リィエル・レプリカと転生日誌 作:氷月ユキナ
レオスとグレンの決闘当日の放課後。
俺達は、学院の中庭でグレン先生が来るのを待っていた。
……約束の時間から一時間。
「……来ない」
原作知ってるから分かってたけど、待たされるこっちの身にもなってほしい。
「……皆さん! ご覧の通りグレン先生はこの決闘の場に来ませんでした! ですから、不戦勝という事でよろしいですね!」
ジャティスがそう締めて、この決闘はジャティスの不戦勝で終わった。
「ったく……グレン先生には失望したよ……」
「だよな、手袋投げといてトンズラとかさあ……」
あー、グレン先生の評価が落ちてゆく……。
「グレン先生……どうして……」
そして、システィーナは愕然とする。そりゃ、信頼してたグレン先生が来なかったらなぁ……。
ジャティスはそのままシスティーナが求婚を受け、正式に婚約すると発表した。
そして、結婚式当日のフェジテ中央区の聖カタリナ聖堂。
俺の座っている参列席の前で、司祭がジャティスとシスティーナの二人に問いかける。
「レオス=クライトス。汝、健やかなるときも、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しき時も、これを愛し、敬い、慰め、助け、共に支えあい、その命ある限り、永久に真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います」
「システィーナ=フィーベル。汝、健やかなるときも、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しき時も、これを愛し、敬い、慰め、助け、共に支えあい、その命ある限り、永久に真心を尽くすことを誓いますか?」
「……誓います」
ジャティスとシスティーナの二人が、そう宣誓した。
「今日と言う佳き日に、大いなる主と、愛する隣人の立会いの下、今、此処に二人の誓約は為された。神の祝福があらんことを──」
そして司祭がセリフを言い終わる時、結構式場の扉が多きな音を立てて開かれた。
「異議ありッ!!」
という言葉を添えて。
その人物は──
「せ……先生……!?」
──グレン=レーダスであった。
……いや、知ってたけど。
■□■
グレンがシスティーナをお姫様抱っこをして走り去った後、ルミアは何かの事情があることを察してグレンを追いかけることにした。
「……リィエル、私達もグレン先生追いかけよう!」
「ん、分かった。わたしもグレンが心配」
二人は人混みを抜けて、人気のない聖堂の裏口から出る。
そのままグレンを追いかけようとしていた二人の耳に、
「ん、ストップ。……ごめん、そこまで」
という少女のような声がした。
その少女の顔には何時も着けていたメガネはなく、メイド服からも無駄な布がなくなっていた。
「どうして、ティアがここに……!?」
その少女……ティアは、ルミアとリィエルの前へ立ちふさがる。
「──《万象に希う・我が腕に・剛毅なる刃を》」
ティアが使った魔術を、ルミアとリィエルは知っている。
忘れるはずもない。何故なら、その魔術はリィエルの十八番である錬金改【
「……ティアさん。やっぱり、貴女は……」
ルミアは眼鏡の無いティアの顔を見て一つの仮説に確証を持つが、それを問いただしている場合ではない。
「……リィエル、来て。このティア=
彼女は、レイフォードと名乗った。
「──ぁ、あぁ……ティ、ア……どうして……?」
ティアが目の前で立ち塞がっていることに困惑しながら、リィエルは必死に言葉を紡ぐ。
「……ジャティスのこと、知ってる?」
「ん、もちろん……でも、ジャティスがどう──」
「今回の事件は、ジャティスの仕業。おれはジャティスの味方だから、あなたの敵」
ティアの"敵"という言葉に、リィエルの顔は青ざめてゆく。
「わ、わたしは……ティアのこと……ともだちだと思って……たよ……?」
「……ん、そう。おれも……ともだちでいたかった、かも」
「……わたしを殺すの?」
「……わからない。でも、殺したくない。だから……あそこに戻って。お願い」
そう懇願したティアの顔は、最初と変わらず無表情だ。
「そう。……それでも、わたしは戻れない。グレンのところに行く」
「ん、だよね…………"読んでた"」
「そして……貴女を傷つけたくない」
「……じゃ、どうする?」
「だから、ティア。あなたをボコる」
「……ん、それでいい。来て」
錬金改【
まるで親リスに捨てられ、独りぼっちになってしまった孤独の小リスのように。
ルミアさん完全に的外れ。ニチャッてしてる。
ティアの眼鏡はエルザの自己暗示装置とは全く別の、ごくごく普通のジャティスが錬金術で創った眼鏡です。