リィエル・レプリカと転生日誌 作:氷月ユキナ
今、グレン先生が黒魔改【イクスティンクション・レイ】を使ったらしい。
観えてないから多分だが。
「……ば、……馬鹿なッ! 黒魔改【イクスティンクション・レイ】だと――ッ!? アレは、一昔前、セリカ=アルフォネアとかいう阿婆擦れが作った、限りなく
タダのロクでなしな魔術講師だよ。
少し世界最高の魔術師であるセリカ=アルフォネアの弟子で、元・帝国宮廷魔導士団特務分室所属執行官ナンバー0《愚者》であり、そして■=■■■■と契約して
……一体これのどのへんが一般人なんだろうか。
疑問になってきた。
「落ち着いてくださいませ、バークス様。魔術師にとって、相手が思いもよらない切り札を隠し持っておくことなど実に基本的なこと。むしろ、グレン様にあのような恐るべき術をあの場で使わせたこと、勝利と呼んでも差し支えございませんわ。それよりも、バークス様。いかが致しましょう。あの区画を突破されてしまいましたら、この中央制御室まではもう、目と鼻の先――早急に対処する必要が御座います」
「そんなことは、わかっておる!」
バークスとは違ってエレノアはちゃんと冷静だな。
よし、エレノアを俺の戦いたくない内の一人に入れておくとしよう。
ついでに戦いたくない人の中にはアルベルトも入ってるよ。
「おい、そこの貴様!」
「……はい、僕に何か御用でしょうか?」
「後に残った儀式の細かい調整は任せる! お前でもそのくらいはできるだろう?」
「できますけど……バークスさんはどうするのですか?」
「ふん! 私自ら政府の戦争犬どもを駆逐してやろうというのだ。魔術を戦争にしか使えぬ能無し共に、真の魔術師の威力を教育してやるのだ! エレノア、お前も来い!」
「畏まりましたわ、バークス様」
そう話し、エレノアとバークスの二人が部屋から出ていく。
この世界が本当にロクアカなら、この後、ライネルが俺等を完成させてこの容器から出す筈だ。
俺はその後の、ライネルがグレン先生を相手にしているときに逃げ出すことにした。
感情とかを消されたらそこで終わりだけど、それは祈るしかない。
この容器に入っていてまだ動くことすらできない以上、対策なんて出来ないし。
「さて……そういうことなら、気合を入れないとね……」
俺も、気合を入れて全力で逃げよう。
そう決心した。