リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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ユアン警邏正へ正義執行

 ティアが収容されていると聞いた牢屋へ繋がっている廊下を、フェジテ警邏庁警備官及び天の智慧研究会第二団(アデプタス)・《地位(オーダー)》であるユアン=ベリスは歩いていた。

 

 その目的はただ一つ……彼の所属している天の智慧研究会に多大な被害を出しているジャティス=ロウファンの仲間というティア=レイフォードから情報を抜き出したあとに処分するためだ。

 

「おい、そこの警備官」

「ユアン警邏正!? ど、どうしてここに……?」

「この先の牢屋にいる人物に用がある。通せ」

「はい……? いくらユアン警邏正でも……流石に通すのは……」

 

 警備官は、ユアンに至極真っ当な反応である。

 

「……もう一度、言う。ここを、通せ。……《命令(オーダー)》だ」

「はいっ! 失礼しました! お通りくださいッ!」

 

 だが、ユアンが《命令(オーダー)》と行った次には、迷いなくユアンを通した。

 

 その警備官の横を通り、ユアンは再び歩き始める。

 

 そして、ようやく目的のティア=レイフォードが居る牢屋に辿り着いた。

 

「さて……我が組織の礎になって貰おう、ティア=レイフォード。くっくっく……」

 

 そうして扉を開き──

 

「……なッ!?」

 

 そこには切り刻まれた窓の欠片が散らばり、肝心のティアは居なかった。

 

「い、一体どこに……ッ!?」

 

 ──かつん。

 

 ユアン以外には誰もいない筈の廊下に、足音が響いた。

 

 ──かつん、かつん、かつん……。

 

「こんにちわ……始めましてかな、ユアン警邏正……」

「ジャ……ジャティス=ロウファン……ッ!?」

「正解」

 

 その男、ジャティス=ロウファンは不敵に微笑んだ。

 

「フェジテ警邏庁に件の組織の内通者がいるのは掴んでいたが……それが誰なのかまでは分からなくてね……なぜなら、君の陰形は完璧だった。すごいよ、誇っていい。 君はおそらく世界一の暗示魔術の使い手だ……だが……」

 

 ジャティスは笑みを深める。相手を嘲笑うように。

 

「驕ったな、ユアン。君は愚かにも、()()()()()()()()()()()()()。なら、ティアの周りで行動している警備官の全員を洗えば、 必ず支配元にたどり着ける……そう、"読んでいたよ"、天の智慧研究会ぃ……かは、はははははは……」

「ちぃ──ッ!?」

 

 その嗤い声に対して、ユアンは咄嗟に左腕をジャティスに向ける。

 

 だが、その身体を人工精霊(タルパ)が地面に押さえつけた。

 

「うぎゃぁあああああああああああああ──ッ!? な、なんだこれは!? 身体が動かないぃ……ッ!?」

 

 昆虫の見本のような姿になったユアンは呻く。

 

「くっくっく……【彼女の御使い(ハーズ・エンジェル)・磔刑】……君の動きはもう、完全に封殺された……」

 

 ジャティスは細剣(レイピア)を抜いてユアンに向ける。

 

「さて、僕の質問に正直に答えてくれたら君を救ってあげよう。第二の『マナ活性供給式(ブーストサブライヤー)』はどこだい? 確か、あれがあるのは君の担当している区画だろ? 第一は簡単だったんだけどね……第二の所在がなかなか掴めないんだ……」

「な……なぜ、『マナ活性供給式(ブーストサブライヤー)』のことを……!? まさか、ティア=レイフォードが捕まったのはわざとか……ッ?」

 

 ──ドッ。

 

 ユアンの左目が突き刺された。

 

「ひぎゃああああっ!!」

「早く答えてくれないかなぁ……? ティアをあまり待たせたくないんだけど……?」

 

 悲鳴を上げるユアンを、表情を微塵も動かさずに見る。

 

「わ……わかった!! 教える!! 場所は三番街の──」

 

 ──ざく。

 

 ジャティスはユアンの右目も突き刺す。

 

「あぎゃあああああああああああああああ──ッ!」

「僕は、嘘は嫌いなんだ……ほら、本当の答えを早く答えてくれよ……」

「り……リントン公園だッ! そこの藪の中に仕掛けたッ! 本当だッ! う、嘘じゃないんだ……ッ!」

「……成る程……どうやら本当のようだね」

「あ……ぁぁ……じゃあ、これで──」

 

 ──どす。

 

 ジャティスは細剣(レイピア)をユアンの脳幹に刺し、絶命させた。

 

 

■□■

 

 

 ジャティス、相変わらず悪には容赦ないなぁ……。

 

 どうも、さっきのでヒロイン力が上がった気がするティアです。

 

「よし、聞き出せたね。他に要件は……ああ、そうだ。ティア、これを渡しておくよ」

 

 そうして渡されたのは……。

 

「……炎の剣(フレイ・ヴード)?」

「そうさ。これが欲しかったんだろう?」

 

 ……え? 何で持ってるの?

 

「目的の物すら手に入れられないのは可哀相だと思ってね。人工精霊(タルパ)見えざる左手(スコトーマ・レフト)】で回収しておいたのさ」

「……ん、ありがと。嬉しい」

 

 このままじゃ俺、愉悦する前にジャティスにキュン死させられるんじゃないだろうか……?

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