リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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《竜帝》と《愚者》

「なんでだ……ッ!? なんで、てめえが生きていやがる……ッ!? てめえは死んだはずだ……ッ! 俺がこの目で確認したんだッ! 間違えるはずがねぇッ!」

「そんな些細なことはどうでもいいだろう? 私は黄泉から舞い戻ってきた。そして──今お前を殺すために、ここにいる。……それが今、貴様が直視すべき現実だ」

「ちぃ……ッ! ド正論ありがとうよ! ド畜生!」

 

 敵に諭されてしまったグレンは、苛立ちを隠せない。

 

「……違う」

 

 そんなグレンに、ティアは無表情のまま言葉を続ける。

 

「グレンは知ってる筈。おれやリィエルが、何によって造られたのか……」

「『Project(プロジェクト)Revive(リヴァイヴ) life(ライフ)』か? だが、あの術式は、シオンの固有魔術(オリジナル)か、もしくはルミアの異能が必要不可欠だろ……?」

「バークスの研究。覚えてる?」

「──ッ!」

 

 異能の、複製抽出。

 

 もしそれが、あの時にルミアの《王者の法(アルス・マグナ)》に対して行われていたとしたら──

 

「ちっ……それよりも、今はレイクの野郎だな……ッ! 後でじっくりと話を聞かせてもらうぞッ!」

「ん、できたらね」

 

 何故ここにいるのか……それは、今は重要ではない。

 

 彼には、とある秘密がある。

 

 竜の力を得る代わりに、いずれ人を失い暴虐の竜になりはててしまう呪い……『竜化の呪い(ドラゴナイズド)』だ。

 

 そして、今のレイクの能力は人間の領域ではない。

 

 つまり──

 

「──そうかよ。お前……今回は封印を解いてきたんだな? 『竜化の呪い(ドラゴナイズド)』の……」

「……察しがいいな、魔術講師。我々の一族は『竜化の呪い(ドラゴナイズド)』の進行を防ぐため、生まれ落ちた時から【竜鎖封印式】を1号から3号の3つ、肉体に施している。ゆえに、普段の我々は通常の人間と大差はない。だが、一度、その封印を解けば……竜の力が顕現するのだ。今回は、その1号を解呪(ディスペル)してきた──貴様と戦うために」

「1号解放だけでその魔力かよ? あと封印、2つも残ってんのか、ふざけんな」

「安心しろ。残りの2つの解呪(ディスペル)には、それなりの手間と時間と触媒が必要だ。この戦いの最中に、これ以上の竜の力が振るわれることはない。……以前、貴様ごときにと解呪(ディスペル)をためらい、敗れた。もう侮りはせん。貴様はこの力を振るうにふさわしい人間だ」

「過大評価にも程があるぜ」

「さあ、構えろ。グレン=レーダス。……ついでにティア=レイフォード」

「グレン、来る!」

 

 ティアの掛け声に合わせて、グレンの身体は咄嗟に動いた。

 

「ちぃ──ッ!」

「《■■■──》」

 

 

■□■

 

 

 なんかよく分からないけど、グレンの曇り顔見れたわ。

 

 なんでだろう……あ、そうか。俺みたいな少女をこんな戦いに巻き込んでしまって……ッ!みたいな罪悪感とか?

 

 狙ってた訳じゃないけど、ラッキーだな。

 

 やったz──

 

「ティアぁッ!」

「《■■■》」

「〜〜ッ!?」

 

 天からの稲妻が、俺に降りかかる。

 

「ぐぅ……マジで人の形をした竜だな。天候まで操りやがるのかよ……」

 

 それを身体強化全開で回避した俺はレイクへ速攻で近づこうとする。

 

「《■■■■》」

 

 だが、そんな俺の前に竜巻が現れて呑みこもうとしてくる。

 

「アホかよレイクのやつ……!? ティアっ、こっちだッ!」

「んっ!」

 

 グレンに誘導された場所に行き避けると、荒れていた天候がぴたりと止む。

 

「……嫌な予感」

 

 そう呟くに合わせて轟っ!と焔が燃え上がる。

 

「……今度は山火事かよ、コンチクショウ!?」

「バリエーションが豊富」

「そうだなぁ!? どうでもいい感想ありがとうよ!!」

 

 《炎の剣(フレイ・ヴード)》で全ての炎を支配して、レイクへ撃つ。

 

「お返し」

「ぐぅ……!?」

 

 レイクは驚いた表情で防御の姿勢を取り──

 

「あの熱量で無傷かよ……」

「……ヤバい」

 

 そこには、先程と変わらない無傷のレイクが立っていた。

 

「どうした。もっと力を見せてみろ」

「ちっ、いい加減にしろっての!」

 

 グレンは、『愚者のアルカナ』を抜く。

 

 固有魔術(オリジナル)【愚者の世界】が発動し、レイクの竜言語魔術(ドラグイッシュ)を発動不可にする……けど、さ。

 

 はっきり言って愚策だよ。

 

「……やはり、そう来るか」

「へっ! 何が竜言語だ、馬鹿野郎! こっからは肉体言語で片を付けてやるよッ!」

「グレン、待っ──」

 

 俺の制止を聞かずにグレンは突進していき、レイクも剣を抜いて構える。

 

 あーあ、知ーらね。

 

「ぉおおおおおおおおおおおおおおおおお──ッ!」

 

 そして拳打をレイクへ──と思いきや。

 

「って、うっそぴょーん」

 

 レイクの傍らを通過した。

 

 勢いのついたレイクの剣は叩き、割れた。地面が。

 

 わぁーお、ヤベー。……どうしようか、こんな奴。

 

「ギャグみたいな威力の斬撃だな、おい!? 【愚者の世界】は逆効果か!」

「ん、竜だし」

「先に言え!」

「おれは待ってって言った」

 

 なのにグレンがさっさと行っちゃうからだろ!

 

「チッ……足引っ張るなよ、ティアッ!」

「こっちのセリフ!」

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