、やっぱり若い子ってのがいいですよねー? ピチピチだし。何より自分色に自由に染めてやれるって言うのがもう、これが背徳的で蠱惑的で、ぐっへっへ……」
「……うわぁ」
声が出ちゃうほどクズだなぁ。
え? これ本当にシスティーナを助けるためなの?
絶対に本音が混じってるよ……。
「な、なんて下賤な……貴様はどこまでクズなのだ……ッ! 後、貴様、頭に『ハ』が付けば何でもいいって思ってるだろ……ッ!? レオス先生! 本日は期待していますぞッ!? この魔術師としての誇りも分別のかけらもない最低男に一泡吹かせてやってください! 先生の最新の軍用魔術研究の威力で、このふざけた男に手厳しい教訓を与えてやってください!」
「ええ。もっとも……私には負けられない理由がある。言われずとも全力でお相手させていただきますよ」
「……ふん」
おお、なんかレオスとグレン先生が睨み合ってバチバチしてる!
「あ、あの……レオス……私……」
「気にしなくてもいいですよ、システィーナ。 あなたは、あなたのクラスのために全力を出してください。私を気にかける必要はありません。あなたが私に立ち向かってくるのも、また試練なのでしょう……私はきっと、それすら超えて勝利を、そしてあなたを勝ち取ってみせます。だから安心してください」
「レオス……」
うわぁー、いい感じの空気だな。キラキラしてる。
それに比べてグレン先生は……。
「俺、うまく逆玉に乗れたら何しよっかなぁーっ!? 何せ、もう働かなくてもいいんだしなーっ! 遊んで暮らすぜ、わっはっは!」
「あはは、先生ったらもう……まだ、勝負は始まってもいないんですよ?」
「お、そうだ! せっかく逆玉で金に余裕できるんだし、ルミア、お前を俺の妾にしてやろうか? んー?」
「えっ? 私が先生のお妾さんですか? ……ふふっ、それもいいかもしれませんね? 期待してます、先生」
……俺はレオス陣営だし、本気で勝ちに行ってもいいかな? いいよね? よし、潰そう。
「ティア、めかけって何?」
「……リィエル!?」
え、何時から居たの!? ……いきなり出てくるのは止めてほしいなぁ。
「えっと……お嫁さん?」
「……よくわからない」
「そう。……おれにもよくわからないから、グレンに聞いて」
困ったときは、グレン先生に押し付けよう。ロクでなしだし良いよね!