リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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マリアンヌ戦、決着

「うぉおおおおおお──ッ!?」

「「いいいいやぁああああああああああああああ──ッ!」」

 

 システィーナの援護を受けたグレン先生、リィエル、俺の三人が炎に突っ込んだ。

 

 だが、近づけない。

 

 ……けど、近づく必要なんて俺たちには無かった。

 

 ただ、エルザの為に時間を稼ぐだけ。

 

「……簡単(イージー)

 

 ……まあ、一つ不安なのが俺の残ってる魔力量かな?

 

 少ないんだよね……。

 

「あっははははははははっはっへえはははははははっはああはははは、あははは──ッ! 死ねぇえええええええええええええええええええ──ッ!?」

 

 ッ!? 障壁を張らないとッ!

 

 未来の予測が見えた俺は、詠唱(うた)を唱える。

 

「《(かがや)く壁よ・災禍(さいか)(あゆ)みを(はば)みて・我を(まも)れ》」

 

 黒魔【フォース・シールド】によってマリアンヌの炎の一閃を防ぐ。

 

 ……あと、少しかな?

 

「あっひゃはははははははははっ! ひゃははははっははははははは──ッ!」

「くそ……駄目だ、リィエル、ティア……下がれ……ッ!」

「待ってッ!」

 

 まだ……ッ! あと、あと少しでやってくれるはずだから……ッ!

 

「ん、やだ! 下がらないっ! エルザがなんとかしてくれるって言った! わたしたちはエルザを信じる!」

「リィエル……」

「へっ……ったく、しゃあねえなっ! 白猫! きついのはわかってるが──俺達への防御、もっと出力を上げてくれッ! 頼むッ!」

「ん、おれの魔力もきれそう」

「今だって限界だけど──わかったわッ! 残りの魔力を全部──」

 

 システィーナは俺達を護っている【ダブル・スクリーン】に更に魔力を込めていく。

 

 そして──

 

「エルザッ!」

「はぁああああああああああああああ──ッ!」

 

 エルザは、動いた。

 

 剣を振り、魔力で増幅(エンハンス)させて真空の刃を生み出す。

 

 それに間合いなんて概念は存在しない。

 

「ぁあああああああああああああああああああああああああああああ──ッ!」

 

 ──ひゅぱッ!

 

 空気が音を立てた。

 

 "炎を切り裂く風の刃"が、炎を割る。

 

「あ、がぁああああ──ッ!?」

 

 マリアンヌは、半身を斬られていた。

 

 上手く捌いたらしく直撃ではない。

 

 けど──

 

「──ん、"読んでた"」

 

 懐に潜り込んでいた俺は、そう呟いた。

 

「──ッ!?」

「遅い」

 

 殺さないように刃を潰した剣を少しの魔力で創り、マリアンヌの腹にブチ当てて吹っ飛ばした。

 

 ──ずぅうううううんっ!

 

 列車の壁にぶつかり、マリアンヌは気を失った。

 

 キィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ────

 

 炎が消えた列車は減速し、やがて完全に停止した。

 

「……止まった……?」

「……ん、これで終わった」

「ははは、ナイスだったぜ、エルザ!」

「凄いじゃない!? 今のアレ、何!? なんていう魔術!?」

「いえ、アレは魔術じゃなくて……」

「いやぁ! 助かったぁああああ──ッ! お前、まさか、あんなスゲェ切り札持ってたなんてな!」

「ありがとう、エルザさん!」

 

 勝利したと確信した生徒&グレン先生は、ワチャワチャと騒ぎ出す。

 

 それより、炎の剣(フレイ・ヴード)は……?

 

 あっ、あそこに転がって──

 

 ──グラリ、と。

 

 急に俺の視界が歪んだ。

 

 …………?

 

 その時、ようやく自分の状態に気が付いた。

 

 何時の間にか顔には汗が浮かび、身体が震えている。

 

 この症状って……まさか。

 

「……マナ、欠乏症」

 

 ……最悪である。

 

 けど、生徒達から立て続けにマリアンヌと戦ったし、なってもおかしくはなかった。

 

 剣も沢山創ったしね。

 

 ……あれ? これ、逃げられなくね?

 

 い、いや……まだ、希望が──

 

「──ティア? 大丈夫?」

 

 こちらを心配そうに見てくるリィエル。

 

 …………終わった。

 

「……ん? おい、ティア!? くそっ、マナ欠乏症かよ……」

 

 グレン先生にもバレたし、もう無理だなコレ。

 

 あーあ、炎の剣(フレイ・ヴード)なんて気にしないで来なきゃ良かったなぁ。

 

「あー……一応あの野郎(ジャティス)の従者やってたわけだし、眠らせとくか。《身体(からだ)(いこ)いを・心に安らぎを・その(まぶた)は落ちよ》」

「──ぁ」

 

 意識を失う寸前に脳裏に浮かんだのは、この世界で初めて味方になってくれた、ジャティス=ロウファンの顔だった。

 

 

■□■

 

 

「安心しなよ、ティア。”読んでいた”からね……くっくっく……」

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