リィエル・レプリカと転生日誌 作:氷月ユキナ
俺がジャティスのいるという場所へ向かうと、隣にはルミアもいた。
「貴女は……ティアさん、だよね?」
「……ルミア?」
ルミアは驚愕していた。……俺、捕まえられたはずなのにさらっと脱獄してるしね。
「……ねぇ、ティアさん」
「ん、なに?」
「システィ達は無事なの?」
や、俺にそんなこと聞かれても……予定だとまだジンとかと戦ってないと思うけど。
「……ジャティス、どうなの?」
「ああ、無事さ。今のところは、ね」
「…………」
ルミアはジャティスに対して、見てわかるぐらいの敵意を顕にしている。
自分に何かされるかもしれないのに……メンタル強っ。
……それと、ルミアが起きているってことは。
「……ジャティス、あれは完成したの?」
「ああ、成功さ。問題ないよ」
「……マジで?」
「大マジさ」
……いや、必要なピースは揃ってたけど。それでもまさか、本当にやるとは……。
「僕の相棒とも言えるティアのお願いだよ? 僕も死力を尽くすさ」
「……ありがと」
「構わないよ」
ジャティスがイケメンすぎて死ぬ……あれ、俺って一応、元・男だよね?
……いや、待て待て。気を取り直そう。これからフェジテ最悪の三日間だぞ。
「次は何をする?」
「そうだね……ティアにはある倉庫に、このバッグを持って行って欲しい」
これは……中身ってグレンの軍属時代の服、だったよね。
前にジャティスと一緒に保管室から盗……貰ってきたものだ。
「僕はこれからグレンへ指示を出す。……悪いね、ティア。少し修羅場を潜ってもらうよ」
「ん、任せて」
次はレイク戦……やってやろうじゃん。
■□■
グレンは、ジャティスの言葉通りに、ある倉庫に来た。鍵はかかっていない。
鉄のきしむ音をだして開くと。
「っ……グレン!」
「お前は……ッ!?」
そこには。
「ティア!? どうしてここにいるんだ!?」
ティア=レイフォードがいた。
脱獄したのか……と思っているグレンの方へ歩み寄り、鞄を押し付けてくる。
「……ジャティスから。早くこれに着替えて。お願い」
何故か不安そうな顔をしているティアから鞄を受け取り、開いた。
「これは……どういう……ことだ……?」
その中には、グレンが軍務についていた時の装備がぎっしりと詰まっていた。
『わかる! わかるよ、グレン! よぉ〜く、わかるっ! なにしろ、それは、目を背けたい、負の遺産だ……ごめんよ、グレン。わかってたんだ。だが──』
どくん、と。グレンの心臓が跳ねる。
ぞくり、と。グレンの背筋が震える。
『──わかるだろう? 今は、そんな事を言っている場合じゃ……ない』
「グレン、急いでッ!」
聞いたことのない、感情を顕にしたティアの声を聞いた。
そんなティアは、ひたすらグレンを見つめていて──
「くっ!?」
それと同時にグレンは中身を、すぐさまその身に装備していく。
急げ、急げ、急げ。そんな言葉が頭を巡る。
『それでいい、グレン。本当は僕だって、今の君に彼を押し付けるのは不本意なんだ……だが、
「……ああ、簡単にわかるに決まってるだろ、クソがッ! 少し黙ってろッッ!」
本当はこんな少女(しかも幼い)を巻き込みたくはないが、それでも戦力がいるに越したことはない。
グレンは自分の無力さを恨みながらも、武装を続ける。
『帝国宮廷魔導士団でも、今の彼に真正面から勝ち得るものはほとんどいないだろう……可能性があるのは《
「……来た」
ギリギリ、グレンが準備を終えられたのと同時に、ティアは言った。
ティアはいつの間にかグレンから目を放し、出入り口扉を見ていた。
そこに、とある男が立っていた。
忘れもしない。忘れるものか。
グレンが非常勤講師だった時代にアルザーノ帝国学院を襲った、天の智慧研究会の一人。
一体何をしたのか、その身から溢れる魔力が以前の比ではないが……。
「レイク=フォーエンハイム……天の智慧研究会、
「…………」
焦りを隠せないグレンを、レイクは静かに見つめる。
『さぁ、課題のスタートだ──生き残れ。──手段は問わない』
頂すら見えぬ存在感……それを前にしているグレンは、冷や汗をたらりと流した。