リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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魔導兵団戦 1

 はい、魔導兵団戦スタート!

 

 え、軽い? ……だって本当にそんな感じで簡単に始まったんだもん。

 

 さて、暇だし実況でもしてよう。

 

 まず、こっちと向こうのクラスはそれぞれ40人。

 

 グレン勢力は、中央の平原に12人。北西の森に8人。東の丘に1人(リィエル)だ。

 

「……レオス。どう思う?」

「愚策ですね。戦力の逐次投入は下策――古き時代の兵法の基本ですが、これだけは魔術が主体となった現在の戦場でも変わりません。皆さん出撃です」

 

 レオスは、中央に18人。森に12人。丘に9人の全戦力を投入した。

 

 しかも、レオスの生徒は三人一組(スリーマンセル)一戦術単位(ワンユニット)での戦い方を学んでいる。

 

 これで、相手は自分たちを上回る戦力で撃破される――相手がグレン先生じゃなければ。

 

 

■□■

 

 

二人一組(エレメント)一戦術単位(ワンユニット)……」

 

 グレン先生の生徒は、二人一組(エレメント)一戦術単位(ワンユニット)三人一組(スリーマンセル)一戦術単位(ワンユニット)のレオスの生徒と互角に戦っている。

 

 普通はレオスの三人一組(スリーマンセル)一戦術単位(ワンユニット)のほうが強いはずだけど、生徒からしたら簡単な二人一組(エレメント)一戦術単位(ワンユニット)を練習したほうが強くなれるって事だな。

 

 うんうん、原作通り。

 

「くっ……してやられましたね……まさかこんな大胆な手を打ってくるとは……」

「ん。このままじゃ拙い」

「ええ、全戦力投入が裏目に出てしまいました。くっ……兵の拠点制圧はどうなっていますか? 敵は一人だったはず……まだ、制圧できないのですか?」

 

 レオスは焦りながらも、宝石型の通信魔導器で連絡を取る。

 

 いや、そっちは無理でしょ。リィエル相手だよ?

 

『そっ……それが……無理です! 丘の拠点制圧なんて不可能です! 僕たちには無理です!』

「どういうことですか! 相手はたった一人なのでしょう!?」

『で、でも……相手は一人ですけど……ば、化け物です!』

 

 化け物は酷くない? それを言ったら、リィエル・レプリカの俺も化け物になっちゃうんだが。

 

 けど、俺の知識だと、この魔導兵団戦でリィエルが使える攻性呪文(アサルト・スペル)は【ショック・ボルト】程度だったと思うし、それも全く敵に当たらないから脅威としては微妙なんだよな。

 

 レオスは黒魔【アキュレイト・スコープ】でリィエルを見ているけど、どうかな?

 

「どう? レオス」

「あの子の身体能力は規格外ですね……身体能力強化の白魔【フィジカル・ブースト】をここまで使いこなせるとは厄介です……彼女は軍関係者か何かでしょうか……?」

 

 関係者どころか特務分室の執行官ナンバー7なんだよなぁ。

 

 けど、一応生徒だから文句も言えない。ざけんなって感じだけど。

 

「ですが、幸い、彼女は白魔【フィジカル・ブースト】のみのせいだと断言できます。この状況で手加減をして、私のクラスの生徒達を討ち取らない意味はない……。きっと、彼女は攻性・対抗呪文(カウンター・スペル)が極端に苦手で、攻撃能力はほぼ皆無……つまり、私の陣営から戦力を引っ張るための餌……私はまんまとそれに喰らいついてしまったというところでしょうか」

「……ん、おれも同意見。レオス、早く撤退して」

「くっ……もちろんです。リトさん、撤退です。その丘は放棄、まずは根拠地へと帰還を。……大丈夫ですよ。その子は無視してかまいません。恐らく追撃はしてこないでしょう……」

 

 よし、取り敢えず丘の生徒は撤退させた。

 

 んじゃ、次にやることは……。

 

