リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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《正義》の代わりに正義執行

「…………ここ?」

『ああ、そこで合っているよ』

「方陣は?」

『既に解呪(ディスペル)済みさ。安心してくれ』

 

 俺は今、ジャティスの人工精霊(タルパ)彼女の御使い(ハーズ・エンジェル)・監視】(術者と視界共有が出来る人工精霊(タルパ))と共にフェジテ行政庁市庁舎の前にいる。

 

 俺のお願いした()()で手が放せないジャティスの代わりに、ここに侵入しているというセインとかいう天の智慧研究会を殺すためだ。

 

 現在時刻は午後9時……市庁舎内には誰もいない。

 

 つまり、殺してもバレにくいってことだね! 楽できる!

 

 俺は市庁舎の裏口に回り込む。

 

 そして扉を開こうとして。

 

 ──ガギッ。

 

 ……鍵がかかっていた。

 

「……ん、だよね……」

 

 隣にいる【彼女の御使い(ハーズ・エンジェル)】に呆れたように見られている気が……。

 

 そんな目で見ないでぇ!

 

「……でも、大丈夫」

 

 俺は体を引いて、構える。

 

「ふぅーー……」

 

 ──スパッ!

 

 ……居合い切りのように動き、鍵を"斬る"のではなく"通した"。

 

 鋼鉄製の鍵は鮮やかに切り裂かれ……。

 

「ん、お疲れ」

 

 俺は鍵に目を向けて、なんとなくそう告げた。

 

 ……今の俺、カッコよくない?

 

 

■□■

 

 

「……さて、ついに計画が動き始めた。今日も念入りに調整しておくか……」

 

 天の智慧研究会に所属している魔術師のセインは、市庁舎の地下に行く。

 

 その地下は本来、認識操作と異界化の術を駆使した階段を下りなければいくことはできない。

 

 セインは階段を下りて、小部屋への扉を開けた。

 

 その小部屋の床には、法陣儀式魔術の天才といえるセインが構築した法陣がある。

 

 ただし、漲って循環している筈の圧倒的な魔力がそこには欠片もなく。

 

「……なん……だと……!?」

「……フッ」

 

 驚きの声を上げるセインの前に、無表情にも関わらずドヤ顔のように思える表情をした、メイド服の少女が立っていた。

 

「そ、そんな……バカなッ!? 私の法陣が……『マナ活性供給式(ブーストサプライヤー)』が解呪(ディスペル)されているだとぉッ!? 貴様は……一体、何者だッ!?」

 

 セインは心から狼狽える。

 

 まず、そもそもこの場所知られていること自体がありえない。

 

 しかも、万が一、バレたとしても解呪(ディスペル)には非常に大掛かりな儀式が必要不可欠。

 

 さらに、解呪(ディスペル)を阻害する機能を持つ無数のプロテクト術式も保険として組んでいた。

 

 それらをたった一日や二日で解呪(ディスペル)するのはどう考えても不可能なのだ。

 

 ……《王者の法(アルス・マグナ)》とかいうチート能力は別として。

 

「く、くそぉ……ッ! い、一体、何がどうなって……クッ、た、《猛き雷帝よ・極光の閃槍以て・刺し──」

 

 セインが力を失った法陣の前で、絶望に浸りながらも方陣を解呪(ディスペル)したであろう少女を殺そうと左腕を向けたとき。

 

 セインは、気づいた。

 

「……なッ!?」

 

 その少女は次の瞬間、その場所からは消えていて。

 

 ──ズバッ!

 

 セインが思考を巡らせる暇もなく……次に見たセインの視界は、何故か足元並の低さで──

 

 首を切られて床に落ちたと認識する前に、セインは絶命した。

 

 

■□■

 

 

「……正義、執行完了」

 

 とでも、ジャティスなら言うのかなー?

 

 首から血を撒き散らして死んだセインを見ながら、俺はそんなことを思った。

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