リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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《戦車》からの逃走

「…………ゴホッ、ゴホッ」

 

 ……良かった。俺、生きてるっぽい。対処の仕方が良かったのかな……?

 

 いや、リィエルが手加減してくれたっていう説の方が可能性高いな。

 

 後は……ジャティスのお陰か。

 

『いいかい? ティア。このメイド服に【トライ・レジスト】や【ボディ・アップ】の常時付呪(エンチャント)をしておいたから、戦闘でも防護服として使えるからね。安心して攻撃を受けるといいよ』

 

 メイド服になんつーモン付呪(エンチャント)してんだとツッコみたいが、それで生きてるんだから文句も言えない。

 

 俺はフラフラしながらも、立ち上がる。

 

「……」

 

 リィエルは、無表情ながらも強い意志を感じる瞳でこちらを見ている。

 

 いや、さっきまで君、曇ってたよね? 立ち直るの早くない?

 

 というか、俺もう戦えないんだが?

 

 どうしようかと悩んでいると、キン、キン、キン──という金属のような音が俺の懐からした。

 

 え、何これ? メイド服のポケットに通信魔導器の宝石あるんだけど?

 

 えっと……イルシアの知識からすると……こうすれば……よし、これで!

 

『やぁ、ティア。……驚いたかい?』

「ん。……先に言ってほしい」

『あははっ、この程度の悪戯(いたずら)はご愛嬌さ』

「……そう。それで、グレンに勝てた?」

『いやぁ、それがさ? あのシスティーナ=フィーベルが一度逃げ出した後に、僕とグレンの元へ戻ってきたんだよ。そこから一気に形成が逆転。グレンは、僕の知らなかった新たな力を得ていたようさ。……やはりグレンは、僕の手で殺さなければならない唯一の人間のようだ』

「……おれはどうすれば?」

『ああ、そうだね。フェジテから撤収しようか。場所は──』

「──ん、すぐ行く」

『待っているよ』

 

 ブツッ……と、ジャティスは言いたいことだけ言って切りやがった。

 

 さて、そろそろ行───

 

「ティア……」

 

 無理ですよねぇリィエルいるし!? しかも、ルミアによって超強化されてるリィエルが!!

 

 ……逃げたい。

 

「ごめん、行かせない。寝てて」

 

 リィエルがとてつもないスピードで俺に接近し気絶させようとした時、横から斧が降ってきた。

 

「──ッ!」

 

 リィエルは咄嗟に避けると、斧を投げてきた人物を見る。そこには……あれって、『天使の塵(エンジェル・ダスト)』の末期中毒症状? 

 

 そう思うと、他の道からもどんどん『天使の塵(エンジェル・ダスト)』の末期中毒者達が出てくる。

 

 ……このままじゃ逃げられなかったって"読んでいた"とか? やっぱりジャティスはおかしいなぁ……色々と。

 

 だが、俺も頭が色々とおかしい人だ。困惑を全く顔に出さず、リィエルを悲しそうに見る。

 

「リィエル、ごめん」

「ッ──! 待って!」

 

 リィエルが俺を止めようとするが、『天使の塵(エンジェル・ダスト)』の末期中毒者達に阻まれて近づけない。

 

 リィエルの俺へ伸ばした手は……こちらに届かなかった。

 

「……バイバイ」

 

 そう言い残し、俺は歩いていく。

 

「あぁ、あぁぁあ! ティアぁ!」

 

 リィエルは大声を上げて俺を止めようとするが、もう遅い。

 

 リィエルの視界にはもう、俺の姿は無かった……。

 

 まぁ、光操作での透明化ができる黒魔【セルフ・トランスパレント】で隠れただけなんですけどネ!

 

 さて、待ち合わせの場所へ行きますか!

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