リィエル・レプリカと転生日誌 作:氷月ユキナ
夜の、暗い学院敷地内。
そこにある誰もいない迷いの森の入り口で一人の少女が必死に剣を振っていた。
「──ぁぁああああああアアアアアアッッ!」
大振りの剣によって、周辺に衝撃が巻き起こる。
それを起こしている彼女の名前はリィエル=レイフォード。
ついさっき、目の前で一人のメイド少女を喪った《戦車》だ。
「は……ッ、は……ッ」
身体が限界を訴えて動かなくなるが、それでも眼に宿る暗い光は凛々と輝く。
痛む身体を無理矢理動かして、リィエルは何度でも剣を振るう。
もう、二度と失わないように。
アセロ=イエロとの戦いで、ルミアやシスティーナを死なせないように。
強くならなければいけない。リィエルは、そう決意したのだ。
「──ぁあッ! うぁあッ!」
意識も朦朧とする中で、それでもリィエルは叫びを上げて剣を振る。
だが、それでも。
「……ぅ、ぁ」
──バタン
リィエルの身体が呆気なく倒れる。
身体もマトモに動かない。何度だって動かそうとしても、その思いは現実に反映されない。
意識が暗くなっていくリィエルが最後に見たものは、何処からか現れた悲しそうな顔をしているルミアだった。
どうしてここにいるの?
どうしてそんな顔をしているの?
そんな質問を言えることもなく、リィエルの意識は深く深く落ちていった。
■□■
「ナムルスさん……」
ボロボロの身体を動かして夢中で剣を振っていたリィエルを眠らせたルミアは、目の前のナムルスに目線を送る。
『どう? 人間を辞める覚悟は決まった?』
「はい」
ナムルスの問に、ルミアは即答した。
『自分の命を、皆のために捧げる覚悟は決まった?』
「……はい」
『そう』
ナムルスはルミアにそっと近づく。
『なら──』
ナムルスはルミアの胸に手を当てて。
そして──
…………。
……。
■□■
「くっくっくっ……やはり、アレは《時の天使》ラ=ティリカか。"読んでいたよ"」
フェジテの何処かで。
山高帽を被り、フロックコートを風に靡かせている男。
ジャティス=ロウファンが、遠視の魔術でルミアとナムルスのことを観察していた。
「《
「…………」
「それにしても、ルミア=ティンジェルが友達を守るためとはいえ人を辞める決断をするとはね……意思の強さが無限大の可能性と進化を引き出す存在である人間をやめてしまうなんて、なんて愚かなんだろうね……そうは思わないかい?
「……ん」
その横に座っている少女、
どこまでも面白そうに普段の無表情を崩して笑っていた。
……まるで、お気に入りの
コメント欄でティアが絶対死んでないって言われてて笑いました。まぁ、ご覧の通り死んでないけどね!
どういうことかは、この章が終わる頃に解説します!