リィエル・レプリカと転生日誌 作:氷月ユキナ
……ジャティスにお願いした場所に着いた。
「タイムリミットは十分ってところかな? それまでは好きにしていいよ」
「早く済ませる」
俺がジャティスに連れてきてもらった場所は、アルザーノ帝国の首都、帝都オルランドの郊外にあるアーレストン英霊墓地。
そこには英雄や政治家、それにアルザーノ帝国のために死んだ軍人が眠りについている場所だ。
その中から目的の、白い石のお墓を見つけた。
"比類なき風にて優しき風、セラ=シルヴァース、ここに眠る"
……そう、あのグレンの神聖不可領域とまで羊太郎さんが描いていたセラ=シルヴァースの墓だ。
俺がここに来るのはどうかと思っていたが、欲望に負けてきてしまった。
「…………」
………正直なことを言うと、俺のセラに対する感情は複雑すぎる。
俺以外が愉悦みたいなことすんなよ巫山戯んなという八つ当たりみたいな気持ちもあるが、ちゃんとした理由もあるので聞いてほしい。
確かに、魔導士団時代のグレンを支えていたのは好印象だし、セラグレは尊いと思う。これはマジで。
けど俺が気に食わないのは、
一般人が聞けば、なんだそれ!?と思い理不尽だと叫ぶだろう。だが、俺には俺なりの考えがある。
じゃあ、質問しよう。セラはどうしてグレンをジャティスの
このアルザーノ帝国を救いたかったから? この国に住む人々を助けたかったから?
それもあるだろうが、一番ではないだろう。一番は、
……けど、それはグレンも同じだった筈だ。
『別に『正義の魔法使い』になぞなれなくてもいい、その女の子だけでも守れればいい、なーんて思っちゃったりして……』
屋上で、グレンはそう言っていた。グレンはあんなに拘っていた『正義の魔法使い』よりも、セラの方が大事だった。
それなのに、セラはその
………これは、どちらがジャティスに
生きるときは一緒に生きて、死ぬときも一緒に死ぬ。それが、お互いにとって一番幸せだったんじゃないかなぁ……。
そんなの無理だろう、と思う人も居るだろう。どうすれば良かったんだよ、と叫ぶ人も居るだろう。
俺は、こう思う。
ジャティスとかアルザーノ帝国とか放っておいて、グレンとセラの二人で遠くに逃げる。それが最善手だと。
そんなの駄目だと思うだろうか? だが、グレンは精神的に死にそうだったし、セラも自分の故郷を助けるという約束を守らなかったアルザーノ帝国を守る義理もない。
たった二人いなくなるだけで滅ぶなら、別に滅んでも良いんじゃないかな? ジャティスが言うには邪悪な国らしいし。
……けど、それでもグレンとセラは、それを認められないとも思う。もし実行してアルザーノ帝国が滅んだら、自分たちのせいだと思ってネガティブ思考になりそう。あはは……ありえる。
「……無いのかも。最高のハッピーエンドなんて」
あの世界に愛されし主人公サマであるグレンでさえ、沢山の人を取りこぼしていたらしい。
それに、最後にはセラも救えなかった。
誰も犠牲にせずに、誰もが幸せなハッピーエンド。
そんなの、存在しないのかもね……。
って、なんでこんなセンチな気分になってんの俺は……?
「……バイバイ、セラ」
俺は手を合わせる。
「グレンをありがとう。それと……バーカ」
……よーし。お墓参りも済んだし、そろそろ去りますか!
「ジャティス、終わった」
「もう良いのかい? まだ四分ぐらいしか経っていないよ?」
「もう、用事は済んだ」
「……なら、僕は構わないさ。さぁ、行こうか」
「ん」
そして、俺とジャティスは歩き出す。セラのお墓を背に向けて。
……機会があったら、また来ようかな?
Q.なんでティアはセラのお墓参りに来たん?
A.ただの興味本位。
Q.結局、ティアは何が言いたいん?
A.誰かを犠牲にしないといけないとかふざけんな。けど、誰か犠牲になるならいっそ全員死ねよ。
Q.ティアって、愉悦部員だよね?
A.それでも人殺しまではやらないよ!? っつーか、愉悦で死んでいいのは"俺"と"俺と関係ない人"と"悪人"だけだよ。セラは普通に死んでほしくなかったなぁ……。