リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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上空の恐怖

 フェジテ郊外の、とある雑木林。

 

 そこには、ジャティスとアルベルトが居た。

 

「翔けろ、【彼女の左手(ハーズ・レフト)】──ッ!」

「《金色(こんじき)雷獣(らいじゅう)よ・()()()けよ・(てん)()って(おど)れ》ッ!」

 

 ジャティスの人工精霊(タルパ)とアルベルトの【プラズマ・フィールド】がぶつかり、轟音が鳴り響く。

 

「……まいったね。グレンとの戦いの後に、君に追いつかれるとは思わなかったよ、アルベルト。……相変わらず、強い」

「………」

「しかし、君を倒しても意味がないんだ……やはり、グレンでなければ……」

「何故、生きている……とは問わん。だが、一つだけ教えろ。ジャティス、貴様は一年余前、何故あのような事件を引き起こした?」

「……………」

「魔導士団時代の貴様は苛烈な問題児ではあったが……それでも、あんな真似をする男ではなかった。一体、何がそこまで貴様を変えた? 誰よりも天の智慧研究会を憎んでいたのは、貴様だったはずだ」

「……アルベルト。君はこの国に隠された真実を、王家の家に隠された秘密を……なぜ、あんな天空の城が、空に浮かんでいるのか……知らない」

「………」

「さて、そろそろ時間だ。君を相手に今の状態じゃ分が悪い。退かせてもらうよ」

「待て、まだ話は……」

「駄目だね、抜け目ない君のことだ……今、ここへ《法皇(クリストフ)》と《隠者(バーナード)》も来るんだろう? ……時間稼ぎに付き合うのもここまでさ。それに、ようやく彼女も来てくれたからね」

「彼女、だと……?」

 

 アルベルトが困惑したとき、彼は自分に対する強い敵意を感じた。

 

「───いいぃぃやああぁぁあ!!」

 

 そんな大声と同時に、とある大剣がアルベルトへ猛スピードで飛んでくる。

 

「クッ………ッ!」

 

 いきなりの攻撃に、アルベルトはその場から咄嗟に跳び躱す。

 

「ジャティス!」

 

 それと同時に、彼女……ティア=レイフォードがジャティスへ向う。

 

 ジャティスは擬似霊素粒子粉末(パラ・エテリオンパウダー)を使い一人の天使を顕現させた。

 

「ああ……"読んでいたよ"、ティア」

 

 ジャティスとティアはその天使の両肩にそれぞれ掴まり、天使は上空へ急上昇してゆく。

 

「……『禁忌経典(アカシックレコード)』を追うといい、アルベルト。そうすれば……いずれ真実にたどり着く。特に、君ならば真実に触れた時、きっと僕と同じ側に立つことになると信じているよ」

 

 ジャティスはそれだけ言い残し、ティアと共に滑空していった。

 

「『禁忌経典(アカシックレコード)』 か……この国の真実……王家の血、か。一度、調べてみる必要がありそうだ」

 

 アルベルトはその鷹のような目を鋭くし、ジャティスの消えていった方向を睨む。

 

「……それに、あのリィエルに似た女……ティアと呼ばれていたか? あの女についても調べなければ」

 

 

■□■

 

 

 高い高い高い高い高い高い!!!

 

 え、怖ッ! 超怖い! 落ちたら即死だよねこれぇ!?

 

「……大丈夫かい?」

「大丈夫」

「顔は無表情だけど、上空をすごく怖がっていると僕の固有魔術(オリジナル)【ユースティアの天秤】が告げているんだけど……」

 

 固有魔術(オリジナル)をそんなことに使うなぁッ!

 

「うるさい。知らない。怖くない」

「…………怖いみたいだね」

 

 うっさいわ!! こんな高い所にいたら怖いだろ普通!?

 

 こんな所で落下死とか全っ然、"面白くない"よ!?

 

 ……あ、そうだ。怖くて忘れるところだった。

 

「……ジャティス。行きたい場所がある」

「うん? どこだい? 流石に場所によるけど……」

「──────────」

「……ああ、良いよ。ただ、長くは居られないよ?」

「大丈夫」

「なら、急いで行こうか。善は急げと言うしね?」

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