「レオス、被害はどうなってる?」

「聞いてみます。平原の被害はどうですか?」

『はい! えっと、こちらは5人やられてしまいました……。けど、こちらも2人打ち取りました』

「了解です。森はどうなっていますか?」

『3人やられてます。しかも、こっちは1人も打ち取れてないです……』

「……分かりました」

 

 つまり、これで32対38か。このままだとグレン先生にやられるな。

 

「レオス、どうする?」

「丘は手は出せないので放置しましょう。中央からは、狙撃を警戒する必要があるので攻められません。なので、私達の戦場は……」

「……森。けど、それは……」

「わかっています……これはグレン先生の思惑通りの展開だと言いたいのでしょう……。ですが、わたしは魔導兵の森林戦術にも詳しいです……戦術研究者として、相手の思惑に上手く乗せられてしまったのは屈辱ですが……まだ、取り返せます……ッ!」

「……そう」

 

 森にグレン先生とレオスの戦力が集中し、徐々にレオスが圧倒し始めたときだった。

 

『たっ、大変です! レオス先生ッ!』

「……どうしました、ルキオさん」

『そっ……その……し、信じられないんですけど……グレン先生が……俺たちの前に……森の戦場の最前線に姿を現しました……ッ!』

「……は?」

 

 あー、やっぱり来たか。

 

 いやぁ、レオスからしたら意味わかんないよな。

 

『ふっははははははははははははははーーッ! 刮目せい、皆の衆ッ! グレン=レーダス大先生様軍の総大将はここにいるぞぉおおおおおーーッ!? 我こそと思う者は、この俺を討ち取ってみせよッ! だっははははははははーーッ!』

 

 ……通信魔導器からの声だけでもウゼェ。

 

 しかもレオスの陣営が押し返され始めてるし……なんだコレ。

 

「いけません! グレン先生はオトリです! 恐らく、こちらの戦力分断が目的、相手にしてはいけません! この戦いにおいて指揮官の魔術使用は、 遠見と通信の魔術以外禁止されています! 放っておけば、何の被害もありません! 無視するんです! …… 指揮官自ら最前線で囮になる戦場なんて、聞いたことがないです……グレン=レーダス……何なんですかこの人は……?」

 

 はぁ、そろそろ助け舟でも出してあげようかな?

 

 

■□■

 

 

「仕込んでいましたねッ!? 最初からッ!」

 

 はい、グレンが前もってそこら中に仕掛けておいた罠でレオスの生徒を無力化してます。

 

 明らかに反則だけど、証明できないからこっちから批判できないし。ウゼェ。

 

「くそ……グレン先生……ッ!」

「……レオス。グレンに連絡を──」

「分かっていますッ! ……貴方、あらかじめこの戦場に細工をしていましたねッ!? だから、森に主戦場が移るような立ち回りを……ッ!?」

『はーて、何のことだか私にはサパーリ』

「なんて卑怯な……ッ! 貴方に魔術師としての誇りは──」

『えええーーっ!? 卑怯!? いやいや、これはまたなんとも心外な……たまたま誰かが趣味でこの森の中に仕掛けていた罠が、たまたま作動して、レオス先生の陣営の足をたまたま引っ張ってるだけですよね? たまたま』

「やはり、貴方のような魔術師としての矜持も品性の欠片もない下劣な男にシスティーナは渡せない……ッ! そんな卑怯な手で掴んだ勝利に何の意味が……」

『何言ってんだ、バーカ! 逆玉で夢の引きこもり生活バンザイじゃねーか!? だぁーっはっはっははははははははははははははははーーッ!』

「……レオス、うるさいから通信切って」

「……えぇ、もう付き合いきれません」

 

 さて、俺はどうするか。

 

 このままレオスが負けるのを見ているだけでもいいが、そんなの"面白くない"。

 

 っつー訳で、俺の愉しみの為にも、もうひと頑張りしてもらうよ? グレン先生。

 

「レオス」

「ティアさん? 何ですか?」

 

 さぁ、勝ってみせてよ。グレン=レーダス(主人公)

 

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