リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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ティアと牢獄

 グレンからフェジテ警邏庁に身柄を渡されたらしく、俺は治療された後、特別尋問室とかいう所に連れて行かれた。

 

 大きくやらかしちゃったなぁ……ジャティスに申し訳ない。

 

 色々やってくれてたのに、どうしよ……見放されちゃってるかな。

 

 ……それは、ちょっと悲しいな。

 

「──おい、ティア=レイフォード。これらを確認しろ」

「……ん」

 

 なんか、色々な物を持ってきて見せられた。

 

 良くわからんが、どうやら証拠品の確認らしい。

 

 えーと、これは? ……【隠す爪(ハイドゥン・クロウ)】の欠片かな?

 

「この大剣……テメェのモンだろ?」

「ん……」

 

 いや、そんなのリィエルのじゃなかったら俺以外にいる訳……ああ、この魔術って元々は掃除屋(スイーパー)のか。

 

 まぁ、ここにあるのは俺のやつだろうけど。

 

「ったく……あの裏切り者(ジャティス)だったりテメェだったり、カス共の集まりかよ」

 

 ……いきなりなんなん? 苛つくなぁ……こいつ。

 

 俺が本気出せば直ぐに殺せるってわかってんのかな?

 

 ご丁寧に【スペル・シール】で魔術を封じてるみたいだけど、このくらいの縄の強度ならぶち破れるよ?

 

「まぁ、ジャティスの野郎もどうせ捕まんだろうな。はははっ、くだらねー"正義"なんてものでこの国に噛み付くぐらいだしなぁ!」

 

 …………は?

 

「……ハッ」

 

 俺は鼻で笑った。

 

「……あぁ? 今、何を笑った」

「あなたを。……わからなかった?」

 

 わざとらしく煽りを含めて答える。

 

 あははっ、顔真っ赤じゃん。

 

「……あぐぅっ!?」

 

 ……はい、殴られてました。

 

「テメェ……舐めてんじゃねぇぞ!」

「か──はぁ……ッ!」

 

 椅子に座っていた俺の腹にもう一発拳を入れられ、椅子から俺は転げ落ちた。

 

 ……うん。まあ、俺って魔造人間だから結構丈夫だし、衝撃を受け流しているので殆ど無傷だけど。

 

 ん? ああ、俺の反応? ただの演技だよ?

 

 適当に苦しむような感じでやっておけば相手が調子に乗るし。

 

「ふざけるなよ……犯罪者風情が」

「ちょっと待ってください、それは流石にやりすぎだと……」

「なんだぁ……? お前は、マルケ家である私に逆らうのか? あぁ!?」

「ひっ……い、いえ……」

「なら黙ってろ、クズが……」

 

 ……もう、こいつ殺したほうがいいんじゃないかな?

 

 クズはお前だよ……。

 

「……刑訴法違反」

 

 俺はポツリとつぶやいた。

 

「あん!?」

「警邏訴訟法319条、"強制、拷問、脅迫による自白は、証拠とすることができない"……おれの自白は無効。あなた、バーカ?」

 

 俺の顔は変わらず無表情だが、逆にそれが随分と苛つくだろうな〜。ウケる。

 

「テメェ……っ! 殺すぞ!?」

「やってみる? 情報まだ吐いてないけど」

「チッ、クソがァッ!」

 

 あーはははっ、こういうのも"面白いなぁ"。

 

 

■□■

 

 

 警備官で遊んだらキレられながら牢屋に入れられた。なんか寒い。

 

 ……ジャティスは迎えに来てるれるかな? 無理だろうなぁ……。

 

 あんだけ無理言ってやってもらったのに、結局ヘマやらかして捕まったし。

 

 はぁ…………終わったなぁ。

 

 

 

 

 

 

「──人工精霊(タルパ)彼女の御使い(ハーズ・エンジェル)・斬刑】」

 

 ──ガシャァアアンッ!

 

 人工精霊により俺の部屋の窓ガラスが切り刻まれる。

 

 ……こんなことが出来る奴を、俺は一人しか知らない。

 

「──ジャティス?」

「やぁ。迎えに来たよ、ティア」

 

 バラバラになった窓ガラスの上に、ジャティス=ロウファンは舞い降りた。

 

「どう、して……?」

「うん? 何がだい?」

「だって……おれの、ミスで」

 

 どうして、捕らえられてしまった俺をわざわざ助けに来たの?

 

 そんな意味で、俺は尋ねた。

 

「そも、僕は君が捕まることは"読んでいた"からね。僕の計算内だったよ」

「え……?」

 

 ……なら、俺は。

 

「おれは、ジャティスの邪魔になってない?」

「ああ、勿論。むしろ、君がいてくれたお陰で、できるようになったこともあるさ」

「──ッ!」

「それに、最初に君に会ったときに言っただろう? "僕と一緒に来ないか?"、ってね。それとも、忘れてしまったかい?」

「……違う。忘れてない。おれは、あのときから、ずっと──!」

 

 心臓の鼓動がうるさい。

 

 自分がいま抱いている感情がどんなものか、自分でも分からない。

 

 けど、これだけは言える。

 

 俺は今……これまでの人生で、ジャティスのくれた言葉が一番嬉しい。

 

「……そうだね。さて……僕と来てくれるかい、ティア?」

 

 ジャティスは、こちらに手を差し伸べた。

 

 答えはもう、決まってる。

 

「ん……、んっ……!」

 

 俺は躊躇わずに、一筋の雫が流れた目でジャティスを見つめて、手を取った。

 

 ……温かい。

 

「さぁ──正義を執行しに行こう、ティア」

「ん──行こ、ジャティス」

 

 俺達は牢屋からジャティスに連れられながら、外に出た。

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