リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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ボス戦

 第一号車内。

 

 そこで今回の黒幕であるマリアンヌは、理不尽へ怒っていた。

 

「何よ、こいつ……リィエル、なの? いえ、それはあり得ない……なのに……」

 

 ──バンッ!

 

 第二号車内からの扉が勢いよく開かれる。

 

「……見つけた」

 

 その扉を開いたのはメイド服で髪色が灰色の、リィエルそっくりの少女。

 

「何よ……何なのよ、貴女はッ!?」

「おれの名前はティア。何処にでもいる町娘」

「貴女のような町娘がいるものですかッ!」

「……ひどい」

 

 その少女……ティアは、少し眉をひそめて不満げだ。

 

「なぜ……どうして何もかも上手く行かないの!? どこで狂った……ッ!? このティアとかいう小娘のせい? いや──ッ!?」

 

 ──ガッシャァアアアアンッ!

 

 俺の前でマリアンヌがヒステリックを起こしている時、車両後方こ窓ガラスから派手に誰かが飛び込んできた。

 

 それが誰か、俺にはわかる。

 

「そうよ、わかった……ッ! 貴方よ……ッ! きっと貴方がいたから……ッ!」

 

 その男は、このロクアカの主人公。

 

「全部、貴方のせいよッ! グレン=レーダスぅうううううううううう──ッ!」

「はははっ! 馬鹿騒ぎは仕舞にしようぜッ! ババアーッ!? それとティアのは俺関係ねぇッ!」

 

 グレン=レーダスに向けて、マリアンヌが絶叫した。

 

 ……最後の一言余計じゃね?

 

「まったく! フランシーヌとコレットを違う車両でおとりに、ティア=レイフォードに黒幕の気を引かせてる間に自分達は列車の屋根伝いに移動して、一気に叩く……相変わらず無茶苦茶なんだからッ!」

 

 説明口調ありがとう!

 

「別にいいだろ? おかげで、同じく屋根伝いに移動してたリィエル達とも合流でき──」

「ティアぁ!」

「え」

 

 システィーナと共に窓ガラスから飛び込んできたリィエルに、俺は思いっ切り抱きつかれる。

 

 ちょっ、力強っ、苦しい!?

 

「や、やめ……ッ!?」

「ティア…………んっ」

 

 なんでこんな好感度高いの!? なんか頬擦りしてきたし!?

 

 裏切って好感度低くなっただろうなと思って、また仲良くなるために色々と作戦考えてたのに……。

 

 ……ん? 殺気? うわっ、エルザに親の敵みたいな目で見られてる!?

 

 え、俺のことイルシアだと思ってる? それともリィエルのことで嫉妬してる?

 

 どっちでも面倒すぎ……。

 

「……五対一だぜ? 流石に勝てるわけねぇだろ? さっさと投降しろよ」

 

 ……グレン先生、フラグって知らないの?

 

「ふ、ふふふ……」

「何がおかしいんだよ?」

「いえ……まさか、やれやれ……本当に、こういう事態になるなんてね……」

 

 マリアンヌがやれやれ系主人公のように、腰から一本の剣を抜く。

 

 それは……それが、俺の目的の魔法遺産(アーティファクト)炎の剣(フレイ・ヴード)だ。

 

「いざという時、エルザへの牽制になると思って、持ってきたんだけど……本当に大正解だったわねッ!」

「熱ッ!? な、なんだそりゃ!?」

魔法遺産(アーティファクト)炎の剣(フレイ・ヴード)。炎魔帝将ヴィーア=ドォルが使った剣」

 

 システィーナの説明を待つのがめんどくなった俺は簡単にグレン達に代わりに説明をする。

 

「あらあら……貴女、古代文明にも詳しいのねぇ……まぁ、大体、その通りよ。この剣は炎を操る魔法遺産(アーティファクト)。私ね、蒼天十字団(ヘヴンス・クロイツ)の『Project(プロジェクト)Revive(リヴァイヴ) Life(ライフ)』研究では、経験記憶・戦闘技術の復元・継承に関する術式の研究もやっていてね……その一貫として、古代の英雄の戦闘技術なども現代に再現できないか……? みたいなこともやっていたわけ」

「まさか──白魔儀【ロード・エクスペリエンス】の応用かッ!?」

 

 白魔儀【ロード・エクスペリエンス】って……確か、セリカがエリエーテの剣術を複写(コピー)してた魔術の簡易版だったよね。

 

 普通の人がやるには儀式までいかないと……ってやつ。

 

「ええ、そうよ? 私はこの炎の剣(フレイ・ヴード)から、不完全ながらも半永久的に戦闘技術を、憑依させることに成功したわ」

「な……ッ!?」

「この炎の剣(フレイ・ヴード)……古代では、きっと名のある戦士に振るわれたいに違いない……そう思わない? ええ、アタリよ?」

 

 次の瞬間、【ティア(おれ)の天秤】が予測の結果を俺に知らせ。

 

 ──がきぃいいいんっ!

 

 俺に向けて振るわれた炎の剣(フレイ・ヴード)を剣の刃で受け止める。

 

 止められたと思った途端に炎の剣(フレイ・ヴード)から炎が吹き出し俺に襲いかかる。

 

「──ッ!」

「いいぃぃやぁぁ──ッ!」

 

 マリアンヌの背後からリィエルが斬ろうとするが、マリアンヌは神速で飛び上がり複雑な斬撃を余裕で回避する。

 

「ふふ、どうかしら……? 私も中々やるでしょう……?」

 

 ──パパパンッ!

 

 グレンが拳銃を発砲するが、マリアンヌは剣を振り三つの弾丸を冗談のように受け止めた。

 

 剣からは炎が飛び出し弾丸を溶かし、俺たちの退路を()つ。

 

「……もう逃さないわよぉ……? 貴方達、全員、程よくローストして、実験サンプルにしてあげるんだから……」

「炎の結界か……? やべぇ、こいつ……絶対、(つえ)ぇ……」

 

 戦慄しているグレンの横を見ると、聖リリィ魔術女学院の生徒の一人であるエルザが炎への心的障害(トラウマ)が再発していた。

 

「はぁ……はぁ……はっ、あ……ッ!? うっ……ああ……」

「エルザ!?」

「おいおい……さっき、ちらっと話には聞いてたけど、ここまで酷いのか……?」

 

 ……マジか。原作だと乗り切ってくれてたけど、あまり盲信しないほうが良さそう。

 

「となると、俺たち四人でやるしかねえか……行くぞ、お前ら! それとティアは裏切るなよ!」

「ん、裏切らない」

「お前、本当に頼むぞ!? お前が裏切ったら本当にヤバいんだからな!?」

「わかってる」

 

 あーもー、グレン先生もそろそろ俺のこと信用してよ!?

 

 そんな怪しい……? ……いや、怪しいか。

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